ロシア装備でサバゲーしていた俺がいつの間にかブルアカの世界に転生してTSしていたんだが?   作:NK7

57 / 72
続きます


No.57 再会

バンカーの入口は、完全に封鎖されていた。

 

分厚い鋼鉄製の扉。

砂と風に削られながらも、なおそこに立ちはだかる無機質な壁。

 

その前に――

 

巨体が、静かにこちらを見下ろしている。

 

ゴリアテ。

 

人の上半身が埋め込まれた異様な機体が、ゆっくりと首を回すようにこちらへ向き直る。

無機質なセンサーが淡く光り、その奥に“意思”のようなものが宿っている錯覚を覚える。

 

重々しい音を立てて、腕部の機関砲が持ち上がる。

 

(……最後の壁)

 

私は小さく息を吐いた。

 

ここを抜ければいい。

この先にいる。

 

――ホシノ先輩が。

 

「来る」

 

 

シロコが低い声で呟く。

 

次の瞬間。

 

ドドドドドドドッ!!!

 

空気を裂くような轟音と共に、機関砲が火を噴いた。

 

地面が抉れる。

砂が爆ぜ、コンクリート片が弾け飛び、視界が一瞬で白く霞む。

 

 

「散開して!」

 

 

セリカの鋭い声が飛ぶ。

 

私は反射的に横へ飛び込む。

着地と同時に転がり、次の弾道を避ける。

 

背後で壁が粉砕される音が響く。

 

(速い……!)

 

巨体。鈍重なはずの質量。

それなのに、照準も追従も異様に速い。

 

ノノミが応戦する。

 

弾幕がゴリアテに叩き込まれる。

 

だが――

 

装甲に弾かれる。

 

火花だけが散る。

 

「正面装甲は高耐久です!側面か背面を――!」

 

その言葉を聞くより早く、シロコが動いていた。

 

 

「ん」

 

 

低い姿勢のまま、砂を滑るように駆ける。

ゴリアテの死角へ回り込もうとする。

 

だが。

 

機体が即座に旋回する。

 

機関砲の軸が迷いなくシロコを追う。

 

私は一瞬で判断する。

 

回り込むのは無理。

 

なら――正面から壊す。

 

背中に手を回しRPG-29を手に取る。

 

それから対戦車弾頭を取り出し、装填する。

 

引き抜くと同時に、その重量が腕にのしかかる。

 

(これで終わらせる)

 

一歩、前に出る。

 

肩に担ぎ、照準を合わせる。

 

狙うはゴリアテの胴体と腰のつなぎ目。

 

装甲の継ぎ目。

ほんのわずかな“弱点”。

 

(あそこだ)

 

機関砲が、こちらへ向く。

 

銃口の闇が、まっすぐ私を捉える。

 

(間に合え)

 

引き金を引く。

 

シュオォォォォォ!!

 

ロケット弾が白煙を引いて一直線に飛ぶ。

 

次の瞬間。

 

ドォォォォン!!!

 

直撃。

 

爆炎がゴリアテを飲み込む。

 

衝撃で巨体がわずかに後方へ揺れる。

 

砂煙が舞い上がる。

 

だが――

 

(まだ……!)

 

煙の奥で、赤いセンサーが再び光る。

 

機関砲が、再びこちらを向く。

 

その瞬間。

 

シロコが滑り込む。

 

 

「ここ」

 

 

至近距離。

 

ドンッ!!

 

強烈な一撃が側面に叩き込まれる。

 

装甲の一部が弾け飛ぶ。

 

セリカが叫ぶ。

 

 

「これでどうよ!」

 

 

弾丸の雨。

 

ノノミも続く。

 

 

「いきます~!」

 

 

集中砲火。

 

剥がれた装甲の隙間に、弾が叩き込まれる。

 

そして――

 

ゴリアテの動きが止まる。

 

一瞬の、静寂。

 

内部から光が漏れる。

 

(……来る)

 

私は叫んだ。

 

 

「下がって!」

 

 

次の瞬間。

 

ドォォォォォン!!!

 

爆発。

 

衝撃波が砂を巻き上げ、視界が完全に覆われる。

 

巨体が崩れ落ちる鈍い音。

 

やがて、音が消える。

 

砂煙がゆっくりと落ちていく。

 

私は息を整えながら、前を見る。

 

(……終わった)

 

そこに残っているのは、動かなくなった残骸。

 

そして――

 

その先。

 

バンカーの扉。

 

だが。

 

まだ閉ざされている。

 

分厚い鋼鉄。

 

まるで、最後の拒絶のように。

 

私は手元のRPG-29にもう一発対戦車弾頭を装填し、扉に照準を合わせる。

 

少し離れ、引き金を引いた。

 

次の瞬間。

 

ドォォォォン!!!

 

爆発。

 

鋼鉄の扉が、内側へ歪みながら吹き飛ぶ。

 

衝撃波がバンカー内部から押し出される。

 

暗闇が、外へと開かれる。

 

静寂。

 

砂煙がゆっくりと流れていく。

 

その奥。

 

暗い通路。

 

そして――

 

人影。

 

(……え)

 

足が止まる。

 

心臓が、強く跳ねる。

 

ドクン。

 

ドクン。

 

耳の奥で響く。

 

一歩、踏み出す。

 

(いる)

 

もう一歩。

 

視界が揺れる。

 

(いる)

 

もう一歩。

 

はっきりと見える。

 

あの髪。

 

あの立ち方。

 

あの、空気。

 

ホシノ先輩。

 

(……いた)

 

その瞬間。

 

胸の奥で、何かが完全に壊れた。

 

張り詰めていたもの。

 

押し殺していた不安。

 

考えないようにしていた最悪の想像。

 

全部。

 

全部が、一気に溢れ出す。

 

(よかった)

 

(よかった)

 

(本当に……よかった……!)

 

気づいた時には、走っていた。

 

みんなの声が重なる。

 

 

「「「「「ホシノ先輩!!!」」」」」

 

 

でも、もう何も聞こえない。

 

視界にはただ一人。

 

ホシノ先輩だけ。

 

手から力が抜ける。

 

RPG-29が手から落ちる。

 

アルティンを脱ぎ捨てる。

 

金属音が遠くで響く。

 

そんなこと、どうでもいい。

 

ただ、走る。

 

砂を蹴る。

 

呼吸が乱れる。

 

胸が痛い。

 

でも止まれない。

 

(会いたかった)

 

(ずっと)

 

(ずっと……!)

 

距離が消える。

 

そして――

 

そのまま、ぶつかるように抱きついた。

 

 

「ホシノ先輩ぃぃぃぃぃぃ!!!」

 

 

声が弾ける。

 

抑えきれない。

 

 

「おかえりなさい!!!!」

 

 

腕に力を込める。

 

ぎゅっと。

 

強く。

 

壊れそうなくらい強く。

 

抱きしめる。

 

逃がさないように。

 

消えないように。

 

(……温かい)

 

体温が伝わる。

 

確かな重み。

 

(夢じゃない)

 

肩に顔を押し付ける。

 

呼吸が乱れる。

 

涙が滲む。

 

止められない。

 

 

「……っ、ほんとに……」

 

 

喉が詰まる。

 

声が出ない。

 

 

「……ほんとに……」

 

 

震える。

 

 

「……よかった……!」

 

 

さらに強く抱きしめる。

 

今までの全部を埋めるみたいに。

 

不安も。

 

恐怖も。

 

全部。

 

 

「……いなくなったかと思った……」

 

 

小さく零れる。

 

 

「……もう会えないかって……」

 

 

本音が、勝手に溢れる。

 

 

「……だから……」

 

 

言葉が崩れる。

 

それでも。

 

 

「……ほんとに……よかった……!」

 

 

頭の上に、手が乗る。

 

優しく。

 

撫でるように。

 

その温もりで、また涙が滲む。

 

(ああ)

 

戻ってきた。

 

本当に。

 

ホシノ先輩が、小さく笑う。

 

 

「…何だかみんな、期待に満ちた表情だけど…」

 

 

でも、私は離れない。

 

離せない。

 

 

「求められているのは、あの台詞?」

 

 

セリカの声。

 

 

「ああもうっ!分かってるなら焦らせないでよ!」

 

 

ホシノ先輩が少しだけ笑う。

 

 

「うへ~」

 

 

そして、優しく。

 

 

「全く、可愛い後輩たちのお願いだし、仕方ないなあ…」

 

 

すぐ上で、その声が響く。

 

 

 

 

「ただいま」

 

 

 

 

その一言で。

 

胸の奥に残っていた最後の緊張が、完全にほどけた。

 

私は、もう一度。

 

今度はさらに強く。

 

ホシノ先輩を抱きしめた。




感想お待ちしてます
続きません

レインの設定って書いたほうがいいですか?

  • いる
  • いらん
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。