ロシア装備でサバゲーしていた俺がいつの間にかブルアカの世界に転生してTSしていたんだが?   作:NK7

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続きました


No.62 ハスキー小隊

廊下を進むたびに、視線が絡みついてくる。

 

ざわつく空気。ひそひそとした声。

その中心にいるのが私だということは、嫌でも分かった。

 

(……やっぱり目立ってるのかなぁ)

 

転校生というだけでは説明がつかない視線の量。

原因は明白だった。

 

(服装と装備のせいだよな…これ)

 

デジタルフローラ迷彩に加え、明らかに過剰な武装。

この学園でも“普通”ではない。

 

(落ち着かない)

 

思考を整理したいのに、視線がそれを邪魔する。

無意識に肩の力がわずかに抜けきらず、周囲の気配を拾い続けている自分に気づく。

 

(……警戒しすぎかな)

 

だが、それをやめる理由もない。

 

人の流れから外れるように、廊下の突き当りへ向かった。

 

階段の踊り場。

少しだけ空気が軽くなる。

 

だが――

 

 

「だーかーらーさー!このままだとずっと3人じゃん!どうすんの!!」

 

 

元気すぎる声が響いた。

 

視線を向けると、同じ迷彩服を着た3人の生徒が話し込んでいる。

 

(……小隊の話)

 

自然と足が止まり、壁の後ろに隠れる。

 

(ちょうどいい)

 

探していたものが、向こうから現れた形だった。

 

 

「仕方ないだろう。条件に合う人材が簡単に見つかるわけじゃない」

 

 

Ash-12を持った生徒が腕を組み、冷静に言う。

 

(中心にいる……判断が早い)

 

声に無駄がない。迷いもない。

状況を正確に把握しているタイプ。

 

 

「でもさー!4人いないと模擬戦とかできないしさー!成績絶対不利じゃん!」

 

 

KS-23と大型シールドを持った生徒が不満そうにシールドを床に軽く叩く。

 

勢いはあるが、裏を返せば分かりやすい。

 

 

「……私は、ちゃんと戦える人がいい」

 

 

ギリースーツを身に着け、巨大なガンケースを二つ持った生徒が、静かに言葉を落とす。

 

だが、その一言には重みがある。

 

自然と評価している自分に気づく。

 

「それじゃあ無理やり誘って入れるか?」

 

 

Ash-12を持った生徒が問いかける。

 

 

「えー、でも変な人だったらどうするの!?連携取れなかったら終わりじゃん!」

 

 

KS-23を持った生徒が身振り手振りを大きくする。

 

 

「そうなるだろ。だから相性のいい人を探さないといけないんだ」

 

 

淡々と返すAsh-12を持った生徒。

 

 

「……最低限、戦える人」

 

 

大型のガンケースを二つ背負った生徒がぽつりと補足する。

 

連携を重視。

個人能力も最低ラインを求める。

 

どこの小隊でも求めているところだろう。

 

その時だった。

 

KS-23を持った生徒が、ふとこちらを見る。

 

一瞬、時間が止まる。

 

視線が合った瞬間すぐに身を隠す。

 

(……見つかった)

 

次の瞬間。

 

 

「……あ」

 

 

そして――

 

表情が一気に変わる。

 

(……分かりやすい)

 

「ちょっ、ちょっと待って!!キミ!!!あいだぁ!!!」

 

ドタドタと階段を降り、足を踏み外し転がり落ちてきた。

 

「そこのキミ!!小隊入ってる!?!?!?」

 

目をキラキラさせながら一気に距離を詰めてくる。

 

反応が一瞬遅れる。

だが、危険は感じない。

 

 

「入ってなかったらでいいんだけど――」

 

 

ゴッ。

 

 

「ぐへぇ!!」

 

 

鈍い音が鳴った直後KS-23を持った少女はKS-23とシールドを床に捨て、殴られた場所を抑えていた。

 

 

「……落ち着け」

 

 

Ash-12を持った生徒が少し怒った表情で拳を下ろす。

 

近くで見ると、レッグホルスターにRsh-12が刺さっている。

 

 

「いったぁ!?なんでぇ!?」

 

 

涙目になりながらAsh-12を持つ生徒を睨みつける

 

 

「いきなり距離を詰めるな。引かれるだろ!」

 

「だって!!見つけたじゃん!!めっちゃ“当たり”っぽい人!!!」

 

 

(当たり、か)

 

その言葉に、わずかに思考が止まる。

 

(……評価されている)

 

理由も分かる。

装備、立ち方、視線。

 

(見られているのは、お互い様)

 

ガンケースを持った生徒が静かに近づく。

 

足音がほとんどしない。

 

Ash-12を持った生徒が一歩前へ。

 

 

「うちの連れが失礼した」

 

 

短く、丁寧に切り出す。

 

 

「私たちの小隊は見ての通り、一人不足しているんだ。あと一人で正式に認可してもらえる。未所

属なら、加入を検討してほしい」

 

 

余計な言葉がない。

条件提示が明確。

 

 

「てかさ!絶対いいじゃんこの人!装備見た!?やばくない!?」

 

 

KS-23を持った生徒がテンション高く割り込む。

 

 

「…少しは黙ってくれ…ホントお前は…何事も判断が雑だな」

 

「でも合ってるでしょ!?」

 

「否定はしない」

 

「……強そう」

 

 

ガンケースを持った生徒がぽつり。

 

(全員、拒否していない)

 

むしろ歓迎している。

 

私は三人を見る。

 

(近距離二人ともう一人はたぶん遠距離)

 

(……足りないのは中距離)

 

自分の位置が自然と見える。

 

(なら――問題ない)

 

 

「……分かりました」

 

 

言葉に迷いはなかった。

 

 

「私も丁度小隊を探していました。入らせてください」

 

 

一瞬の静止。

 

空気が変わる。

 

 

「やったーーー!!!」

 

 

KS-23を持った生徒が両手を広げ、感情を爆発させる。

 

 

「本当に感謝する」

 

 

Ash-12を持った生徒が頷く。

 

 

「……よかった」

 

 

ガンケースを持った生徒も小さく息を吐く。

 

私は一歩前へ出る。

 

 

「白鷺レインです。よろしくお願いします」

 

 

その瞬間、自分の立場が切り替わる感覚があった。

 

(個人から、チームへ)

 

 

「風見アイラ!よろしくね!!」

 

「霧島リディアだ。よろしく頼む」

 

「……白峰ミラ。よろしく」

 

 

三人も、それぞれ名乗る。

 

その直後――

 

 

「でさでさ!!隊長どうする!?」

 

 

(早い)

 

思考が追いつく前に話が進む。

 

 

「今まで私たちでやってきてよく感じたのだが、私たちに小隊長は向いていない」

 

 

リディアがこちらを見る。

 

なにやら嫌な予感がする。

 

 

「レイン、君が小隊長をしてほしい」

 

「…え?私?」

 

 

一瞬、脳がフリーズした。

 

 

「いやいや、私は今日転校してきたばかりで…皆さんみたいな専門的な戦術は何も習っていないですし…」

 

「アイラは見ての通りバカだし、ミラは指揮を取るのが苦手で、私は直接指揮するよりアシストの方が得意なんだ。戦術とかは私がワンツーマンで教えてやるから、頼む…!」

 

 

頭を下げながら懇願してくる。なんだかかなり苦労したんだなと感じる。

 

 

「……分かりました。引き受けます」

 

 

口に出した瞬間、責任が明確になる。

 

(隊長)

 

軽い言葉ではない。

 

だが、不思議と重すぎるとは感じなかった。

 

(やるべきことがはっきりしただけ)

 

 

「転校初日なのに引き受けさせてしまって申し訳ない…!」

 

「隊長よろしくー!!」

 

「……よろしく」

 

 

そのまま事務室へ向かい、小隊登録書類を受け取る。

 

小隊名の欄で、ペンが止まる。

 

(名前……)

 

少しだけ考える。

 

(バラバラで、それでいてまとまるもの)

 

短く、強く、覚えやすい。

 

頭の上に閃光が走ったかのように思いつく。

 

 

「ハスキー…とかどうですか?」

 

 

口に出した瞬間、妙にしっくりくる。

 

 

「いいじゃんそれ!!かっこいい!!」

 

「問題ない」

 

「……いいと思う」

 

 

(受け入れられた)

 

小隊名を書き書類を提出し、ハスキー小隊は正式に登録された。

 

廊下へ戻る。

 

さっきまで感じていた孤立は、もうない。

 

(……変わった)

 

ほんの数分前まで、一人だった。

 

今は――

 

(隣にいる)

 

三つの気配。

 

それぞれ違うリズム。違う強さ。

 

(扱いは難しい)

 

だが同時に――

 

(組めば、強い)

 

静かに息を吐いた。

 

胸の奥にあったわずかな緊張が、少しだけほどける。

 

(悪くない)

 

このメンバーで、この三年間を乗り越えていく。

 

そう、決意した

 




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