ロシア装備でサバゲーしていた俺がいつの間にかブルアカの世界に転生してTSしていたんだが? 作:NK7
転入してから一週間。
時間にすれば短い。だが、体感としてはもっと長く感じていた。
(……濃い一週間だった)
私は歩きながら、わずかに息を整える。
射撃、連携、索敵、突入。
毎日のように叩き込まれた戦術。
リディアの理詰めの指導。
ミラの静かで的確な補足。
そして――アイラの、実戦的な勢い。
(全部、無駄じゃない)
頭の中で整理された動きが、少しずつ“感覚”に変わり始めている。
(それなりには、動ける)
だが――
(それでも、これは“初めて”)
今日は、初の実戦形式演習。
場所は野外演習場。
相手は――RABBIT小隊。
リディアの説明が頭をよぎる。
(一年の中でも上位の成績を誇る小隊だ)
(連携の精度が特に高い)
(……強い)
自然と、肩に力が入る。
そのまま歩いていると――
「小隊長、めっちゃ緊張してるじゃん!」
横からアイラの声。
軽い調子で、こちらを覗き込んでくる。
(……分かるのか)
無意識に表情が硬くなっていたらしい。
「アイラの言う通り…かも…」
小さく認める。
否定する材料がない。
(隠す意味もない)
むしろ、自覚した方がいい。
「でしょー?肩ガチガチだよ?」
アイラが笑いながら肩を軽く叩く。
その軽さに、少しだけ力が抜ける。
(……助かる)
だが、完全には抜けない。
胸の奥に残る、わずかな重さ。
(……落ち着かない)
その感覚から意識を逸らすため、レインは話題を変えた。
「そういえば、ミラのそのガンケースの中身って何ですか?」
前を歩くミラの背中。
両手に持つ、大きなケース。
ずっと気になっていた。
(今さらだけど)
ミラは少しだけ振り返る。
「……えっと」
一瞬だけ考え、そして答える。
「OSV-96と、2B14と、その弾」
淡々と説明を続ける。
「OSVは狙撃銃で2B14は迫撃砲」
「持ち運びにくいから、基本ケースに入れてる」
(……なるほど)
一瞬でイメージが固まる。
遠距離精密射撃と、曲射支援。
(完全に後方火力)
「ありがとうございます」
自然と礼が出る。
だが同時に――
(……遅い)
胸の奥に、わずかな引っかかり。
(本当なら、最初に把握すべきだった)
小隊長として。
(今になって聞くなんて)
自分の中で、小さな違和感が膨らむ。
気を紛らわせるつもりだった質問が、逆に意識をそこへ向けてしまった。
「すみません」
思わず口に出る。
「こんなこと、もうすぐ演習って時に聞いてしまって……」
少しだけ視線を落とす。
「本当なら、最初に聞いておくべきだったのに……」
言い終えたあと、ほんの一瞬の静けさ。
(……余計だったかもしれない)
そう思った瞬間。
「そんなことはない」
リディアの声が入る。
はっきりと、迷いなく。
レインは顔を上げる。
「レインは、私たちが二か月かけて学んだ内容を」
「たった一週間で理解している」
淡々とした言葉。
だが、その中には確かな評価があった。
「それだけでも、十分すぎる」
「その証拠としてうちの小隊にはまだ半分も理解できてないバカがいるからな」
リディアは親指をアイラに向ける。
「ちょっとー!!なんでそんなひどいこと言うのー!!私だって頑張ってるんだよー!!」
「だったらもっとテストでいい点を取れ。前のテストも赤点ギリギリだっただろ」
「む~…」
アイラはシールドの面を軽い力でリディアに押し付ける。
(……評価されている)
頭では理解できる。
だが――
(それでも)
心の奥の引っかかりは、完全には消えない。
(“できていること”と“できていないこと”は別)
視線が少しだけ下がる。
その空気を、強引に変えたのは――
「もー!!小隊長暗い!!」
アイラだった。
「もっと笑顔になって!!」
勢いよく前に回り込んでくる。
(……近い)
そして、そのまま何かを手に押し込まれた。
「あとこれ!!あげる!!!」
唐突な動きに、一瞬反応が遅れる。
手を開く。
そこにあったのは――
空のショットシェル。
底に小さな穴が開けられ、ワイヤーで繋がれている。
簡素なストラップ。
だが、使い込まれた跡がある。
(……これ)
少しだけ見つめる。
「それ、私からのお守り!!」
「ここに入学して初めて撃った薬莢で作ったお守り、あげる!!」
アイラが満面の笑みで言う。
「一緒に頑張ろうね、小隊長!!!」
その言葉。
その表情。
(……ああ)
胸の奥にあった重さが、少しだけほどける。
完璧じゃなくていい。
最初から全部できなくていい。
(今は、これでいい)
小さく息を吐く。
自然と、口元が少しだけ緩む。
「……ありがとうございます」
短く、でも確かに返す。
手の中のストラップを軽く握る。
(軽い)
(でも――)
(悪くない)
顔を上げる。
視線の先には、これから向かう演習場。
(やることは決まっている)
「よし」
小さく区切る。
「みんな、ひと暴れしましょう!!」
声に、さっきよりも芯が入る。
「おー!!」
アイラが即座に応じる。
「そうだな」
リディアが短く頷く。
「……頑張ろう」
ミラが静かに続く。
四人の足が、同じ方向へ進む。
その先にあるのは――実戦形式の演習。
(試される)
だが、不思議と足は止まらない。
(大丈夫)
手の中の感触を、もう一度確かめる。
戦いの場は、もうすぐそこだった。
感想お待ちしてます
続きません
レインの設定って書いたほうがいいですか?
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いる
-
いらん