ロシア装備でサバゲーしていた俺がいつの間にかブルアカの世界に転生してTSしていたんだが?   作:NK7

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続きました


No.65 顔合わせ

なんやかんやで野外演習場に到着した。

 

視界が一気に開ける。

 

細長いフィールド。

中央には二階建ての建物が一棟、無機質に立っている。

 

左右には背の高い草木。

視界を遮るには十分で、同時に――潜伏にも向いている。

 

(正面突破だけじゃない)

(側面、迂回、伏撃……選択肢は多い)

 

私はゆっくりと周囲を見渡す。

 

(中央建物が“核”)

(ここを取るか守るか、それだけ)

 

シンプルな構造。

だからこそ、誤魔化しが効かない。

 

その時、正面から気配が近づく。

 

RABBIT小隊もほぼ同時に到着していた。

 

その中心にいる一人の生徒。

 

落ち着いた視線。

柔らかいが、芯のある雰囲気。

 

(あの人が隊長…月雪ミヤコ)

 

自然と理解する。

 

私は一歩前に出た。

 

 

「RABBIT小隊の皆さん、今日はよろしくお願いします」

 

 

形式通りの挨拶。

だが、その裏では相手を観察している。

 

 

「いえ、こちらこそよろしくお願いします、HUSKY小隊の皆さん」

 

 

穏やかな返答。

 

そのまま、互いに歩み寄る。

 

RABBIT小隊の隊長――月雪ミヤコと、手を差し出す。

 

軽く、しかし確かな握手。

 

(力は強すぎない)

(でも、抜いてもいない)

 

(……安定している)

 

互いに一瞬だけ視線を交わす。

 

(油断はできない)

 

その感覚だけが残る。

 

後ろでは、アイラたちも順に握手を交わしていた。

 

 

「よろしく!」

「……よろしく」

「こちらこそ」

 

 

短いやり取り。

 

だが、空気はすでに“演習前”のそれに変わっている。

 

軽い会話は終わり。

ここからは、純粋な対抗。

 

ルール説明が頭の中で整理される。

 

攻防戦。

 

攻撃側は、制限時間内に建物のフラッグを制圧するか、相手を行動不能にすれば勝利。

防衛側はそれを阻止すればいい。

 

(単純)

 

だが――

 

(単純だからこそ、読み合いになる)

 

今回は三回戦。

先攻はHUSKY小隊。

 

(最初の一戦が重要)

 

流れを掴めるかどうか。

 

配置地点へ向かう途中。

 

足音が砂を踏む。

 

その中で、リディアが口を開いた。

 

 

「それでレイン、作戦はどうする?」

 

 

一瞬だけ呼吸を整える。

 

(考えはある)

(でも、通用するかは別)

 

それでも――出すしかない。

 

 

「最初にミラの迫撃砲、もしくは狙撃で後方を崩します」

 

 

言葉に出すことで、思考を固定する。

 

 

「どちらを選ぶかはミラに任せます」

 

 

(状況判断は現場で)

 

 

「その間にアイラが正面から突入」

 

 

横目で見る。

 

アイラは少し驚いた表情を浮かべる。

 

 

「私とリディアは側面、もしくは後方から侵入し、挟撃して」

 

 

最後に短くまとめる。

 

 

「そのまま制圧――という流れです」

 

 

言い終えたあと、一瞬の沈黙。

 

(どう評価される)

 

リディアが小さく眉を動かす。

 

 

「……悪くない」

 

 

だがすぐに続ける。

 

 

「ただ、ミラの負担が大きすぎないか?」

 

 

(やっぱりそこ)

 

私も正直同じことを考えていた。

 

だが――

 

 

「……問題ありません」

 

 

言葉を選びながら返す。

 

ミラがその前に、静かに口を開いた。

 

 

「……この演習場における」

 

 

視線はすでにこの演習場の地図を見ている。

 

 

「怪しいポイントは、だいたい絞ってあります」

 

 

(……もう見てる)

 

配置前から、すでに分析済み。

 

 

「だから、大丈夫」

 

 

短く、しかし確信のある言葉。

 

リディアは一瞬だけミラを見る。

 

そして、小さく頷いた。

 

 

「……分かった」

 

 

信頼が成立する。

 

その横で――

 

「ちょっとー!!私の心配は!?」

 

アイラが割って入る。

 

(……来ると思った)

 

リディアがツッコミを入れる

 

 

「お前は大丈夫だろ」

 

「なんだとぉーー!!」

 

 

私は二人の間に入り、少しだけ口元を緩める。

 

 

「ちょっとリディア…アイラも頼んだよ」

 

 

短く、しかし真っ直ぐに。

 

一瞬の間。

 

 

「……っ!」

 

 

アイラの表情が変わる。

 

 

「了解!小隊長!!」

 

 

勢いよく返事。

 

(単純でいい)

 

だが、その反応は頼もしい。

 

そのまま歩き、スタート地点へ到達する。

 

空気が張り詰める。

 

(ここから先は、もう始まっている)

 

小さく息を吐く。

 

 

「作戦中の通信ではコードネームでお願いします」

 

 

意識を切り替えるための一言。

 

 

「それくらい分かっているさ、HUSKY1」

 

 

リディアがすぐに返す。

 

 

「うんうん!」

 

 

アイラが軽く頷く。

 

 

「……作戦指揮、よろしく」

 

 

ミラの静かな声。

 

(任された)

 

その事実が、はっきりと実感になる。

 

レインはわずかに視線を上げる。

 

中央の建物。

左右の草木。

 

(やることは決まっている)

 

余計な思考を切り捨てる。

 

その瞬間――

 

ブザーが鳴った。

 

甲高い音が、演習場全体に響き渡る。

 

(開始)

 

足が自然と動き出す。

 

ハスキー小隊、初の実戦形式演習が――始まった。

 




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