ロシア装備でサバゲーしていた俺がいつの間にかブルアカの世界に転生してTSしていたんだが?   作:NK7

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続きました


No.66 初演習

開始のブザーが鳴った瞬間、空気が一変した。

 

さっきまでの静けさが嘘のように、全員の動きが一斉に加速する。

 

 

「行きます」

 

 

私の短い指示と同時に、ハスキー小隊は動いた。

 

ミラをその場に残し、三人は建物へ向けて二手に分かれる。

 

(予定通り)

 

私とリディアは側面ルート。

アイラは正面へ。

 

足元の土を蹴り上げながら、視界の端で草木が流れていく。

 

(距離はあるが、長くはない)

 

その時――

 

ドンッ、と重い音が響いた。

 

一拍遅れて、空気が震える。

 

(始まった)

 

ミラの迫撃が続けざまに二発、三発と続く。

 

着弾のたびに地面が揺れ、視界の端で土煙が上がる。

 

(精度が高い)

 

無差別ではない。

狙いを絞った爆撃。

 

(後方を潰してる)

 

その証拠に――

 

(狙撃が来ない)

 

通常なら、この距離、この直線。

一発くらいは飛んできてもおかしくない。

 

(抑え込めてる)

 

それに加え、このデジタルフローラ迷彩も効いている。

 

そう判断した、次の瞬間。

 

――背後で爆発。

 

熱と衝撃が一気に押し寄せる。

 

反射的に体を低くする。

 

(近い)

 

ほんの数歩後ろ。

さっきまで自分がいた位置。

 

(……読み合い)

 

相手もこちらの進行を予測している。

 

私はすぐに通信を開く。

 

 

「こちらHUSKY1。皆さん大丈夫ですか?」

 

 

一瞬の間。

 

 

「HUSKY2、問題なし」

 

 

隣で走るリディアと視線が合う。

 

その表情に焦りはない。

 

(冷静)

 

 

「HUSKY3、大丈夫!」

 

 

前方からアイラの声。

 

いつも通りのテンション。

 

 

「……HUSKY4、ギリギリ大丈夫」

 

 

少しだけ間を置いて、ミラとも通信がつながる。

 

 

「ごめん、派手にやりすぎた」

 

 

迫撃砲の砲煙で位置を特定されたらしい。

 

私は小さく息を吐く。

 

 

「問題ありません」

 

 

短く返す。

 

(むしろ好都合)

 

敵の注意が分散している。

 

 

「このまま作戦を続行します」

 

「「「了解」」」

 

 

三人の声が重なる。

 

再び足を進める。

 

建物の輪郭が大きくなる。

 

(あと少し)

 

壁際に到達。

 

呼吸を整える間もなく、私は側面へ回り込もうと一歩踏み出す。

 

その瞬間――

 

金属音。

 

ヘルメットに何かが掠めた。

 

反射的に体を引く。

 

壁に背を押し付ける。

 

(……撃たれた)

 

遅れて理解が追いつく。

 

ほんの数センチ。

 

それだけの差。

 

 

「大丈夫か?」

 

 

リディアの声。

 

 

「ヘルメットを掠めただけです」

 

 

呼吸を整えながら答える。

 

 

「問題ありません」

 

 

(まだ動ける)

 

だが――

 

(このまま出れば、同じ)

 

位置は把握されている。

 

別ルートか、タイミングをずらすか。

 

思考を巡らせた、その時。

 

通信が入る。

 

 

「こちらHUSKY4」

 

 

ミラと通信がつながる。

 

 

「相手の後方部隊、排除完了」

 

 

(……速い)

 

想定よりも早い。

 

 

「ナイスです。ありがとうございます」

 

 

即座に返す。

 

その報告で、選択肢が一つに絞られる。

 

(今が押し時)

 

 

「HUSKY2、行けますか」

 

「問題ない」

 

 

迷いのない返答。

 

私は小さく頷く。

 

 

「行きます」

 

 

二人でタイミングを合わせ、側面から回り込む。

 

射線は来ない。

 

(抑えられている)

 

そのまま屋外の階段へ向かい、一段、二段と会談を駆け上がる。

 

その途中――

 

ガラガラ、と崩れる音。

 

直後に銃声が断続的に響く。

 

(中で接敵)

 

リディアがわずかに眉をひそめる。

 

 

「HUSKY1、急ごう」

 

 

短く言う。

 

 

「あいつが暴れ始めた」

 

 

(……アイラ)

 

容易に想像できる。

 

 

「了解」

 

 

私も速度を上げる。

 

二階の扉前。

 

一瞬だけ呼吸を合わせる。

 

視線が交わる。

 

(いける)

 

私は迷わず扉を蹴る。

 

鈍い音と共に開く。

 

同時に突入。

 

ウェポンライトを点灯させる。

 

暗い室内を一気に切り裂く。

 

 

「前方、クリア」

 

 

私は前方を警戒し、

 

「後方もクリア」

 

リディアは背後を押さえる。

 

(役割分担)

 

一瞬で空間を把握する。

 

そのまま、レインは手すり越しに一階を覗く。

 

視界に入ったのは――

 

 

「うおおおおお!!!」

 

 

アイラ。

 

シールドを構え、二人を相手に押し込んでいる。

 

銃声が連続する中でも、動きが止まらない。

 

(……なんで耐えてるの?)

 

防御と前進を同時にやっている。

 

(常識外れ)

 

だが――

 

(今は好機)

 

相手の注意は完全にアイラへ向いている。

 

 

「HUSKY2」

 

 

短く呼ぶ。

 

 

「分かっている」

 

 

返答は一瞬。

 

二人で同時に照準を合わせる。

 

一拍。

 

引き金。

 

乾いた音が二つ。

 

相手の動きが止まる。

 

そのまま、完全に沈黙。

 

(……終わった)

 

アイラがこちらを見上げる。

 

 

「ナイス!!!」

 

 

アイラが下から笑顔を浮かべる。

 

私は小さく息を吐いた。

 

緊張がゆっくりほどけていく。

 

 

「こちらHUSKY1」

 

 

通信を開く。

 

 

「制圧完了」

 

 

短い報告。

 

これにより――

 

ハスキー小隊、初戦勝利。

 

(……やれた)

 

胸の奥に、確かな実感が残った。

 




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