ロシア装備でサバゲーしていた俺がいつの間にかブルアカの世界に転生してTSしていたんだが?   作:NK7

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続きました


No.69 三回戦

ブザーが鳴り、三回戦が始まった。

 

乾いた音が響いた瞬間、私はすでにスコープを構えていた。

 

(三回戦も攻撃側)

 

本来なら流れを取り切りたい場面。

だが、頭の中には別の前提があった。

 

(相手は必ず変えてくる)

 

それを踏まえたうえで、私は配置を選んだ。

 

「建物への攻撃はHUSKY2と3に任せます」

 

短く通信を入れる。

 

 

「私は後方から支援します」

 

「了解」

「任せて!!」

 

 

二人が前へ出る気配。

 

私は草木の中に身を伏せ、SVCh-8.6のスコープを覗いた。

 

正面、側面、裏手。

 

どこかに“いる”。

 

のだが――

 

(見えない)

 

数分。

 

さらに数分。

 

スコープ越しの視界は、風に揺れる草と、静まり返った建物だけ。

 

(おかしい)

 

一回戦、二回戦とは明らかに違う。

 

(配置が見えない)

 

違和感が確信に変わる前に、私は通信を開いた。

 

 

「HUSKY4、こちらHUSKY1。敵影は見えましたか?」

 

 

間を置かず、ミラの声。

 

 

「……いいえ」

 

 

落ち着いたトーン。

 

 

「サーマルビジョンスコープで索敵してるけど、反応なし」

 

 

(……サーマルでも?)

 

その一言で、全てが繋がる。

 

(外にいない)

 

(全員、建物内)

 

私はスコープから目を離す。

 

 

「……まさか」

 

 

小さく呟く。

 

すぐに判断を切り替える。

 

 

「HUSKY4、後方は任せます」

 

「……っ、分かりました」

 

 

わずかに間。

 

 

「ご武運を」

 

 

(任された)

 

私は即座にリュックを下ろす。

 

SVChをその場に置き、AK-12へ持ち替える。

 

重量のバランスが変わる。

 

そのまま立ち上がり、建物へ向けて走り出す。

 

草を掻き分け、一直線。

 

同時に通信を開く。

 

 

「こちらHUSKY1、大丈夫ですか?」

 

 

一瞬のノイズ。

 

そして――

 

 

「こちらHUSKY2」

 

 

リディアの声。

 

だが、その裏に荒い呼吸が混ざっている。

 

 

「大丈夫じゃない」

 

 

即答。

 

 

「建物のそこら中にトラップが仕掛けられている」

 

 

短く、しかし明確。

 

 

「二回戦で私たちが仕掛けたものとは比較にならない火力だ」

 

「先に突入したHUSKY3が、それで落とされた」

 

 

(……アイラ)

 

一瞬、胸が引っかかる。

 

だが足は止めない。

 

 

「今からそちらに向かいます」

 

 

呼吸を整えながら言う。

 

 

「耐えてください」

 

「了解」

 

 

短く返る。

 

 

「早く来てくれ」

 

 

通信が切れる。

 

建物の影に滑り込み、そのままリディアの位置へ。

 

壁際。

 

リディアが身を低くして待っていた。

 

 

「状況は」

 

 

私が問う。

 

リディアはすぐに答える。

 

 

「全てのドアと窓にC-4が設置されている」

 

 

建物を顎で示す。

 

(……全封鎖)

 

 

「さっき試しにグレネードを窓に投げたんだが」

 

 

淡々と続ける。

 

 

「起爆前に、C-4が先に爆発した」

 

 

(手動起爆)

 

 

「侵入したら必ず爆発する」

 

 

私は建物を見る。

 

静まり返った外観。

 

だがその内側は――

 

(罠の塊)

 

 

「なら」

 

 

思考を回す。

 

 

「スタングレネードで視界を奪い、その間に侵入するのはどうですか?」

 

 

リディアがわずかに目を細める。

 

 

「……悪くない」

 

 

短く頷く。

 

 

「やれるだけやろう」

 

 

(時間はない)

 

私はすぐにスタングレネードを取り出す。

 

ピンを抜く。

 

一瞬の間。

 

窓へ投擲する。

 

窓ガラスが割れ、中に入る。

 

その瞬間――

 

閃光より先に、爆発。

 

C-4が起爆。

 

窓枠が吹き飛ぶ。

 

その直後、スタングレネードが炸裂。

 

強烈な光と音が室内を満たす。

 

(今)

 

私とリディアは同時に動く。

 

開いているドアから突入する。

 

ウェポンライトを点灯。

 

暗闇を切り裂く光。

 

粉塵が舞う室内。

 

視界は完全ではない。

 

(クリアリング)

 

一歩ずつ進む。

 

私が前方。

リディアが側面をカバー。

 

床。壁。天井。

 

すべてに注意を向ける。

 

(どこからでも来る)

 

数歩進んだ、その時。

 

コロリ、と乾いた音。

 

視線が下に落ちる。

 

転がってくる物体。

 

(グレネード)

 

認識した瞬間には――遅い。

 

(距離が近すぎる)

 

回避動作に入るより先に、炸裂。

 

閃光と衝撃。

 

視界が一瞬白く染まる。

 

体勢が崩れる。

 

音が遠のく。

 

(……やられた)

 

床に手をつきながら、私は歯を食いしばる。

 

隣で、リディアも同様に動きを止めている。

 

(完全に読まれている)

 

侵入ルート。

タイミング。

 

すべてが相手の掌の上。

 

やがて、演習終了のブザーが鳴る。

 

タイムアップ。

 

三回戦終了。

 

結果は――RABBIT小隊の勝利。

 

私はゆっくりと顔を上げた。

 

薄く煙の残る室内。

 

静まり返った空間。

 

(……完敗)

 

シンプルで、無駄のない防衛。

 

(強い)

 

悔しさを押し込めながら、私は静かに息を吐いた。

 

 

 




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