ロシア装備でサバゲーしていた俺がいつの間にかブルアカの世界に転生してTSしていたんだが? 作:NK7
ブザーが鳴り、三回戦が始まった。
乾いた音が響いた瞬間、私はすでにスコープを構えていた。
(三回戦も攻撃側)
本来なら流れを取り切りたい場面。
だが、頭の中には別の前提があった。
(相手は必ず変えてくる)
それを踏まえたうえで、私は配置を選んだ。
「建物への攻撃はHUSKY2と3に任せます」
短く通信を入れる。
「私は後方から支援します」
「了解」
「任せて!!」
二人が前へ出る気配。
私は草木の中に身を伏せ、SVCh-8.6のスコープを覗いた。
正面、側面、裏手。
どこかに“いる”。
のだが――
(見えない)
数分。
さらに数分。
スコープ越しの視界は、風に揺れる草と、静まり返った建物だけ。
(おかしい)
一回戦、二回戦とは明らかに違う。
(配置が見えない)
違和感が確信に変わる前に、私は通信を開いた。
「HUSKY4、こちらHUSKY1。敵影は見えましたか?」
間を置かず、ミラの声。
「……いいえ」
落ち着いたトーン。
「サーマルビジョンスコープで索敵してるけど、反応なし」
(……サーマルでも?)
その一言で、全てが繋がる。
(外にいない)
(全員、建物内)
私はスコープから目を離す。
「……まさか」
小さく呟く。
すぐに判断を切り替える。
「HUSKY4、後方は任せます」
「……っ、分かりました」
わずかに間。
「ご武運を」
(任された)
私は即座にリュックを下ろす。
SVChをその場に置き、AK-12へ持ち替える。
重量のバランスが変わる。
そのまま立ち上がり、建物へ向けて走り出す。
草を掻き分け、一直線。
同時に通信を開く。
「こちらHUSKY1、大丈夫ですか?」
一瞬のノイズ。
そして――
「こちらHUSKY2」
リディアの声。
だが、その裏に荒い呼吸が混ざっている。
「大丈夫じゃない」
即答。
「建物のそこら中にトラップが仕掛けられている」
短く、しかし明確。
「二回戦で私たちが仕掛けたものとは比較にならない火力だ」
「先に突入したHUSKY3が、それで落とされた」
(……アイラ)
一瞬、胸が引っかかる。
だが足は止めない。
「今からそちらに向かいます」
呼吸を整えながら言う。
「耐えてください」
「了解」
短く返る。
「早く来てくれ」
通信が切れる。
建物の影に滑り込み、そのままリディアの位置へ。
壁際。
リディアが身を低くして待っていた。
「状況は」
私が問う。
リディアはすぐに答える。
「全てのドアと窓にC-4が設置されている」
建物を顎で示す。
(……全封鎖)
「さっき試しにグレネードを窓に投げたんだが」
淡々と続ける。
「起爆前に、C-4が先に爆発した」
(手動起爆)
「侵入したら必ず爆発する」
私は建物を見る。
静まり返った外観。
だがその内側は――
(罠の塊)
「なら」
思考を回す。
「スタングレネードで視界を奪い、その間に侵入するのはどうですか?」
リディアがわずかに目を細める。
「……悪くない」
短く頷く。
「やれるだけやろう」
(時間はない)
私はすぐにスタングレネードを取り出す。
ピンを抜く。
一瞬の間。
窓へ投擲する。
窓ガラスが割れ、中に入る。
その瞬間――
閃光より先に、爆発。
C-4が起爆。
窓枠が吹き飛ぶ。
その直後、スタングレネードが炸裂。
強烈な光と音が室内を満たす。
(今)
私とリディアは同時に動く。
開いているドアから突入する。
ウェポンライトを点灯。
暗闇を切り裂く光。
粉塵が舞う室内。
視界は完全ではない。
(クリアリング)
一歩ずつ進む。
私が前方。
リディアが側面をカバー。
床。壁。天井。
すべてに注意を向ける。
(どこからでも来る)
数歩進んだ、その時。
コロリ、と乾いた音。
視線が下に落ちる。
転がってくる物体。
(グレネード)
認識した瞬間には――遅い。
(距離が近すぎる)
回避動作に入るより先に、炸裂。
閃光と衝撃。
視界が一瞬白く染まる。
体勢が崩れる。
音が遠のく。
(……やられた)
床に手をつきながら、私は歯を食いしばる。
隣で、リディアも同様に動きを止めている。
(完全に読まれている)
侵入ルート。
タイミング。
すべてが相手の掌の上。
やがて、演習終了のブザーが鳴る。
タイムアップ。
三回戦終了。
結果は――RABBIT小隊の勝利。
私はゆっくりと顔を上げた。
薄く煙の残る室内。
静まり返った空間。
(……完敗)
シンプルで、無駄のない防衛。
(強い)
悔しさを押し込めながら、私は静かに息を吐いた。
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続きません
レインの設定って書いたほうがいいですか?
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いる
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いらん