ロシア装備でサバゲーしていた俺がいつの間にかブルアカの世界に転生してTSしていたんだが?   作:NK7

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続きました


No.6 不都合

自分は保健室に戻り、銃のメンテナンスをすることにした

 

今保健室の中で聞こえる音は時計が、カチ、カチ、と規則正しいその音に合わせるように、AK-12のボルトを引く音だけである。

 

ダストカバーを外し、中身の部品を取り出して、入り込んだ砂を掃除しながら、点検する。

 

…よし、異常なし。

 

(……やっぱり、落ち着く)

 

この感覚だけは、どこに来ても変わらない。

 

転生前はエアガンだったこいつらを無意味にガチャガチャするのが楽しかった…今は実銃だけど

 

ベッドの脇に並べた武器を、改めて見下ろす。

 

AK-12(3型)。

 

AK-47から続くAKシリーズの最新型であるAK-12の現行モデルで、拡張性と操作性を重視した設計。 反動制御も素直で、フルオートでも癖が少ない。

 

信頼できる主武装。

 

次に、PKPペチェネグ。

 

重量はあるが、その分、持続火力と安定性は群を抜いている。 銃身交換を前提としない設計は、長時間の制圧に向いている。

 

「火力を出せ」と言われたら、迷わずこれを選ぶ。

 

SVCh-8.6は、静かに横たわっている。

 

.338ラプア・マグナム。

 

この口径の反動を制御できる人間は限られるが、慣れてしまえば話は別だ。 遠距離から、確実に。 それだけを求めた一本。

 

最後に、MP-443。

 

フレームを昔ながらのスチールで作られた保守的で堅実な拳銃。 至近距離での保険。

 

それぞれに役割がある。

 

――そんな考えに耽っていると。

 

 

「……やっぱり、すごいですね」

 

 

背後から、控えめな声。

 

振り返ると、ノノミがベッドの横に立っていた。 少し遅れて、アヤネも入ってくる。

 

 

「さっきは、あまり詳しく聞けませんでしたけど」

 

 

ノノミは、AK-12を指差す。

 

 

「それぞれ、どう使い分けてるんですか〜?」

 

 

一瞬、言葉に詰まる。

 

(……説明、できるかな)

 

だが、隠す理由もない。 私は、淡々と答えた。

 

 

「AK-12は主武装です。近〜中距離なら、これ一本で対応できます」

 

「PKPは制圧用。弾をばら撒く役が必要な時に使います」

 

 

ノノミが、感心したように頷く。

 

 

「役割分担が、はっきりしてるんですね〜」

 

「SVCh-8.6は、狙撃用です。距離が取れるなら、一番安全」

 

「MP-443は……最終手段ですね」

 

 

そこで、アヤネがタブレットを操作しながら口を挟む。

 

 

「……理屈としては、非常に合理的です」

 

 

画面を見つめたまま、続ける。

 

 

「ですが……やはり、気になります」

 

 

タップ音。

 

 

「AK-12。市場価格、非常に高額です」

 

「PKPペチェネグも同様。SVCh-8.6に至っては……」

 

 

アヤネは一瞬、言葉を切った。

 

 

「個人が所有しているとは、考えにくいレベルですね」

 

 

ノノミが、苦笑する。

 

 

「合計したら……とんでもない額になりそうです〜」

 

 

背中に、冷たい汗が流れる。

 

 

(またか……)

 

「どうして、こんな装備を持っているんですか?」

 

 

アヤネの視線が、真っ直ぐ向けられる。

 

逃げ場はない。

 

頭の中で、必死に言葉を組み立てる。

 

 

「……必要だったから、です」

 

 

自分でも、曖昧だと思う答え。

 

 

「生き残るために、揃えました」

 

 

それ以上は、言えなかった。

 

サバゲーをしていたら死んで、 気づいたら知らない世界にTSしていて、 持っていたエアガンが実銃になっていた――

 

そんな話、信じられるはずがない。

 

沈黙が落ちる。

 

数秒後、アヤネはタブレットを伏せた。

 

 

「……分かりました」

 

 

完全に納得した様子ではない。 だが、それ以上追及する気もないらしい。

 

 

「今は、それで十分です」

 

 

ノノミが、柔らかく笑う――が、その視線は、ふと銃へと戻っていた。

 

 

「……でも、不思議ですね〜」

 

 

そう前置きしてから、AK-12を指差す。

 

 

「すごく綺麗なんです。この子」

 

「使い込まれた感じが、ほとんどなくて〜」

 

 

アヤネも、静かに頷いた。

 

 

「ええ。金属部のエッジに、摩耗がありません」

 

「塗装の剥がれも、操作部のテカりも……新品に近い状態です」

 

 

タブレットを操作する指が止まり、アヤネは改めて銃を見る。

 

 

「これだけの装備で、この保存状態……」

 

「実戦投入された形跡が、ほとんどないですね」

 

 

視線が、こちらに向けられる。

 

 

(……気づくよね、やっぱり)

 

「……メンテナンスだけは、ちゃんとしてましたから」

 

 

苦し紛れの答え。

 

だが、ノノミは責めるでもなく、

 

 

「なるほど〜……」

 

 

と、少しだけ納得したように微笑んだ。

 

アヤネは数秒、沈黙したまま――

 

 

「いずれにしても」

 

 

と、静かに言葉を継ぐ。

 

 

「性能を発揮する前に、ここまで保たれているのは……ある意味、幸運ですね」

 

「レインちゃんが、味方で良かったです〜」

 

 

その言葉に、胸の奥が少しだけ温かくなった。

 

(……私は、まだ何も分かっていない)

 

この世界のことも。 自分が、なぜここにいるのかも。

 

それでも――

 

AK-12の重みは、確かに現実だった。

 

――ただし。

 

(……実戦では、まだ一度も使ってないけど)

 

胸の奥で、そう付け足す。

 

整備は完璧。 操作も、反動制御も、頭と体に叩き込まれている。

 

それでも、この世界で“撃った”ことは、まだない。

 

そして、それを握る自分の手も。

 

まだ、戦える。

 

少なくとも、それだけは分かっていた。




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