ロシア装備でサバゲーしていた俺がいつの間にかブルアカの世界に転生してTSしていたんだが?   作:NK7

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続きました


No.70 戦闘終了

「やられました。完敗です」

 

 

まだわずかに煙の残る室内で、私はそう口にした。

 

呼吸を整えながら立ち上がる。

体に残る衝撃の余韻が、さっきの展開の速さを物語っていた。

 

(完全に読まれていた)

 

視線を上げると、そこにはすでに体勢を整えたRABBIT小隊。

 

その中心にいるミヤコへと歩み寄る。

 

足音が静かに床に響く。

 

ミヤコも一歩前に出る。

 

その表情は、最初に会った時と変わらない落ち着きを保っていた。

 

 

「最後に一矢報いることが出来ました」

 

 

ミヤコがそう言う。

 

その言葉に、ほんの少しだけ柔らかさが混じる。

 

(余裕、というよりは……評価)

 

私は小さく頷く。

 

 

「それでも、こちらの負けです」

 

 

正直な感想だった。

 

無理に取り繕う意味はない。

 

ミヤコは一瞬だけ目を細める。

 

 

「いいえ」

 

 

静かに否定する。

 

 

「一回戦と二回戦、どちらも見事でした」

 

「特に初動の連携と、後方支援の精度」

 

「初めての演習としては、かなり高いレベルだと思います。私たちはもっとグダグダでしたから」

 

 

(……見られている)

 

細かいところまで。

 

 

「ありがとうございます」

 

 

短く返す。

 

その上で――

 

 

「三回戦の防衛」

 

 

少しだけ視線を巡らせる。

 

爆発で抉れた壁、焦げ跡、散らばる破片。

 

「配置も、罠も、タイミングも」

 

 

ミヤコを見る。

 

 

「完璧でした」

 

 

ミヤコはわずかに首を振る。

 

 

「完璧ではありません」

 

 

即答。

 

 

「スタングレネードは、正直危なかったです」

 

「もう少し判断が遅れていれば、崩されていました」

 

 

淡々とした分析。

 

そこに慢心はない。

 

(だから強い)

 

私は小さく息を吐く。

 

そして、手を差し出した。

 

ミヤコも自然に応じる。

 

軽く、しかししっかりとした握手。

 

短いが、確かなやり取り。

 

その周囲でも、自然と会話が生まれていた。

 

 

「ねえねえ!!さっきのさ!!めっちゃ耐えてたでしょ!?」

 

 

アイラが丸眼鏡をかけたRABBITの隊員に詰め寄っている。

 

 

「びっくりしたよ!!何発もクレイモア耐えるなんて!!」

 

 

少し困ったような笑顔で答える相手。

 

 

「普通あそこで止まるでしょ!!なんで前進を続けるのさ!!」

 

「でしょ!?でしょ!?」

 

 

満足げにシールドを叩くアイラ。

 

その横で、リディアはヘルメットを被った隊員と落ち着いて会話をしていた。

 

 

「配置変更、見事だった」

 

「ありがとう」

 

「だが、あの分散配置」

 

 

少しだけ間を置く。

 

 

「最初から想定していたのか?」

 

 

問いに対して、相手は小さく頷く。

 

 

「ああ。二回戦を見て、外で撃ち合うのは不利と判断した」

 

「だから、全員を建物の内で迎撃する形にした」

 

 

(即応力が高い)

 

リディアは納得したように息を吐く。

 

 

「なるほど合理的だな」

 

 

一方、ミラは静かに別の隊員と話していた。

 

 

「……サーマルでも見えなかった」

 

 

ぽつりと呟く。

 

 

「…わ、私も建物の中で…室内を防衛…してたから」

 

 

相手が説明する。

 

ミラはわずかに目を見開く。

 

 

「……なるほど。見つからないわけです」

 

 

短く、しかし確実に何かを吸収している。

 

その光景を見ながら、私はもう一度ミヤコに向き直る。

 

 

「今日はありがとうございました」

 

 

姿勢を正す。

 

 

「とても有意義な時間になりました」

 

 

ミヤコも同じように姿勢を整える。

 

 

「それは私たちもです」

 

 

静かに頷く。

 

 

「互いに、さらに上を目指しましょう」

 

 

その言葉には、はっきりとした意思があった。

 

私も頷く。

 

 

「はい」

 

 

そして――

 

両者、同時に頭を下げる。

 

短く、しかしはっきりとした礼。

 

そのまま、RABBIT小隊は建物を後にする。

 

背筋の伸びた後ろ姿。

 

(また戦うことになる)

 

そう自然に思える相手だった。

 

――――

 

帰路。

 

夕方の空気が、少しだけ冷えてきている。

 

緊張が解けたことで、体の重さが一気に戻ってくる。

 

その中で――

 

 

「楽しかったね!!」

 

 

アイラの声が響く。

 

まったく疲れを感じさせないテンションである。

 

(……本当に元気だなぁ)

 

 

「……疲れた」

 

 

ミラがぽつり。

 

歩幅も少しだけ小さい。

 

 

「ミラと同感だ」

 

 

リディアも軽く肩を回す。

 

 

「集中しっぱなしだったからな」

 

 

(確かに)

 

私も内心で頷く。

 

 

「アイラの体力は凄いですね……」

 

 

素直な感想が口に出る。

 

 

「ふふーん、そうだろー!!」

 

 

胸を張るアイラ。

 

その様子を見て、リディアは少しだけ口元を緩める。

 

 

「そりゃあ三回戦中、二回も落とされたら体力余るわな」

 

 

さらっと言う。

 

一瞬の静止。

 

 

「言ったなー!!」

 

 

即座に反応するアイラ。

 

 

「事実だろう」

 

 

リディアが追撃する。

 

 

「ぐっ……!」

 

 

言い返せず、悔しそうにするアイラ。

 

(分かりやすい)

 

そのやり取りに、少しだけ空気が和らぐ。

 

 

「まあまあ」

 

 

私が軽く手を上げる。

 

 

「今日は皆さん頑張ったってことで」

 

 

三人を見る。

 

 

「帰って風呂入って、休みましょう」

 

 

現実的な提案。

 

 

「うん!」

 

 

アイラが即答。

 

 

「そうだな」

 

 

リディアも頷く。

 

 

「……了解」

 

 

ミラも小さく返す。

 

四人の足並みが揃う。

 

(……悪くない)

 

今日の結果。

課題。

収穫。

 

すべてを抱えながら、それでも――

 

どこか満たされた感覚があった。

 

他愛のない会話を続けながら、私たち寮へと戻った。

 




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