ロシア装備でサバゲーしていた俺がいつの間にかブルアカの世界に転生してTSしていたんだが?   作:NK7

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続きました


No.71 食堂にて

翌日。

 

昼休みの食堂は、昨日の演習とは対照的に穏やかな空気に包まれていた。

 

トレーを前に、ハスキー小隊の四人は同じテーブルを囲んでいる。

 

金属の食器が軽く触れ合う音。

周囲のざわめき。

 

(……こういう時間も悪くない)

 

私はそんなことを思いながら、箸を動かしていた。

 

その時――

 

 

「やっほー!後輩ちゃん!」

 

 

聞き覚えのある、軽い声。

 

顔を上げると、スズカ先輩がいつものテンションで手を振っていた。

 

 

「こんにちは。スズカ先輩」

 

 

レインは軽く会釈する。

 

 

「無事小隊に入れたみたいだね~!」

 

 

スズカはそのまま隣に入り込むように立つ。

 

 

「よかったよかった!そこ一番心配してたんだよね~!」

 

 

(……そんなに)

 

少しだけ意外に思う。

 

 

「はい。なんとか」

 

 

私が答えると、スズカは満足そうに頷いた。

 

 

「いや~でもさ!」

 

 

そのまま視線を三人へ向ける。

 

 

「後輩ちゃんだけじゃなくて、みんなも初めましてだよね!」

 

 

テンポよく手を振る。

 

 

「二年シュヴァル小隊所属、神谷スズカだよ!よろしくね~!」

 

 

その勢いに、三人がわずかに反応を遅らせる。

 

 

「あ、はい!風見アイラです!」

 

 

アイラが最初に乗る。

 

 

「霧島リディアです」

 

 

リディアは落ち着いて短く。

 

 

「……白峰ミラです」

 

 

ミラも小さく頭を下げる。

 

スズカはそれぞれを見て、大きく頷いた。

 

 

「うんうん、いいねいいね~!」

 

「なんかもうバランス良さそうな小隊って感じ!」

 

 

(見ただけで分かるのか)

 

私は少しだけ目を細める。

 

 

「昨日の演習も見てたよ~!」

 

 

スズカが続ける。

 

 

「めっちゃ良かったじゃん!」

 

「特に一回戦!あの連携は普通に完成度高かったし!」

 

 

(……見られていた)

 

少しだけ背筋が伸びる。

 

 

「ありがとうございます」

 

 

私は素直に礼を言う。

 

だがすぐに続ける。

 

 

「ですが、まだまだです」

 

 

自然と出た言葉。

 

頭の中には三回戦の光景。

 

 

「詰めの甘さもありましたし、対応力も――」

 

 

言いかけたところで。

 

 

「いやいやいや!」

 

 

スズカが軽く手を振って止める。

 

 

「初戦であれだけ出来れば十分すぎるって!」

 

 

少しだけ身を乗り出す。

 

 

「むしろあの短期間であそこまで形にしてるのがすごいの!自信もって!」

 

 

まっすぐな評価。

 

(……否定する理由はない)

 

私は一瞬だけ考え、そして小さく頷く。

 

 

「……ありがとうございます」

 

 

そのまま受け入れる。

 

スズカは満足そうに笑う。

 

 

「よしよし、それでいいの!」

 

 

軽く肩を叩く。

 

 

「自信持っていこ~!」

 

 

(……この人は)

 

ペースが速い。

 

だが、言っていることは的確だ。

 

その時、スズカがふと時計を見る。

 

 

「あ、やば」

 

 

軽く声を漏らす。

 

 

「時間だ!」

 

 

そのままくるっと踵を返す。

 

 

「じゃ、またね後輩ちゃんたち!」

 

 

手を振りながら、そのまま人混みの中へ消えていく。

 

一瞬でいなくなる。

 

その場に残った空気が、少しだけ静かになる。

 

 

「……嵐みたいな人だったねー」

 

 

アイラがぽつりと呟く。

 

 

「同感だ」

 

 

リディアも短く同意。

 

 

「……でも、いい人だね」

 

 

ミラが小さく補足する。

 

(確かに)

 

私も内心で頷く。

 

その時――

 

 

「ちょっと待ってーー!!!」

 

 

さっきと同じ声。

 

(……戻ってきた)

 

全員が同時に振り向く。

 

スズカが全力で戻ってくる。

 

息が少し上がっている。

 

 

「言い忘れてた!!」

 

 

机の横で止まり、そのまま指を立てる。

 

 

「FoX小隊も見てたよー!!」

 

 

一言。

 

それだけ言って――

 

 

「それだけ!!じゃあね!!」

 

 

再び走り去っていく。

 

今度こそ完全に消えた。

 

数秒の沈黙。

 

 

「……え?」

 

 

アイラが固まる。

 

 

「フォックス?」

 

 

リディアが眉をひそめる。

 

 

「……あの?」

 

 

ミラもわずかに表情を変える。

 

三人とも、明らかに反応が違う。

 

(……知っている名前)

 

私だけが、その温度差に置いて行かれている。

 

 

「そんなに有名なんですか?」

 

 

自然と問いが出る。

 

三人が同時に私を見る。

 

そして――

 

 

「有名っていうか……」

 

 

アイラが言葉を探す。

 

リディアが静かに続ける。

 

 

「この学園で知らない者はいない」

 

 

短く、しかしはっきりと。

 

ミラも小さく頷く。

 

 

「……最上位…最強の小隊の一つ」

 

 

(……なるほど)

 

私はその言葉を受け止める。

 

昨日の演習。

 

その一部始終を――

 

(見られていた)

 

胸の奥に、わずかな緊張と――

 

少しの高揚が混ざる。

 

気持ちを入れ替え、食堂から出た。

 




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