あらすじ
ノイズ殲滅!
凄まじい光がコンサート会場を覆った後。
蒼い髪をした少女は男に己の得物である刀を向けていた。
「貴方を特異災害対策機動部二課として拘束させていただきます、抵抗しないでください。」
男が口を開く。
「今でなければだめか?」
男の純粋な疑問、だが少女はそれにすぐさま答えることは出来なかった。
ここで新たなノイズへの対抗手段を増やすために相棒の奏を失う選択は取れなかった。
「負傷者に処置してからで良いだろう。あんたの相方もケガしてるしな。」
男はそう言って奏に近づきまたしても何も無いところから赤色の液体の入った瓶を取り出した。
「安心しろ、襲うつもりはない、第一自分の命張ってまで助けた相手を襲うと思うか?」
奏は首を横に振る。
「ならこれ飲んで寝てろ、そこの子供の処置は俺がする。」
「なら任せるよ、おっさん?」
「ああ、任された。」
奏は男に言われた通り渡された液体を飲み干して休むことにした。
代わりに男は奏が必死に介抱していた少女を抱きかかえた。
男はどこからか取り出したアミュレットとハートの形をしたトーテムを置き語りかける。
「遅くなってすまない・・・“響”」
その声で意識を取り戻したのか響と呼ばれた少女が小さいながらに呟く。
「いつ・・まで待、たせたの・・・?お兄ちゃん。」
「6年と3か月だな。」
「じゃあ・・・その、分構ってね?」
「ああ、約束する。」
「少し・・・お昼寝、するね。」
「分かった、少し揺れるが寝れるか?」
「・・・・スー、スー・・・」
「・・・フッ聞くまでも無いか。」
男は響に負担を掛けない様に最小限の動きでコンサート会場を離れた。
~移動中~
瑠璃sids
あの後すぐさま響を病院に入院させた、医者が言うにはあと少し処置が遅れていたら失血死していたらしい。
・・・あの少女達には感謝しかないな。
今現在俺がいるのは響の病室でここには響と俺しかいない。
響の護衛兼治療のためだ。
別にこの世界の医療技術を甘く見ているわけではないがそれでも『オーバーワールド』の医療技術も侮れない。
何しろ食べ物だけで致命傷だろうが何でも治せるからなぁ・・・
そこにドアがノックされる音が響く。
「待っててください、今鍵を開けます。」 ガチャ
ドアから現れたのは優しそうな顔をした栗色の髪を持つ夫婦だった。
「・・・瑠璃?」
「お、お前・・・瑠璃・・か?」
「・・・ああ、それ以外に何がある?」
「瑠璃・・・本当に瑠璃なの?」
「だからそうだと言っているだろ?」
直後病室に乾いた音が鳴る。
瑠璃の頬を女性が叩いたからだ。
「・・・今までどこほっつき歩いてたの?」
「(噓ついても駄目そうだなこりゃ・・・)驚くなよ、父さん、母さん。」
「何?誘拐でもされてたのか?」
「まあ・・・そんな感じだ、そのついでで・・・世界を救いに少し寄り道をした」
「馬鹿野郎!ついでで世界救うなよ!父さんが空しくなるだろ!」
バチン!
「五月蠅いよあなた、それよりも・・・瑠璃、あなたはその世界での選択は後悔してない?」
「・・・後悔しないことなど無い、何度もあの時ああしていれば・・・と思う時だってあるだけど今の俺が居る今はどうしようもない結果に過ぎない。だから、俺はこの選択が一番だったと思っている。」
「そう・・・あなたが後悔を前向きに捉えられているのなら私は何も言わないわ。あなたは?」
「俺が言いたい事は大体母さんが言ってくれた、だから一言だけ。」
「良く帰って来た。」
「・・・ああ、ただいま母さん、父さん。」
英雄は休まなければならない、新たな災厄に打ち勝つために。