戦闘狂の白狐   作:ぐちロイド

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第1話:神殺しの退屈と、新たな「ゲーム」

 

連「……あー、退屈だ」

 

かつて「創世の神」として世界を再構築し、全ての願いを見届けた男、暁 連(あかつき れん)。 彼はあまりに強くなりすぎた。戦うべき敵も、叶えるべき野望も、全てやり遂げてしまった。そんな彼を、次元の狭間に住まう「女神」が物珍しそうに覗き込む。

 

 

女神「あら、全能の神様がそんな顔をしてどうしたの? 望むなら、別の理(ことわり)を持つ世界へ送ってあげてもいいけれど」

 

 

連は不敵に口角を上げた。その目は、かつての狐の仮面の男と同じ、鋭くもどこか楽しげな光を宿している。

 

連「いいだろう。ただし条件がある。俺を『戦い』が日常にある場所へ放り込め。……あと、最初から最強じゃつまらない。攻略(ゲーム)のしがいがある環境がいいな」

 

 

女神「いいわ。じゃあ、超常が日常となった世界――『個性』社会へ。あなたの力は、今はまだ小さなギアに封じ込めておきましょう」

 

 

次に目覚めた時、連の視界は低くなっていた。5歳の子供の体。 転生先は、日本の片隅にある荒れ果てた孤児院だった。親の顔も知らない。あるのは、右手に握りしめられた真っ白な「デザイアドライバー」の形をしたアザだけ。

 

連「……ふん。ハードモードだな」

 

連は5歳児とは思えない身のこなしで、施設を抜け出した。この世界の「個性」と呼ばれる力――連にとっては、かつての「デザイア・ギア」そのものだ。

 

ある霧の深い夜。 路地裏でガラの悪いヴィラン数人に囲まれた連は、小さな拳を握りしめていた。

 

ヴィラン「おいガキ、その綺麗な服をよこしな……」

 

連「断る。これは俺の『理想』にふさわしくない」

 

連が手をかざすと、虚空からマグナムバックルが実体化する。 バァン! と乾いた銃声が響く。5歳児の放った「個性」の弾丸が、ヴィランの足元を正確に撃ち抜いた。

 

ヴィラン「な、なんだこのガキ……!?」

 

そこへ、騒ぎを聞きつけた一人のプロヒーローが駆けつける。

 

?「そこまでよ、ボーイズ! ……あら?」

 

18禁ヒーロー、ミッドナイト。 彼女が目にしたのは、倒れ伏すヴィランたちと、その中央で退屈そうに空の銃口を吹く、狐のように端正な顔立ちの少年だった。

 

ミッドナイト「ボウヤ……あなたがやったの?」 「……アンタ、いい匂いがするな。ヒーローか?」

 

連の不敵な笑みに、ミッドナイトは毒気を抜かれた。同時に、この少年の瞳に宿る「戦いへの渇望」に、言いようのない危うさと魅力を感じる。

 

ミッドナイト「行き場がないなら、私のところへ来なさい。その『個性』、もっと面白いことに使わせてあげるわ」

 

こうして、暁連はミッドナイトの養子として、ヒーロー社会へと足を踏み入れた。

 

 

 

暁連が香山(ミッドナイト)の家に引き取られてから、数年が経った。

戦いの中にしか生を実感できない連にとって、この世界の「ヒーロー」という職業は、公然と暴力を振るえる最高の娯楽に思えた。だが、その日常は別の意味で「戦い」の連続だった。

 

 

香山「連ー! お風呂沸いたわよ。一緒に入りましょ!」

 

リビングでマグナムバックルの整備をしていた連は、風呂場から聞こえる艶めかしい声に溜息をついた。

 

 

連「……断る。俺はもう12歳だ。香山さん、あんたも年頃の男を誘うのは控えろ」

 

 

香山「あら、親子(仮)じゃない。いいから来なさい!」

 

有無を言わさない圧力(と、ほんのり漂う眠り香)に抗えず、連は渋々浴室の扉を開ける。

湯気の中にいたのは、ヒーロースーツを脱ぎ捨て、奔放な美貌を露わにしたミッドナイトだった。

 

 

 

香山「ふふ、やっぱりあんた、5歳の頃から変わらないわね。その、世界を達観したような目」

 

 

連「あんたが変わらなさすぎるんだ。……その『個性』、もっと有効活用すればいいものを」

 

 

連は背中を向け、湯船に浸かる。ミッドナイトは楽しげに笑いながら、連の背中を流し始めた。

 

香山「私は十分活用してるわよ? 敵(ヴィラン)を眠らせ、ファンを虜にする。これぞヒーローの華でしょ。……それより連、あんたのその『ギア』。最近、また出力が上がってるじゃない」

 

 

連「……ああ。マグナムだけじゃ足りない。もっと速く、もっと重い一撃が必要だ。この世界(ゲーム)の難易度が上がる前に、全てを揃えておく」

 

 

香山「戦闘狂ねぇ……。でも、あんたのその渇望、嫌いじゃないわ。雄英(あっち)に行けば、あんたを満足させる『獲物』がいくらでもいるわよ」

 

 

ミッドナイトは連の耳元で囁き、妖艶に微笑む。連はその挑発を鼻で笑い、赤い瞳に闘志を宿した。

 

 

 

そして迎えた、雄英高校入試。

広大な演習場に、多数の受験生が集結していた。その中には、爆破を撒き散らす少年や、焦燥感に駆られた緑色の少年もいたが、連にとっては等しく「モブ」に過ぎない。

 

プレゼント・マイク「スタート!!」

 

プレゼント・マイクの号令と同時に、連は腰のドライバーに二つのバックルを装填した。

 

**『MAGNUM!』『BOOST!』**

**『READY FIGHT!』**

 

連「……さあ、ハイライトだ」

 

白いアーマーが連の身体を包み込む。

直後、連は**ブースト**の爆発的な推進力で地を蹴った。他の受験生が最初の一歩を踏み出す前に、彼は既に街の最深部、3ポイントロボットの群れのど真ん中に到達していた。

 

連「一機」

 

右腕のマグナムシューター40Xが火を噴く。

精密な射撃がロボットの関節部を貫き、瞬時に機能停止させる。間髪入れず、連は背中のマフラーから炎を噴射。円を描くような回し蹴りを叩き込む。

 

**『BOOST TIME!』**

 

連「オラァッ!!」

 

炎を纏った一撃が、装甲の厚い1ポイント、2ポイントをまとめて爆砕した。

周囲の受験生たちは、ただ呆然と立ち尽くす。そこにあるのは、洗練された「格闘」と「射撃」の完璧な融合。

 

モブ1「な、なんだあの白い奴……! 全部持っていきやがる!」

 

 

モブ2「速すぎて見えねぇ……!」

 

連はそんな雑音すら耳に入らない。ただ、効率的に、かつ無慈悲にポイントを稼いでいく。

高層ビルの屋上から飛び降りざま、空中で**マグナム**を連射し、地上の敵を殲滅。着地と同時にブーストのパワーで次のエリアへ転進する。

 

連「……退屈だな。もっと強いやつを出せ」

 

連の視線の先、地面を揺らして現れたのは、巨大な「0ポイント」の仮想ヴィランだった。

他の受験生が逃げ惑う中、連は逆にニヤリと笑い、腰のハンドルを回す。

 

連「いい獲物だ。……少しだけ、出力を上げるぞ」

 

その瞳は、ヒーローの救済心ではなく、強敵を屠ることを悦びとする「戦闘狂」の輝きを放っていた。

 

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  • 炎系
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