文化祭の喧騒が、凄惨な「人狼ゲーム」によって塗り潰された放課後。A組の教室には、これまでにない重苦しい空気が流れていた。
緑谷「……暁くん、答えてくれ。本当に、あんな方法しかなかったのか!」
緑谷出久が、震える拳を机に叩きつけ、連に詰め寄った。周囲のクラスメイトたちも、連の「一度殺して創り直す」というあまりに非情な光景に、恐怖を隠せないでいた。
緑谷「本物の人間を……僕たちの守るべき市民を、君は躊躇いなく撃った。もし『創世』が間に合わなかったら、君は人殺しだ!」
連は窓際で夕陽を背に、冷めた瞳で緑谷を見下ろした。
連「……効率の話だ、緑谷。一人ずつ判別する時間をかけていれば、犠牲者は数倍に増えていた。俺は最小の被害で、最良の結果(リザルト)を出しただけだ」
緑谷「結果が良ければそれでいいなんて……そんなのヒーローじゃない!」
連「……俺は最初からヒーローなどという安っぽい椅子に座るつもりはないと言ったはずだ。お前の理想に俺を当てはめるな」
連はそれだけ言い残し、静まり返る教室を後にした。かつては神として崇められたその背中に、今はクラスメイトたちの「拒絶」の視線が突き刺さっていた。
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同じ頃、九州ではNo.1ヒーローとなったエンデヴァーが「ハイエンド・脳無」と死闘を繰り広げていた。だが、ベロバが用意した真の「不幸」は、別の場所で芽吹いていた。
パトロール中の連の前に、紫色の霧と共にベロバが現れる。
ベロバ「あはっ! さっきは酷いことしてくれたわね、ギーツ。でも、次はそう簡単にはいかないわよ? あなたが一番『戦いたくない相手』を用意してあげたわ」
ベロバが指を鳴らす。霧の向こうから現れたのは、かつて連と共に戦った者たちの「残像」――**バッファ、タイクーン、ナーゴ**の複製体(コピー)だった。
連「……デザイアグランプリのデータか。悪趣味な真似を」
連は**『レーザーブースト』**へと変身し、迎え撃つ。しかし、次の瞬間、連は初めて自身の感覚が裏切られるのを覚えた。
連「な……っ!?」
タイクーン(複製)が、連の死角を完璧に突いて「ニンジャ」の斬撃を繰り出す。バッファ(複製)は、かつての猛牛のような猪突猛進ではなく、ジャマトの毒を纏った「ゾンビ」の鎖で連の四肢を絡め取った。
連「ツムリ! こいつらの演算パターンはどうなっている!」
ツムリ『……解析不能です、連様! 彼らは単なるデータではなく、ベロバ様がこの世界の「悪意」を注ぎ込んだ、あなたの「罪悪感」を突くためのアルゴリズムで動いています!』
連の脳裏に、かつて自分が救えなかった、あるいは切り捨ててきた世界のリセットの記憶がフラッシュバックする。
連「ガハッ……!」
ナーゴ(複製)の放った「ビート」の衝撃波が、無防備な連の胸元に直撃した。
ベロバ「あはは! 痛快だわ! あの無敵のギーツが、かつての仲間の人形に殴られてる! ほら、どうしたの? また『創世』して消しちゃえばいいじゃない!」
ベロバの嘲笑が響く。連は膝をつき、激しい呼吸を繰り返した。
これまでのヒーローやヴィランは、この世界の「個性」というルールの中で戦っていた。だが、目の前のコピーたちは、連と同じ「デザイアグランプリ」の理、そして連自身の過去そのものを武器にしている。
連「……こいつらは……俺が創ってきた世界の……『澱(おり)』か……」
バッファ(複製)のチェンソーが連の装甲を削る。
初めての苦戦。初めて感じる、理不尽なまでの「痛み」。
連は血の混じった唾を吐き捨て、震える手でレーザーレイズライザーを握り直した。
連「……ベロバ。アンタは、地雷を踏んだぞ。……過去の遺物に頼らなければ俺に勝てないなら、その過去ごと……今ここで完全に『絶滅』させてやる」
連の瞳が、これまでにない禍々しい光を放ち始める。
神としての余裕が消え、一人の「執念」を纏った戦士としての本能が目覚めようとしていた。
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暴走したブーストMark IIIの力は、ベロバの複製体たちを塵に帰した。しかし、その代償は連の肉体――この世界の「暁連」という器を根底から侵食していた。
寮の自室、白大理石のソファに横たわる連の姿は、痛々しいほどに不安定だった。
連「……っ、またか」
ふと自分の右手に目をやると、指先がノイズのように揺らぎ、背後の景色が透けて見えていた。この世界の因果律が、過剰な力を振るった連を「エラーデータ」として排除しようとしているのだ。
ミッドナイト「連! お願い、しっかりして……っ!」
香山睡が、泣き出しそうな顔で連の手を強く握りしめる。彼女は自分の個性を抑え込み、ただ一人の女性として、消えゆく恋人をこの現世(うつしよ)に繋ぎ止めようと必死だった。
ミッドナイト「私がここにいるわ。あなたの体も、心も、私が全部抱きしめて離さないから……だから、消えないで!」
連「……香山さん。アンタがそんな顔をすると、ゲームオーバーになった気分だ」
連は力なく笑うが、その体温は驚くほど低い。ツムリが傍らで、創世の女神の力を用いて連の存在を定着させようと祈り続けていた。
部屋の隅、空間が歪み、次元の隙間からジーンが姿を現した。その表情はいつもの熱狂を帯びたものではなく、冷徹なサポーターとしての危機感に満ちていた。
「素晴らしい感動をありがとう、ギーツ。……だが、今の君は『演出』が行き過ぎている。この世界の器に対して、その力(Mark III)はあまりに重すぎる。このままでは君の『存在』そのものが、この世界のログから完全に消去されることになるだろう」
連「……解決策(チート)はあるんだろうな、ジーン」
ジーン「真のブーストMark IX……白銀の狐の力を完全に制御することだ。だがそれには、君がこの世界に対する『執着』を証明し、神としてではなく、一人の『人間』としてこの理に刻まれる必要がある。それが君への最終試練だ」
ジーンはそう言い残し、銀色のコインを連の枕元に置いた。それが試練への鍵であることを示唆して。
一方、1年A組の談話室は、かつてない静寂と恐怖に支配されていた。
上鳴「……見たか、あの姿。あれはもう、ヒーローなんて呼べるものじゃない」
瀬呂「更地になった街を見たよ。暁くんは……僕たちの知っている『暁連』じゃない。あれは、ただの天災だ」
上鳴や瀬呂が震える声で話し、八百万は沈痛な面持ちで俯く。緑谷は拳を握りしめ、自分たちの無力さと、連が踏み越えてしまった一線の深さに絶望していた。
爆豪「……アイツは、もう俺たちと同じ地平にはいねぇんだよ」
爆豪の吐き捨てるような言葉が、決定的な亀裂を浮き彫りにした。
翌朝、連がふらりと教室の入り口に姿を見せた瞬間、クラス全員が息を呑み、反射的に身構えた。その視線は「仲間」に向けるものではなく、猛獣、あるいは「いつ牙を剥くか分からない怪物」に向けるものだった。
連「……フン」
連は自分の席に座ることなく、踵を返した。
(動きにくい。この世界の『ルール』に縛られた学園生活は、今の俺にはもはや窮屈な檻でしかないな)
連「ツムリ。……雄英を辞める準備をしておけ。このステージの『攻略』には、別のルートが必要になった」
ツムリ「連様……。それは、香山様や壊理様との別れを意味しますが、よろしいのですか?」
ツムリの問いに、連は答えない。ただ、窓の外に広がる広大な世界を見つめていた。
神として君臨し続けるか、あるいは人として消えるか。
暁連の「ハイライト」は、かつてないほど残酷な分岐点を迎えていた。
ナルトの二次創作で見たい尾獣の能力は?
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