戦闘狂の白狐   作:ぐちロイド

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第22話 白銀の庭園、継承される意志

 

地を埋め尽くす紫の濁流——ベロバが解き放った数万のジャマト軍勢が、疲弊したプロヒーローたちを飲み込もうとしていた。死柄木の「破壊」とジャマトの「増殖」が混ざり合い、戦場は救いのない地獄と化す。

 

 

 

ベロバ「あはは! 逃げ惑いなさい、泣き叫びなさい! これこそ私が望んだ最高の不幸よ!」

 

 

プレミアム・ベロバが空中から嘲笑を振りまく。

 

だが、上空に停滞するギーツIX(ナイン)は、ただ静かに指先を天へと向けた。

 

連「……お前のセンスは、いつ見ても泥臭くて反吐が出る」

 

連が掌をゆっくりと握りしめる。

**『BOOST IX VICTORY!』**

白銀の光が蛇腔の街全域を包み込んだ。それは破壊の光ではない。世界の「構成要素」を強制的に書き換える、神の定義の変更。

 

ベロバ「なっ……何をしたの!?」

 

 

ベロバの驚愕の声が響く。

地を這い、ヒーローたちに牙を剥いていた数万のジャマトたちが、一瞬にして光の粒子へと分解された。そして次の瞬間、それらは悍ましい怪物ではなく、色鮮やかな**「青いバラ」**へと姿を変え、戦場を埋め尽くした。

 

殺伐とした廃墟が、一瞬にして幻想的な花園へと変貌する。

 

連「……汚らわしい雑草のまま死ぬよりは、華やかでいいだろう? ベロバ。アンタの『不幸』は、俺の指先一つでいつでも『喜劇』に書き換えられる」

 

ベロバ「……っ、ふざけないでよギーツ!!」

 

 

怒りに震えるベロバを冷たく見下ろし、連は地上の三人に視線を送った。

 

---

 

 

 

連「……おい、お前ら。いつまでそこに突っ立っている」

 

連の言葉が、唖然としていた緑谷、爆豪、轟の脳内に直接響く。

連は「創世」の力で、彼らの周囲にだけ、より強力な特殊個体「ナイトジャマト」数体を敢えて再構成(リポップ)させた。

 

連「俺が遊んでいる間、この『残党』を処理してみせろ。修行の成果、見せられないなら……その個性を今ここで消去してやる」

 

爆豪「……言われなくても、やってやるよ!!」

 

 

爆豪が新技**「ハウザーインパクト・クラスター」**で、青いバラの海を割りながら突進する。

 

 

緑谷「暁くん……見ていてくれ、これが僕たちの、ヒーローの力だ!」

 

 

緑谷が**「黒鞭」**と**「発勁」**を同時起動し、光速に近い踏み込みでジャマトの核を撃ち抜く。

 

 

轟「……親父の火力を超えてやる」

 

 

轟が最大出力の冷気と炎を螺旋状に放ち、空間ごと敵を封殺した。

 

かつて連に叩きのめされ、圧倒的な「格差」を見せつけられた三人は、今や連の創り出した「神の戦場」で、誰よりも鋭く、誰よりも強く輝いていた。

 

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連「……フン、少しはまともな牙になったか」

 

連は背後の死柄木、そして眼前のベロバを交互に見据える。

 

 

連「さて……。お前たちの相手は、俺一人で十分だ。……世界を壊す『破壊神』と、世界を弄ぶ『観客』。どちらから先に、俺の理想の犠牲(いけにえ)になりたい?」

 

九本の白銀の尾が、再び意志を持つかのように広がる。

地上では緑谷たちが次世代のヒーローとして覚醒し、上空では連がこの世界の因果を終わらせるための最後の一撃を練り上げる。

 

物語の最終章は、今、暁連という神の手によって、決定的な結末へと向かっていた。

 

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白銀の庭園と化した蛇腔の街。その上空で、世界の創造主を自称する男と、世界の不幸を愛でる悪女の、決定的な決別が訪れる。

 

 

 

ベロバ「あはっ……! まさか私のジャマトまで塗り替えるなんて。やっぱりあなたは最高に不幸で、最高に愛すべき男だわ、ギーツ!」

 

プレミアム・ベロバが歪んだ愛憎を叫び、指先から禍々しい重力波を放つ。しかし、ギーツIX(ナイン)はその全てを九本の尾で軽やかに弾き飛ばし、一瞬で彼女の懐へと潜り込んだ。

 

連「……アンタの評価はもう聞き飽きた。このステージに、これ以上『観客』は必要ない」

 

連の白銀の掌が、ベロバの胸元にあるプレミアムカードへと伸びる。

 

ベロバ「や、やめて……! まだ私は、あなたの絶望を見ていな――」

 

連「退屈な観客は退場だ。二度と俺の視界に入るな」

 

**バキィィィィン!!**

 

連が指先に力を込めると、物理法則を無視した衝撃がカードを貫き、粉々に粉砕した。変身を強制解除され、光の粒子となって崩れていくベロバの身体。

 

ベロバ「嫌ぁぁぁぁ! まだ終わってない! 私はまだ、あなたの、あな……た……ッ!!」

 

断末魔の叫びと共に、連は次元の壁を強引にこじ開け、彼女の存在そのものを因果の果て、二度とこの世界に干渉できない虚無の空間へと永久追放した。

かつて戦場をかき乱した最悪の観客は、文字通り「物語」から消去された。

 

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連「……次は、お前の番だ。死柄木」

 

連はゆっくりと地上へ降り立つ。そこには、連の放った極光を浴び、再構築される街の圧力に肉体をズタズタにされた死柄木が、荒い息を吐きながら膝をついていた。

 

死柄木「……あ、あ……暁……連……ッ!!」

 

死柄木が、震える手で連の脚を掴もうとする。連は冷徹にライザーの銃口を彼の額へと向けた。

 

連「お前が望んだ『全てを壊す世界』は、ここで幕を閉じる。……安心しろ、痛みすら残さず消してやる」

 

連が引き金に指をかけた、その時だった。

 

コンプレックス「……行かせねえよ。弔を、連れて行かせてたまるかッ!!」

 

轟音と共に、戦場に巨大な「圧縮された塊」が降り注ぐ。**ミスター・コンプレス**だ。彼は満身創痍の身体を振り絞り、自身の個性を発動。連の至近距離で、死柄木を小さな玉へと閉じ込めた。

 

連「何……!?」

 

コンプレックス「逃げるぞ、死柄木!!」

 

黒霧のワープゲートが足元に開き、スピナーやトガ、残されたヴィラン連合の面々が、執念だけで連の「神の領域」に踏み込んできた。

 

連「……逃がすとでも思っているのか?」

 

連が指を弾き、空間を固定しようとする。しかし、コンプレスが自身の肉体を削り取って放った目眩ましの「マジック」と、死柄木の残滓から漏れ出た執念の「崩壊」が連の視界を一瞬だけ遮った。

 

 

 

コンプレックス「……ギーツ、お前の勝ちだ。……だが、俺たちはまだ生きてる。このクソみたいな世界が続く限り、死柄木弔は何度でも地獄から戻ってくるぜ……!」

 

コンプレスの掠れた声と共に、ワープゲートが閉じる。

そこには、連の攻撃によって更地になったはずの場所に、一輪の青いバラだけが残されていた。

 

連「……フン、しぶとい害虫共だ」

 

連は変身を解除し、静かに天を仰いだ。

死柄木を仕留めることはできなかった。だが、ベロバという外的な毒を取り除き、ヴィラン連合の牙を折ったことで、この世界の「攻略」は一つの大きな節目を迎えた。

 

ツムリ「連様。追撃なさいますか?」

 

 

ツムリが静かに寄り添う。

 

連「……いや。追い詰めすぎれば、鼠も何をするか分からん。それに……」

 

連は、遠くから自分たちを信じられないものを見るような、しかしどこか誇らしげな目で見つめる緑谷たち、そして泣き笑いの表情で駆け寄ってくる香山睡の姿を捉えた。

 

連「……今は、この『エンディング』を味わうとしよう。……お疲れ様、ツムリ」

 

連はわずかに口角を上げ、駆け寄る香山の腕の中に、今度は拒まずに身を預けた。

神の闘争は終わり、世界は再び、一時の「人の時間」へと戻っていく。

 

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