戦闘狂の白狐   作:ぐちロイド

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第3話 次元の違う「攻略者」

 

 

連「……行くぞ」

 

連が円の中で軽く膝を曲げる。その瞬間、腰のバックルが唸りを上げ、背中のマフラーから猛烈な火炎が噴出した。

 

**『BOOST TIME!』**

 

連が腕を振り抜くと同時に、爆発的な推進力がボールに伝わる。ドォォォン!! という鼓膜を揺らす轟音と共に、ボールは物理法則を無視した加速で空を切り裂き、一瞬で雲を突き抜けて視界から消えた。

 

相澤「……測定不能か?」

 

相澤の手元の端末には、凄まじい速度で上昇し続ける数値が表示されている。結果は当然の『∞(無限)』。

 

連「さて、次だ」

 

連は止まらない。

反復横跳びでは**『MAGNUM』**を装填。リボルブオンで下半身に白の装甲を纏うと、脚部の精密姿勢制御によって、残像すら残さない正確無比なステップを刻む。その動きはもはや生物ではなく、狂いなく設計された「精密機械」そのものだった。

 

50メートル走、立ち幅跳び、握力――。

連がバックルを入れ替えるたびに、これまでの雄英の記録を塗り替えるような異常な数値が叩き出されていく。

 

 

 

爆豪「おい、テメェ……ッ!!」

 

計測が一段落したところで、猛烈な爆発音と共に一人の男が詰め寄ってきた。爆豪勝己だ。彼にとって、入試1位の座を奪い、自分以上の爆発力を見せつける連の存在は、我慢ならない屈辱だった。

 

爆豪「そのふざけた装備(おもちゃ)は何だ! 隠し持ってんじゃねぇぞ、コラァ!」

 

爆豪の手の平で火花が散る。

 

連はゆっくりと振り返り、冷めた目で爆豪を見下ろした。

 

 

連「……ゲームのノイズが、うるさいな」

 

連は、腰のドライバーに紫色の禍々しいバックルを叩き込む。

 

**『ZOMBIE!』**

 

その瞬間、グラウンドの空気が凍りついた。

連の周囲から、ヘドロのように重く、腐敗したような禍々しい紫色のプレッシャーが溢れ出す。それは単なる威圧感ではない。「死」そのものを形にしたような、生物としての本能が逃げ出せと叫ぶ拒絶反応。

 

 

爆豪「……ッ!?」

 

突っかかろうとした爆豪の足が、ピタリと止まる。

爆豪の鋭い勘が告げていた。今この男に手を伸ばせば、その瞬間に自分の腕は「腐り落ちる」のではないか、という根源的な恐怖。

 

 

連「次は、ないぞ」

 

連が小さく呟くと、紫の霧がスッと消える。爆豪は舌打ちをしたが、それ以上言葉を発することはできなかった。

 

 

 

相澤「……暁 連」

 

相澤消太は、手元の端末と、涼しい顔でクラスメイトの輪から離れる連を交互に見た。

成績は圧倒的。技術も、判断力も、個性の出力も、既にプロの現場に放り込んでも通用するレベルにある。だが、相澤の胸には拭いきれない「違和感」があった。

 

相澤(……あいつの目に、他人を救おうとする意志が微塵も感じられない)

 

これまでのテスト中、連が見せた表情は、自己の限界に挑むアスリートのそれですらない。強いて言うなら、効率的に敵を殲滅し、ゲームのステージを攻略していく「作業者」の冷徹さだ。

 

相澤(ミッドナイト……お前、とんでもないものを拾ってきたな。あれは『平和の象徴』を支える柱になるか、あるいは……この社会すべてを壊し、書き換える『災厄』になるか。……極めて、合理的じゃない(合理的じゃない))

 

相澤は、連の背中に漂うかすかな「神の如き傲慢さ」に、プロとしての警戒を強めていた。

 

 

 

 

 

「屋内対人戦闘訓練」の当日。

ヒーロー科の生徒たちが思い思いのコスチュームで集まる中、連は白を基調としたスタイリッシュな装甲、**ギーツ・フォーム**を身に纏い、圧倒的な存在感を放っていた。

 

オールマイト「奇数ゆえに一人余るが……どうする、暁少年!」

 

 

オールマイトの問いに、連はリボルブオンのギアを弄りながら即答した。

 

連「一人でいい。二人組相手じゃ、ハンデにもならない」

 

その不遜な態度に教室がざわつく中、オールマイトが選んだ対戦相手は――。

 

オールマイト「いいだろう! ならば、爆豪少年・飯田少年チームvs暁少年だ!」

 

 

ビル内に足を踏み入れた連の耳に、爆音と共に壁を突き破る爆豪の叫びが届いた。

 

爆豪「逃げんじゃねぇぞ、この化け物狐がぁ!!」

 

連「逃げる? ……攻略の順序を考えていただけだ」

 

連は腰の**マグナムバックル**を叩く。

 

**『MAGNUM!』『READY FIGHT!』**

 

視界にHUDが展開され、壁の向こうにいる爆豪と、核兵器の防衛に徹する飯田の熱源を感知する。

連は一歩も動かず、マグナムシューター40Xの銃口を天井に向けた。

 

連「まずはノイズを消す」

 

バァン! と放たれた弾丸が跳弾を繰り返し、曲がり角から突っ込んできた爆豪の足元で炸裂する。

 

爆豪「あァ!? どこ狙って――」

 

連「そこだ」

 

連は**ブーストバックル**を回した。

**『BOOST TIME!』**

爆音。連は一瞬で爆豪の懐に潜り込み、火炎を纏った膝蹴りを腹部に叩き込む。

 

爆豪「がはっ……!?」

 

爆豪が吹き飛ぶ衝撃を、連はさらに空中で**マグナム**を連射することで相殺し、着地。

 

「飯田、爆豪がやられた! 救援に向か――」

 

無線機から聞こえる飯田の声を、連は冷たく遮る。

 

連「向かわせないと言ったはずだ」

 

連はバックルを**『COMMAND JET』**へと換装した。

**『COMMAND ON!』**

青い鋭利な装甲が展開される。狭い廊下にも関わらず、連はジェットの推進力で低空飛行。音速に近い速度で飯田の守る最上階へ。

 

飯田「速い……! だが、この距離なら!」

 

飯田が「レシプロバースト」で迎撃に出るが、連は空中で機体を反転させ、コマンドツインバックルの剣を振るう。

 

連「チェックメイトだ」

 

巨大なエネルギー斬撃が飯田の足を止め、その隙に連は核兵器に悠然とタッチした。

 

連「……ゲームセット。あまりに退屈な難易度(イージーモード)だったな」

 

モニター室で見ていたオールマイトは、冷や汗を流していた。

オールマイト(圧倒的だ……。一切の迷いがない。彼は戦っているのではない、ただ『処理』している……!)

 

 

 

訓練後、更衣室を出た連の元に、耳郎響香と上鳴電気が駆け寄ってきた。

 

耳郎「ちょっと、連! さっきの凄すぎだって。爆豪をあんなに子供扱いするやつ、初めて見たわ」

耳郎が少し頬を赤らめながら、イヤホンジャックを揺らして話しかける。

 

上鳴「マジでヤバかったぜ! 暁、今度コツ教えてくれよ。なんならこの後、耳郎も一緒にどっか寄って帰らねぇ?」

 

上鳴が調子よく肩を組もうとするが、連はスッと躱す。

 

連「……寄る場所がある。今日は帰る」

 

上鳴「えー、冷たいなぁ。あ、でも耳郎、こいつ意外と朝は優しかったんだぜ?」

 

耳郎「ちょ、ちょっと上鳴! 余計なこと言わなくていいから!」

 

駅までの道中、騒がしい二人の会話をBGMに、連はふと空を見上げた。

 

連(戦い……理想……。この世界(ゲーム)の果てに、俺は何を創るのか)

 

 

 

香山のマンション。

 

 

連「ただいま……」

玄関を開けた瞬間、連の体に柔らかな感触と、芳醇な香水の香りが飛び込んできた。

 

香山「おかえりなさーい、連! 頑張ったわね、モニターで全部見てたわよ!」

 

ミッドナイトが、薄手のスリップ一枚という、外では決して見せられない姿で連を抱きしめる。

 

 

連「……離せ。汗をかいている」

 

香山「いいじゃない。戦う男の匂い、嫌いじゃないわ。それとも……」

 

彼女は連の耳元で、蕩けるような声で囁いた。

 

香山「お風呂にする? ご飯にする? それとも……お・ね・え・さ・ん、にする?」

 

学校での厳格な教師の顔はどこにもない。そこにあるのは、自分にだけ向けられる、奔放で、独占欲の強い一人の女の顔。

 

連「……飯だ。腹が減っている」

 

香山「ふふ、即答ね。じゃあ、お風呂で体を洗ってあげてから、特製ディナーにしてあげる。さあ、こっちへいらっしゃい」

 

香山に強引に腕を引かれ、浴室へ連れて行かれる。

連は呆れながらも、この「戦いのない平穏」をどこかで許容している自分に気づく。

 

だが、連の赤い瞳の奥では、**『創世』**の力が静かに、しかし確実に拍動を始めていた。

 

 

 

 

ナルトの二次創作で見たい尾獣の能力は?

  • 炎系
  • 雷系
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