放課後の夕暮れ、二人が待ち合わせをしたのは、いつもの公園のベンチだった。
神高からやってきた星名は、先に着いて遠くの空を眺めていた。夕陽が彼女の輪郭をぼやけさせ、その体までもがオレンジ色の光の中に透けて消えてしまいそうなほど、静かで儚い空気を纏っていた。
宮女の制服を着た咲希が駆け寄った時、星名はまだその「遠い景色」の中にいた。
「……あ、……せーちゃんっ!」
「わわっ、咲希ちゃん!? どうしたの、そんなに急いで……っ」
咲希は言葉を返すより先に、星名の腰に飛びつくように抱きついた。
ベンチに座る星名の体に、自分のすべてを預けるような、必死な抱擁。咲希の指先は、かつての入院生活で知った「当たり前だと思っていたものが、いつの間にか消えてしまう怖さ」を思い出したかのように、小さく震えていた。
「……行かないで。ねえ、せーちゃん、どっか行っちゃダメだよぉ……」
「咲希ちゃん……? どうしたの、そんなに泣きそうな声で」
「あたしね、わかるんだよ。せーちゃん、時々すっごく遠いところを見てるでしょ? ……学校も違うから、会えない時間にせーちゃんが空に溶けちゃったらどうしようって、たまに怖くなるんだよぉ……!」
咲希の涙が、星名の制服を濡らしていく。
星名はそっと、自分を必死に繋ぎ止めようとする親友の肩を優しく抱き寄せた。
「大丈夫だよ、咲希ちゃん。私はここにいるよ。……咲希ちゃんがこうして名前を呼んでくれるから、私はどこにも行かないんだよ」
「……本当? 絶対に、勝手に消えたりしない? ……あたしと一緒に、もっともっと、楽しいこといっぱいして……おばあちゃんになっても、ずっと親友でいてくれる?」
「うん、約束。……はい、指切り」
夕闇が迫る公園で、二人は小指を絡ませる。
咲希の熱い涙と、星名の穏やかな微笑み。
学校という物理的な距離があっても、咲希の「生きる力」という鮮やかな色が、星名の透明感をこの世界に強く、優しく繋ぎ止めていた。
ネットの反応(後日、二人が制服姿で並んで自撮りした写真を上げた際)
• 「宮女と神高の制服ツーショット! 尊すぎて眼福……。でも咲希ちゃん、星名ちゃんの腕をがっしり掴んでて離す気なさそうw」
• 「星名ちゃんの透明感がすごすぎて、確かに咲希ちゃんがこうして掴んでないと、背景に溶けちゃいそうに見えるよね」
• 「『せーちゃんは絶対にあたしが守るもん!』ってキャプション、咲希ちゃんの覚悟を感じる……!」
周囲の反応(それぞれの学校にて)
• 一歌: 「……咲希、今日はすごく嬉しそうだね。……星名さんに会えて、安心したのかな。……よかった」
• 志歩: 「……咲希のあの様子、昨日まで相当不安だったみたいね。……まあ、東雲さんのあの儚さを見れば、気持ちは分からなくもないけど」