東雲家次女の日常   作:白雪琉衣

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一番星の停を表地——迷いを断つ、確かな体温

買い物の帰りに偶然出会った二人は、夕暮れ時の静かなベンチに並んで座っていました。

星名は、さっきまで見ていた画材店での出来事を思い出して、小さくため息をつきました。

「……新しい筆、買うか迷っちゃって。……私なんかが道具を新しくしても、……腕が伴わないと意味がないかな、なんて……」

INFJ特有の『自己疑念』と『非現実的な自己基準』。自分を厳しく律しすぎるあまり、星名は自分の「やりたい」という純粋な気持ちを封じ込めて、また儚げな影を纏い始めていました。

1. 巨匠の「正論」

「……何それ。意味わかんない」

ベースケースを足元に置いた志歩が、ぶっきらぼうに言いました。

「新しい道具が欲しいなら買えばいい。……迷うってことは、今の自分に満足してない証拠でしょ。だったら、それを変えるための投資は『意味がある』ってことじゃない」

志歩の言葉は、感情論を抜きにした極めて現実的な正論でした。複雑な「意味」の迷路を彷徨っていた星名にとって、そのシンプルさは驚くほど心にストンと落ちてきました。

2. 言葉のないグラウンディング

「……志歩ちゃん。……いつも、答えがはっきりしてるね」

「……あんたが考えすぎなだけ。……ほら」

志歩は自分のポケットから取り出した、お気に入りのピックを星名に見せました。

「私もこれ、最初は自分には早すぎるかもって思った。でも、使ってみなきゃ一生使いこなせるようにはならない。……絵も、同じでしょ」

志歩が星名の肩を、トン、と叩きます。その不器用な「励まし」の体温に触れた瞬間、星名の瞳から迷いの色が消え、ぱっと明るい笑顔が広がりました。

一人の時の消えてしまいそうな儚さは、志歩の放つ「芯の強さ」に寄り添うことで、穏やかな幸福感へと変わっていきました。

3. 一番星を繋ぎ止める「絆」

「……ありがとう、志歩ちゃん。……私、もう一回お店に行ってくる。……自分に、チャンスをあげてみるよ」

星名は立ち上がり、志歩の手をぎゅっと握りました。

ISTPの志歩は、過度な親密さを求められるのは苦手ですが、星名のこの「言葉を超えた信頼」には、居心地の良さを感じていました。

「……勝手にすれば。……納得いく絵が描けたら、見せてよ」

志歩は視線を逸らしましたが、繋がれた手を振り払うことはありませんでした。

星名は、志歩という確かな「現実」を隣に感じることで、自分の想像力や理想を恐れずに愛せるようになっていきます。二人の間には、説明のいらない、静かで強い信頼が流れていました。

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