I've never felt like so miserable
I've never felt like thinking this will last forever
Baby stay with me
最近不思議な夢を見る。
どこにいるかも分からないような、場所と呼べるかも怪しい空間に俺が立っている夢だ。
見る景色を表すなら、それは蛇。斑の模様がうねるように曲がり、その模様への距離感を狂わせ続けている。
青と黒の世界。見渡す限りその色が広がっていた。
そして、目の前にある青一色の扉。まるでその先の世界への門番かのように固く、重く閉ざされている。
その先へは必ず行くことはできなかった。何度ドアノブを回そうとしても、押しても引いても、まるで資格が無いかのように軽く跳ね除けられる。
また開かないのかと思い始める頃、いつも夢から覚めるんだ。
…………
……
……
憂鬱な朝だ。
空は雲一つない晴天、どこまでも飛んでいけそうなほど広くて、綺麗だ。
風だって心地良いのに。
「生きるって何だろう」
死神から教えてもらった出来事。しかし偶然生き永らえた現実。俺は生きて何をするんだろう。
何を目指すのだろう。
人生が楽しくなくなったあの瞬間から、未来なんて考えてもいなかった。考えたくもなかった。
今になって俺は……なんの為に……
「……ん?」
考え事をしている最中、偶然寄ったコンビニで知った顔を見かけた。きっとこれから先、何度も出会うであろう彼女だ。
彼女はコーヒー用カップを片手にレジに並んでいる。
そうか、ここのコンビニは自分で取るタイプなのか。
同じものを目的としていた為、俺もSサイズのカップを取り会計を済ませる。その間に彼女はマシンの方へと向かっていた。
「……むぅ」
声をかけるべきだろうか。
普段なら絶対そんな事しないだろうが、これは死神との約束だ。人とのコミュニケーションが大事なのかは未だに半信半疑ではあるが……
約束は約束だ。
「何してるんだ?」
ふたつある抽出マシンの使われていない片方にカップを置き、ボタンを押す。その一連の動きをしながら同じようにコーヒーを抽出しようとしている四季に声をかけてみた。
「え? あ、竹内くん」
見たところ、四季の動きは何処かぎこちない。おそらく普段からあまりこのタイプのコーヒーを楽しまないのだろう。
機会の使い方もあまりよくわかっていない様子だった。
「君はよくこのコーヒーを利用するの?」
それでも操作自体は簡単だ。横に書いてある簡素なマニュアル通りにすれば誰でも利用できるようにはなっている。
「まぁ、家には専用のマシンとか無いからさ。自販機の缶コーヒーは最後にザラつく感触があるタイプのしか近くには無いし、コンビニのやつが1番美味いから」
「ふーん。コンビニのコーヒーの方が美味しいのかぁ……」
「俺はそう思うってだけだけどな」
そうこうしている内に四季の方は抽出が終わったようだ。
カップを手に取り、蓋を付け、まずは香りを楽しむようにして顔を近づける。
「ほぅ……」
コーヒー特有の香りになのか、それとも機械抽出の割にはと言った所なのか、どちらにせよ彼女はお気に召した様子だった。
純粋なブラックを彼女は口をつける。
意外とブラックの方が好みなんだな……と思っていたその時、四季は噎せ返るように盛大にコーヒーを吹き出した。
「ごふっ!? けほっ……! けほっ……!」
味の方はお気に召さなかったのかな。
「っ!」
四季は人を刺せそうな程に鋭い目つきで俺を睨んでくる。
なにか悪いことしたか? 俺。
「こんなに苦いのに、本当に美味しいの?」
「ブラックコーヒーなんてのはそんなものだろ? 美味しいよ、妙なザラつきもないし、缶とは違って鉄っぽい味もしない。コンビニも色々あるけど、俺はこのファフリーマートのコーヒーが1番だと思ってる」
「そう……なんだ。ありがとう」
彼女は納得してはいない様子だ。まぁ四季的にはものすごく苦くて、何でこんなものを好んでいるのか分からない……みたいな感じなのだろう。
分からなくもない、初めてのブラックは結構キツイもんな。
「もし苦いのが少し苦手なら、そこのトッピングを取って使ったら良いよ。好きなだけ調整できる」
「でも、こういうのって制限とかないの?」
「無い。自由に使っていいんだ。その為のセルフだろう。2個でも3個でも10個でも自由に使えばいい」
とはいえ流石に10個もシュガーを入れないとは思うが。
「なるほどね、じゃあお言葉に甘えて」
四季が取り出したのはまずはシュガーを1本。先端を破りサラサラと砂糖を入れていく。
やっぱり苦かったのか。なんて思っていると、彼女は2本目のシュガースティックを取り出した。
まぁ2本入れる人はたまに見かけるよな。俺にとっては少し甘すぎてしまうから苦手になるけど。
そして3本目。余程甘いのが好きなんだな。
気が付けば4本目。素晴らしい豪快さだ。
お次に5本目。もうそこらのカフェラテよりは断然甘くなっているだろう。
まだまだ6本目。もう14キロの砂糖水でも飲んだ方が良いのでは?
最後に7本目。俺には生涯辿り着けない境地だ。
「……しっくりきたか?」
想像するだけで舌がジャリジャリになってしまいそうな、最早コーヒーと呼べるかも分からない飲み物。それを四季はいとも容易く口に流し込む。
自分から進めておいてアレだが、絶対美味くないだろう。
「ええ、美味しくなった」
じゃあさっきのブラックコーヒーに満足してそうな表情はなんだったんだよ。とツッコミそうになるのを我慢する。
きっと香りを楽しんでいたんだろうし……な。
なんのかんの言っても味の好みなんて人それぞれだ。いちいちそれを注意する道理はないだろう。
「……ん。美味い」
沢山の氷が浮かび上がっている黒色の液体。それを手に取り口に1口流し込む。
最初に刺激してきたのは程よい苦味。酸味を抑え、豆のコクを深く抽出した結果である証拠が舌にとって苦手な痛みをジワジワと沸き立たせる。
しかし嗚咽をするほどでは無い。むしろ苦味を感じるのは最初だけであり、喉を通る頃には水にも似た柔らかさすら感じた。
色々述べてはいるが、要は程よく美味いコーヒーだってことである。
「本当に美味しそうに飲むのね」
最初の一口を楽しんでいた俺を見ていたのか、隣にいる四季はそう言ってきた。
「事実美味しいからな。機械とはいえ豆から挽いてるから後味も悪くないし、苦味と酸味のバランスが絶妙だ。まるでバランスの良い山本選手だな」
「山本選手っていうのはよく分からないけど……君って味を楽しんでいるのね」
「真似てるだけさ。コーヒーを深く楽しめるのは心の余裕がある奴だけだって教えられたから」
心の余裕があるから楽しいのか、心の余裕を求めるフリをしているのかはわかんないけれど。
「ふーん……それじゃあコーヒーの味には詳しいってこと?」
「詳しいかどうかはわかんないけど……」
「知ってるってことで良さそうね。それじゃあお店まで来てくれる?」
「……? なんだ、淹れてくれるのか?」
「ええ、商品としての感想を知りたいのだけど、時間ある?」
見たところコーヒーが苦手そうなのにわざわざ買ってまで飲んでいたのはそういう理由があったからなのか。
なるほど、たしかに自分で飲んでみて、味を知ってからではないと美味さなんてわかりはしない。
「ある。どうせ今日も行くつもりだったんだ。せっかくだし付き合うよ」
「ありがとう。じゃあ行きましょう」
四季は自身の作るコーヒーについて真剣に悩んでいる様だ。
……四季のコーヒーについて、店に対しての強い熱意を感じる。
四季との仲が少し進展した気がする。
『我は汝……汝は我……』
『汝、新たなる絆を見出したり……』
『絆は即ち、自由へと至る更なる力とならん……』
1RANK
“女帝” 四季ナツメ
「あ、味を比べる為にもう1つ買っておいてほうが良いのかな、君はどう思う?」
「まぁせっかくだし……買ってみてもいいんじゃない? 明月も知りたいかもしれないし」
コミュニティ
死神……RANK1 明月栞那
女帝……RANK1 四季ナツメ
??……RANK0 高嶺昂晴
??……RANK0 ミカド
ヒロインって誰が好きですか?(ただ気になっただけです)
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即落ち2コマお姉ちゃん