「……」
四季と共にコンビニを後にしたのち、俺たちは昨日も集まった未完成の喫茶店内でさっそく入れて貰ったホットコーヒーを口にしていた。
もちろん作ったのは四季であり、俺はその味見役。あの高嶺なる男もこの店に来る予定ではあるらしいのだが、俺とは少し時間がズレてしまったようだ。
オマケに明月は何か用事があるらしく店内にはいなかった。せっかく買ってきたコーヒーが無駄になってしまったな。
……嘘みたいに静まり返った店に男女が2人。何も起きないハズもなく……事も無いので、特に何も起きない。
コーヒーを口にしてその味をふんだんに味わう。ゆっくり、丁寧に、隅々まで……
まぁ、素人の俺がどこまで偉そうに判断したら良いものかもわからないのだが、四季はコーヒーの味について知りたがっている様子だ。ここはソムリエぶって痛々しく調子に乗らせてもらおう。
何事も形から入るのは大事だ。
そうだろう? 俺はこの店の客なんだから。
「……うん、美味い」
一口を味わった後、カップを置いて俺は感じたままの感想を伝える。
ファフマのコーヒーを飲んだ時と同じ感覚……いや、流石に今目の前にある、四季に入れて貰ったコーヒーの方が、より深く、より濃くコーヒー豆の味や香りを堪能できた。
彼女も色々と勉強しているのだろう。動作の一つ一つに丁寧さを感じたし、現実として美味しいコーヒーを作れている。
素人の俺が感じた事だ、そんな俺が美味いと思ったのだから、普通の客がこのコーヒーを飲んだとしても素直に美味いと答える人が多いだろう。
……ぶっちゃけた話、美味いコーヒーを飲みたがっている人が何人いるのかは知らないが。喫茶店といえば大体が、パンケーキ等の食事を楽しむ為に行っているイメージだ。
ここのコーヒーが美味いから! って意見をあまり聞いた事がない。
…………が。
「味に問題があるとは思えないけど、四季はこれ以上のものを作りたいって思っているのか?」
「これ以上って言うか……」
四季は何やら言葉を喉に詰まらせている様子だ。そこを濁すということは、それなりに答えづらい質問だったってことだろう。
コーヒーは普通に美味い。仮に店に出すとしても違和感は無いだろう。
その品質を上げたいという欲望が第一ではない……とするならば、味のクオリティを上げたいが為の試飲では無く、もっと別の……それ以前の問題点を修正したいのかもしれない。
「このお店なんだけど」
この試飲の意図を探っている内に、四季はさっきの吃りを消し去るように呟く。
「まだ営業の許可が貰えてないの。大家さんに今日も足を運んでもらう予定なんだけど……もう1回や2回じゃないから」
営業許可……なるほど、店が開けていない理由はソレか。
「何度もダメ出しを食らってるから、このコーヒーを改善したい……いや、正当な評価が欲しかったのか」
「ええ、情けない話、ワタシはあまりコーヒーの味が分からないから」
確かに四季はブラックコーヒーは苦手そうだった。あんなに砂糖をドバドバぶち込むんだ、それじゃあコーヒーの評価なんて得意としないだろう。
「なるほどね……」
でも、それを踏まえて考えてみても、やっぱり納得はしない。
別にこのコーヒーは何度もダメだと言われる様な代物では少なくともないと思うから。
というか、そもそも大家さんとやらは本当にコーヒーの味を判断基準にしているのか?
ぶっちゃけた話、よっぽど酸味が強かったりしない限り、コーヒーの味なんて大した差はない。
と言うよりも、コーヒーの味のクオリティなんて客は二の次だと思う。そりゃ勿論美味しいコーヒーが飲めるに越したことはないが。
品質の良い商品を準備する事が店を出す条件?
コーヒーの味なんかよりも、そっちの方が気になってくる。
「……」
「何? そんなに見られると気持ち悪いんだけど……」
「いや、別に」
もしも俺が大家さんの立場だったら、一体何を考えるだろうか。
嫌がらせで許可をしていない。なんてことはしないと思う。もしそうだとしたら……接客? 対応? 味とは違う別の角度から見た方が良いのかもしれない。
のだが。
仮に、仮にその推察が当たっていたとして、俺はどうしようもないんじゃないか?
例えば接客態度が問題だったとしよう。普段から適当な俺が正しい仕草や作法を教えられるのか?
不可能だ。
それっぽくて適当な、それこそ意識している人にとって癇に障るようなことをしてしまう事態になりかねない。
下手に気づいたことを伝えると、それこそ四季は敏感に反応するだろう。
些細な事でも、指摘された点を中心に意識してしまうかもしれない。それが本題から逸れた部分だったりしたら本末転倒もいいとこだ。
けれど……
「まぁでも、コーヒーの味に関してはそんなに問題ないんじゃないかな」
「そう? なのかな」
「全く可能性がゼロって訳じゃないと思うけど、コーヒーの品質じゃなくてもっと別の視点から見てみるのもいいかもしれない」
「接客の対応だったり、店の雰囲気だったり。客の目線になってみるのも一つの手かもしれないしさ」
正直な話、俺に対する態度は普通。まぁその辺の客とは違って一応面識がある人間同士だ。多少柔らかくはなるだろう。
店の雰囲気だって嫌いじゃない。レトロと言うか、シックと言うか、静かさを楽しみたい俺にとっては割と理想ではある。
でも、必ずしも客が同じ感性だとは限らない。
むしろ若い連中はこういうのが苦手である事の方が多いだろう。自分たちには似つかわしくないと店の前で諦め、帰ってしまうかもしれない。
「それは……そうかもだけど」
「よく分かんないけどさ、その大家さんの許可ってのも、簡単に言えばある種の試験みたいなものだろ? もしかして今の俺相手みたいに、“それらしい”対応が出来てなかったりしてないか?」
「アレだったら、明月や高嶺達に練習相手になってもらうのも悪くなかったりしてな」
今の俺にできるアドバイスと言えば、これくらいだ。
それもこれが正解だなんて自信もないけど。
「接客の練習かぁ……」
なんて四季がどことなく苦手そうなため息をこぼしていると、入口の扉がガチャリと開く音が聞こえてきた。
「こんにちは〜」
聞こえてくるのは例の明るい声。噂をすればなんとやらってやつだった。
「見てくださいよナツメさん! 私が取ったんですよこれ!」
そう言って嬉しそうに右手を前に差し出す見せる明月。その手にはハンバーガーのアクセサリーが握られていた。
「“くれーんげーむ”で私が取れたんです! 凄くないですか?」
その横には微妙そうな顔をする高嶺が。きっとほぼ無理やり付き合わされたのだろう。
というか死神って普通に金持ってるんだな。
「なんでクレーンゲーム?」
四季もなんて返したらいいか悩んでいる様子だ。まぁ気持ちは分かる。
困惑する俺たちに気づかず、明月は部屋に飾ってくると言い残し、嬉しそうにして二階へ上がる階段に向かって行った。
……アイツこの店に住んでるのか。
「明月さんって毎日が楽しそうね」
「だな」
「とりあえず、今日はありがとう。お客さんの立場になってみるって言葉、いいアドバイスになったかも。どうしたらいいか少しまだ悩んでるけど」
「そうか? 笑顔になるだけでかなり印象って変わると思うけどな」
「笑顔か……」
露骨に面倒くさそうにする四季、確かにこういうのは苦手そうだ。
まだ出会って日が浅いが、四季が笑っているところなんて一度も見たことがない。
きっと苦手なんだろう。
「何事も第一印象って大事だと思うぜ、軽くでもいいから、笑ってくれた方が安心は出来るしな」
「……一理あるかも」
まぁどちらにせよ、思いついた殆どが本人の努力次第で変われるような事ばかりだ。
仮に大家さんの真意がそこになかったとしても、それだけでプラスの印象を与えられることは間違いない……と思う。
些細な違いではあるけれど、印象ってのはそれ程までに人と人とのコミュニケーションには大切な事だろう。
「少なくともやってみる価値はあると思う、それが正解とは限らないけどね」
「竹内くんって意外とまともなのね」
「ちゃらんぽらんだと思った?」
「変態の最低ゴミクズ野郎だと思ってた」
「いや本当にあの時はすみませんでした」
自分から思い出すなオーラ出してきているのに、俺を蔑む為にあの件を持ち出してくるなんて、よっぽど悔しかったんだろうな……見られたこと。
「でも確かに印象って大切かも、あの時と今とじゃ君の印象だって変わってるから」
「そう言ってもらえると助かる」
店の為の相談をし合った結果、四季は自分への印象が変化した様だ。
……四季との関係がより深まるのを感じる。
2RANK
“女帝” 四季ナツメ
「上手くやれる自信はないんだけどね」
「こういうのは練習が大事さ」
そう言って会話を終わらせると、四季は追加された人数分のコーヒーを準備し始めた。
コミュニティ
死神……RANK1 明月栞那
女帝……RANK2 四季ナツメ
??……RANK0 高嶺昂晴
??……RANK0 ミカド
ヒロインって誰が好きですか?(ただ気になっただけです)
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死神さん
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撃墜王さん
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カロリー0さん
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日焼け跡がエロくて可愛いドエロ谷さん
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即落ち2コマお姉ちゃん