答えなんてない 誰も教えてくれない
もしどこかにあるとしたら
君はもう手にしてる
貫くって決めたんなら 思いきり胸張って
顔を上げる事
「それで? 一体どういうつもりで覗いていたの? 一応言い訳は聞いてあげる」
結局、俺は部屋から立ち去ることを許されず、中に置いてあったパイプ椅子に座られて尋問を受けている。
東京の喰種でこんなシーンあったな。
まぁそれはそうと、彼女からしたら逃がすわけないのは当然の話だ。
……こりゃ警察も絡んできそうだ。
「言った所で信じやしねぇよ」
「変な所で男らしいのね。竹内くん」
「……あ?」
知っているのが当たり前かのように、俺の名を口にした彼女に俺は違和感を覚える。
それはもちろん自己紹介なんてものはしていないからだ。だから彼女が俺のことを知っているわけがない。
……どこかで会ったのか?
「何で俺の名前を?」
「何でって……大学で何度か会っているでしょ。学部も少し被ってるじゃない」
「そうだっけ」
既に面識があったのか……
正直記憶には残っていないけれど、相手がこう言っているんだ間違っては無いのだろう。
それよりもこの状況をどう切り抜けるのかを考えるのが優先だ。なんか普通に会話している様子だけど、彼女のこう……ゴミを見るような冷たい目があまり変化していない。
「で?」
ほら見ろ。
「はぁ……この場所に案内されて来たんだよ。ほら、証拠」
言葉よりも証拠になるものだと思い、あの時の死神に手渡された髪を1枚、机の上に置き、差し出す。
名前が書いてあるとかではないが、案内されたという部分は信用してもらえる……?
いや怪しいことには変わりないな。
どうせ怪しまれるのなら……
「死神の女の子からここに来いって言われたんだよ」
「ふ〜ん……」
意外な反応だった。
俺の言葉に対してバカにする訳でもなく、軽く流す訳でもなく。死神の女の子という部分を受け入れているような……そんな反応。
何を言っているのか? という表情ではなく、なんで知っているのか? とも読み取れる様な顔色だった。
「そもそも俺はアンタが居ること自体知らなかったんだ。こんな事しか言えないが……本当に悪気があった訳じゃない。が、悪い事をしたのは事実だからな、金なんかで良ければ……」
自分で身の潔白の説明をしているうちに、段々自分が悪いだけに思えてきた。
確かに中に人がいるなんて俺は聞いていない。本当に案内されただけだ。でも事は起きてしまった。
その事実がある限り言い訳もクソもない。
それに対しての謝罪が必要。
「誰もそんな事言ってないでしょう? お金なんていらないから」
「形として残らなきゃダメだろ。こういうのは」
「もういいから、案内されたって言い分も嘘じゃないみたいだし」
そう言い放った彼女は、脅しとして使っていた道具を元の場所に戻して、部屋の脇にある紙コップにポットから茶を注いでいる。
案外すんなり引いてくれるんだな。
最初の明らかな怒りと蔑みの様子からして、同人ゲームでよくあるような変態度と露出度が高いエロエロ女主人公みたいなタイプじゃ絶対ないし。
死神の女の子というワードを聞いた瞬間に見てわかるほど反応が変わった。
多分この人は知ってるんだ。あの人の事を。
だとしたら……この人もあの死神に誘われたって事か? でもなんで着替え? しかも横を見る感じメイドみたいな服装だし。
いつの間にか綺麗に畳まれているけど。
「ただしすぐに忘れること、二度と思い出さないこと」
「できない場合は?」
「私が消してあげる」
そう言って取り出そうとしたのは割と大きめな瓶だった。
ワインとかビールとか入ってそうな、よく映画なんかで人の頭を叩いているアレ。
「はい忘れましたもう一切覚えていません」
「……はぁ」
溜息をつきながら、彼女は紙コップを1つ俺に差し出してくれた。
さっき淹れてくれた2つのお茶の内の片方だ。
「ありがとう」
受け取った紙コップを啜るように一口。
温かいを通り越して熱いと感じる程の熱だったが、妙にその1杯が美味しく感じた。
何故だろう。
彼女を見ていると、眼が痛くなる。
まるで見てはいけないものを見てしまっているような……眼が見るなと訴えかけているような感じだ。
なんてことを感じている時。
淡い海色の蝶が、ヒラヒラと俺達の間を舞い通った。
「……!」
初めて見る。
そのあまりにもの不自然な状況から、これが例の蝶なのだと気づくことができたからだ。
扉を閉め、窓もないこの部屋で外から入ってくるなんてことありえない。最初から部屋にいたとは考えられない。
つまりはこれがそうなんだ。
梁芦の言っていた、青色の蝶。
なんではっきりと見えたのかは分からない。が、今更そんなことはどうでもいい。
大事なのは見えないものが見えるようになったという事実。どうやら俺は本当にあの死神に聞かなければいけないことがあるみたいだ。
となると、このまま帰るわけにもいかないし、黙って座っている訳にもいかない。何か適当に話題でも出そう。
「ずっと思ってたことなんだけどさ」
「なに?」
「ここって何かの店なのか?」
「まぁね、まだ開店はしていないけれど」
まぁそれは何となく予想はついていた。どれもこれも手入れされている形跡こそあるが、使われた跡は無い。
オープン前の準備期間……と言ったところか。
「いつ開くんだ?」
「決まってない」
「何屋さん?」
「喫茶店」
「メニューは?」
「まだ無い」
喫茶店をする予定ってことしかわかんねぇ……
でも、そうだとしてもなんで店を開店する前なのに制服だけはしっかりと作られているんだろう。
順番が逆じゃないか?
……まぁ俺が気にするところでもないか。
そんな時だった。入口の方から物音が聞こえ始め、それが少しずつこちらに近ずいて来ている。
「とりあえず奥の部屋に連れていきましょうか」
あの時に聞いた死神の声だ。やっと来てくれたのか。
「うむ」
それともうひとつ、ダンディな男の声も。
そして扉が開けられた瞬間に見たのは……
「あ、竹内さん! 来てくれてたんですね」
明らかに気を失っている青年が、女の子の肩に担がれて運ばれている光景だった。
その横で猫が歩いている。
いやいやいやいや、これはアカンやつでしょ。俺よりも犯罪行為をしちゃってるでしょこれ。というか普通逆じゃないの? 男が気を失った女の子を拉致して……みたいなのが可能性としてはあるんじゃないの?
というか大丈夫? これ。死神さん本当に死神行為してない?
生きてる? これ。
「俺、初めて殺人の後処理現場を見たわ……」
「違います違います! そんなことしていませんから!」
「でもこれどっからどう見ても……」
同意を求めるように黒髪の女の子の方を向くと、彼女も似たようなことを思ったのか、ぱちくりと目が合った。
「「殺人事件……」」
声までピッタリだ。
「生きてます! この方はちゃんと生きてますってば〜!」
「栞那、まずはそやつを寝かせてやるべきではないか?」
「うわ!? 猫が喋った!?」
「失敬な奴だ、吾輩は猫ではない」
猫のような見た目の生き物は、口では否定しているが、その姿は完全に猫だ。ちょっとマントとかあっておかしなお洒落をしてはいるけれど、もうまさに猫そのまま。
ネコ型ロボットにたぬきと言ってしまうようなものなのだろうか。いやでも、アレは大してたぬきには見えないからなぁ。
「あ、あの……猫が喋っているんですけど」
「喋る猫なの」
「なんでアンタはすんなり受け入れてるんだ?」
飲み込みが早いとかそんなレベルじゃあないぞ? 物分りが良いにも程がある。
「だから、猫ではないと言っておるだろう」
「猫だけどな」
「執拗いぞ、竹内蓮太」
コイツも俺の名前を知っているのか。
まぁ死神と一緒にいたくらいだし知っててもおかしくはないけどさ。名乗ってもないのに知られているのはあまり良い気はしないな。
「貴様はそんな事を言いにここへ来た訳ではないだろう」
「まぁな、どちらかと言うと話を聞きにきた。俺が死んだとか死んでないとかその辺の事をな」
喋る猫は、床から椅子へ、椅子から机へと飛び移り、会話するのに丁度いい高さにまで頭をあげる。
その時にちらりと見えた黒髪の女の子が、ほんの少しだけ目を見開かせていた気がした。
「聞かせてくれよ。俺が死んだってのはどういう事なのか。何故、今こうして生きているのか。魂が危険ってのがどういう意味なのか」
「こっちは聞きたいことだらけなんだ。その答えをアンタらがくれるんだろう?」
いつの間にか気絶していた青年を椅子に座らせ、上着を被せ終わっていた死神の女の子も猫の近くに寄ってきており、数秒呼吸を落ち着かせるように間を開けてからゆっくりと言葉を紡ぎ始めた。
「はい。順を追って話していきましょう。まずは自己紹介から」
「改めまして、私は明月 栞那と言います」
俺の目を見て挨拶する彼女の優しい笑顔からは、母にも似た暖かみを感じた。
ヒロインって誰が好きですか?(ただ気になっただけです)
-
死神さん
-
撃墜王さん
-
カロリー0さん
-
日焼け跡がエロくて可愛いドエロ谷さん
-
即落ち2コマお姉ちゃん