乙女たちの戦記~艦魂~(架空戦記)   作:高島智明

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以前『海の恐怖!グラ・バルカス帝国海軍vs原子力潜水艦』(作者:通常弾頭)(原作:日本国召喚)よりインスパイアを受けました3次創作に当たる短小編を、他の短小編集から投稿したことがあります。
その時、通常弾頭様よりは温かい御許しを頂いております。
改めまして、真に勝手ながら通常弾頭様には応援のエールを送らせて頂きます。

この短編は、以前に投稿しました『「黒潮」の名を継ぐもの』のエピソードの後日談に当ります。


沈黙のトマホーク

冷戦時代の帝国海軍では、アメリカ海軍の「ロサンゼルス」クラス攻撃型原子力潜水艦(後期改良型)に対応する哨戒型原潜を就役させた。

彼女たちは沈黙のうちに任務を果たした。

そして21世紀を迎えて尚も現役であったが、やがて艦齢を全うする時が近付き、後継艦が求められた。

 

当然ながら求められたのは哨戒型原潜であり、参考にされたのはアメリカ海軍の「シーウルフ」クラス及び「バージニア」クラスだった。

日米戦争が「負け逃げ」の形で停戦と成って以後、再建されてから以降の帝国海軍の潜水艦は少数精鋭を基本としており、高コストだが高性能な「シーウルフ」クラスも真剣に検討された。

だがしかし、冷戦崩壊後の世界情勢にも対応している点も重視され、結局の処は「バージニア」クラスに対応した哨戒型原潜が建造されていくことに成った。

 

同時に計画され、議論の末に建造が決定された原潜があった。

「白鯨」型巡航ミサイル原潜である。

 

冷戦崩壊後のアメリカ海軍では、核弾頭弾道ミサイルを発射する戦略原潜の戦力は過剰となり、またアメリカの戦略はならずもの国家及び対テロ戦争への対処、と大きくシフトしていた。

その為「オハイオ」クラス戦略原潜の何隻かが、アメリカの新しい戦略に対応できる能力を持った艦に改造すること、と成った。

そして、核弾頭弾道ミサイルのサイロがトマホーク巡航ミサイルを収めたVLS(垂直発射システム)へ換装され、新たな任務に就くことに成ったのである。

 

そして帝国海軍も、冷戦崩壊から年月を経て現出した新たな脅威に対尾する為、巡航ミサイル原潜の建造が検討されたのである。

 

尤も、この計画が明るみに出た時には、

「日本軍国主義の亡霊」

「侵略主義の復活」

等と騒ぎ立てる何処かの誰かが存在したが。

 

そんな何処かの誰かに都合が悪い、ということが抑止力である、とも判断されて「白鯨」型巡航ミサイル原潜は建造が決定された。

 

「白鯨」型原子力潜水艦

潜水艦発射型のVLSを搭載した大型原潜であり、その大きさはアメリカ海軍の「オハイオ」クラス(改良型)巡航ミサイル原潜よりもややコンパクトな程度である。

流石に核兵器は搭載していないが、VLSにはトマホーク巡航ミサイルや潜水艦発射型のコーモラントMPUAV(自立型無人航空機)などを搭載可能。

 

スペック

排水量:14000トン

全長:148メートル

全幅:12.2メートル

機関:原子炉2基、蒸気タービン2基、7枚推進スクリュー1軸

出力:約6万馬力

速力:水中30ノット以上

航続距離:無制限

潜航時間:無制限

武装:

533mm魚雷発射管×6門

 長魚雷

 ハープーン対艦ミサイル

 自走式デコイ

潜水艦用VLS×22セル

 トマホーク巡航ミサイル(1セルあたり4発)

 コーモラントMPUAV(1セルあたり1機)

 

ネームシップ「白鯨」

順次、建造予定

 

順次「白鯨」型原潜の建造は開始された………。

 

……。

 

…完成した「白鯨」は哨戒任務に就いた。

 

潜水艦の任務は極秘である。

 

艦長ですら、家族にすら、出航も帰港も予定を告げることすら出来ない。

そうして、秘密の中に沈黙の任務に就くのである。

 

そして、航続距離:無制限、潜航時間:無制限の原潜だから1度出航すれば、任務を完遂するまで浮上することすら無い。

それは、乗組員が耐えられる限りまで続く任務だった。

 

そんな任務に就く彼女は、アメリカ海軍の「オハイオ」クラスを参考しながら、日本独自の技術も加わり徹底的に無音化されており、彼女は沈黙のうちに海中に潜(ひそ)む。

そして、いつか来るかも知れない、トマホークの発射命令を待つのである。

 

そうして、沈黙の航海を続ける彼女の艦内には「秘密の部屋」とされる区画があった。

新時代を迎えて、女性の潜水艦乗りも採用される様に成った為、居住区内に設けられた「男子禁制」の区画である。

 

そんな区画があるとはいえ、しかし乗組員の誰もが気付かないかも知れない、いや「力」を持つ者なら感じるかも知れない「彼女」

潜水艦「白鯨」に宿る心と命が形をとった姿「白鯨」(艦魂)である。

 

今日も「彼女」は、トマホークを手に”その”時を待っている。

願わくば、来ないことが望まれているかも知れない”その”時を沈黙の中に。




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