――ウマ娘――
人とは異なる耳と尻尾を持ち、人間を凌駕する身体能力を持った、謎の多い種族。
彼女たちは走るために生まれてきたいっても過言ではなく、ときに数奇でときに輝かしい栄光を掴み人々を熱狂の渦へと巻き込んだ。
そんな歴史の中にまた名前を刻んだ1人のウマ娘が居た……
――⏰️――――――⏰️――
日本ウマ娘トレーニングセンター学園、通称トレセン学園。
全寮制中高一貫校でURAが開催する『トゥインクル・シリーズ』と呼ばれるウマ娘レースで活躍することを夢見るウマ娘たち2000人以上が在籍する超巨大なマンモス校である。
「ら~ら~らったららら、たたたたたんっ♪」
そんな栗東寮の一室、青鹿毛の髪の毛に太く力強い白色の流星、そして左耳に錨のトレードマークを象ったウマ娘、フラグシップが鼻歌交じりに何か作業をしていた。机にはニッパーやペンチ。そして天井まで積み上げられたプラモデルの箱がこれでもかと積み上げられていて、どうやら何等かのプラモデルを組み上げていた。
そんなことをしていれば同室のルームメイトから小言を言われそうな気がするが彼女のベッドの隣にはルームメイトのベットは無く、本棚とともにディスプレイ棚が鎮座している。その中には軍艦のプラモデルやトゥインクルシリーズで獲得したトロフィーやメダルが展示してあった。
「よーし!できた!」
フラグシップが立ち上がるとディスプレイ棚へと向かいそこに先程まで組み上げていたプラモデルを展示した。
「重巡洋艦高雄!現代の護衛艦みたいな艦橋がかっこいいんだよね~次はどの艦を作ろうかなぁ?大和や長門はもう作ったしアメリカ海軍にも手を出してみようかな。いや次は日本郵船のフラッグシップでも……」
随分とご機嫌なようで尻尾をブンブンとふっていたが、あるウマ娘の乱入によってその平穏が乱されることとなる。
「おー!フラッグねーちゃん!今から南の島にサザエ取りに行こうと思ってるんだけど一緒にどぉだ?」
銀髪に近い芦毛のロングストレート、頭上には舟形帽、右耳に蝶結びの紺リボンのウマ娘、ゴールドシップが本当に、本当に何故かわからないがウエットスーツに素潜りゴーグルと浮き輪を装備してドアを空けて立っていた。
さっきまでご機嫌に尻尾を振っていたフラグシップであったがゴールドシップが現れた途端に尻尾の揺れは止まり耳を絞っていた。
「…………」
無言のままゴールドシップに近づくとくるりと身体を180度回転させて廊下に出すとそのままドアを閉めて鍵をかける。ここまで10秒かからないで終わらせた。
「お、おいちょっとフラッグねーちゃん!開けてくれよ!」
「嫌っつってんだろゴルシ。前回それて連れられてひどい目にあったんだから少しは反省しろよ」
「いーじゃねーかよ。今回はホントに南の海にサザエを取りに行くだけだからさ!きっと大丈夫だからさ!多分!」
「何が大丈夫だよゴルシ!今日という今日は許さん。エアグルーヴに通報したから覚悟しろ!」
「そんな殺生な!」
「いたぞ!ゴールドシップ今日という今日こそは……」
数分もしないうちにエアグルーヴの怒鳴り声が聞こえてゴルシ悲鳴を上げながらが何か喋っていたようだが聞こえなかった。
「はぁ……興が冷めちゃった。ランチでも食べに行くかぁ」
壁掛け時計を見れば正午前、栗東寮からトレセン学園の食堂に向かえば丁度お昼時ということもあって結構なウマ娘たちで混み合っていた。中でもその一角には人だかりができておりその中心にいる人物を見れば長い栗毛に白い流星のウマ娘、オルフェーヴルが食事をとっていてその周囲を付き従えているウマ娘たちが取り囲んでいた。
(私は関係ないからなー……)
と思いつつ、日替わり(バク盛唐揚げ)定食を注文し、空いている席を探していると1人のウマ娘から声をかけられる。
「あのフラグシップさんでいらっしゃいますか?あの、オルフェーヴル様が一緒にお食事を取りたいと……」
「オルが?ええいいですよ」
お盆を手にオルフェーヴルの元に向かうとご丁寧にオルフェーヴルの隣の席が空けられていた。人参ハンバーグを頬張りながらオルフェーヴルは座るよう促す。
「友よ。久しく共に食事を取っていなかったからな」
「ええ、そうね。それじゃいただきましょうか」
オルフェーヴルとフラグシップが一緒に食事をしている光景はどこか微笑ましさもありエモさ(デジタル談)があるようでオルフェーヴルの臣下たちにとっては至福の光景であったらしい。
「そうそうオル。デザートにウマ盛チョコレートパフェを頼んだんだけど一緒に食べる?」
「うむ。いただこう」
二人でチョコレートパフェを分け合って食べる。その間オルフェーヴルの尻尾はご機嫌に揺れていてなんとかフラグシップの尻尾を己の尻尾で絡ませていた。食堂の隅で『おっほぉう!』というピンク髪のウマ娘が出したかとは思えない汚い叫び声を上げて倒れたようであるが気にしないことにした。
「ごちそうさま。オル、美味しかったよ」
「うむ。時には友と食事をするのは良いな。また行う日を楽しみにしておるぞ」
昼食を終えて寮に戻ろうとするとウマホにヨコヤマトレーナーからメッセージが入っていた。チーム『ピスケス』の部室に来てほしいとのことであり、早速向かうことにする。
その道中、またゴールドシップに出会ったが今度はエアグルーヴに加えてメジロマックイーンも怒らせたのか二人に追いかけ回されていた。一体なにをやらかしたのだろうと思ったがゴールドシップの頬にクリームがついているのを見つける。
(またマックイーンのシュークリームでも勝手に食べたんだろうな……)
と思いつつピスケスの部室へと急ぐ。
珍しくトレセンに姿を見せていたステイゴールドと彼女をアネゴと慕うドリームジャーニーがベンチで話し込んでいる。話しかけようかと思ったが普段ドリームジャーニーが見せることのない笑顔をしていたため、気づかれぬようにそーっとその場を立ち去り第三コースに急ぐ。
第三コース近くに設けられた第三部室棟の外、少し原っぱのようになっていたがそここではフラグシップと同じチームメンバーであるセイウンスカイとチームは違うもののよくセイウンスカイといっしょにいるニシノフラワーが二人仲良くレジャーシートを広げてランチを楽しんでいた。頭の上にはシロツメクサとヒナギクの花でできた花冠をかぶっていて仲睦まじい光景が広がっている。
フラグシップの姿に気がつくとニシノフラワーが手を振り、少し遅れてセイウンスカイが恥ずかしそうに手を振っていたのでフラグシップも手を振り返して部室へと向かう。
部室中ではメジロライアンがベンチプレスに跨って自分自身の筋肉を痛めつけていた。
「精が出ますね。ライアン先輩」
「フラグシップ!君が部室棟に顔を見せるなんて珍しいね。どうしたの?」
「トレーナーから話があるってUMAINEにメッセージがきたんですけど、トレーナーは?」
「うーん?今日はまだ見てないよ?ま、久々の部室だしゆっくりしていってよ」
汗を拭いながらプロテインに手を伸ばすライアン。フラグシップもコップに冷蔵庫から取り出した麦茶を移して飲む。
「ヨコヤマトレーナーは昼行燈だけどこういうところはしっかりしてますよね」
「うんうん。プロテインの種類と味もたくさん用意してくれて飽きがなくていいよ」
「どうもー、あれ?トレーナーさんはまだ来てない感じ?」
ニシノフラワーとのピクニックを終えたばかりであろうセイウンスカイが部室棟にやってくる頭にはヒナギクとシロツメクサで作った花冠を装備していた。
「まだ来てないね。セイウンスカイもフラグシップも呼んだんだから何か重要なことでもあるんじゃないのかな?そういえばホクトベガ先輩は?」
「ドバイで武者修行してるから確かテレビ通話で参加する予定だけど……時差もありますし、もしかして寝坊してますかね?」
「ホクトベガならほら、あそこから参加しているよ」
メジロライアン指さした先、タブレットた立てかけられ、背の高い鹿毛のウマ娘がメジロライアンと同じように筋力トレーニングに精を出していた。
「ホクトベガ先輩ー、ノリトレーナーそろそろ来ますよ」
『あら?ごめんなさいね。私としたことが……』
100キロ以上はありそうなダンベルを置きテレビの前に姿を現すホクトベガ。それとほぼ同タイミングで部室の扉が開いた。
「ごめんまたせちゃったかな?」
部室の扉からひょっこりと顔を出したのはヨコヤマトレーナーでその両手にはミス・ドーナッツの箱が沢山握られていた。
「トレーナー、まさかとは思うけどミス・ドーナッツをみんなで分け合うためだけに呼んだんじゃないよね?」
「それもあるんだけど……今日からこのチームに新しいメンバーが加入することになったんだ。入ってきてくれ」
ヨコヤマトレーナーがそう呼びかけるとそこには赤栗毛の長い髪の毛を一部編み込んでまとめた蒼眼のウマ娘が1人両手にミス・ドーナッツの箱を抱えて立っていた。
期待に夢いっぱいのハズであるが彼女の耳は倒れ、どこかしょんぼりしているような印象が見られる。
「ひどいですよヨコヤマトレーナー……まさかチームの入部届を出したらその脚で買い物を手伝ってほしいと言われてついていたらこれですよ……」
「ごめんごめん。チーム入部のお祝いにと思ってだったんだよ。ミス・ドーナッツ好きでしょ?」
「ええ、好きですよ!にしても多すぎです!ショーケースの中身全部購入するとか普通考えられませんよ!」
アハハ……と笑うヨコヤマトレーナーであるが肝心の新入部ウマ娘の名前を聞いていないことを思い出した。
「そういえば貴女の名前は?私はフラグシップよ。そして……」
「はい、メジロライアンです!」
『ホクトベガよ。よろしく』
「セイウンスカイでーす」
赤栗毛のウマ娘は元気よくこう答えた。
「はい!私はダノンデサイルです!夢は大きくダービーウマ娘です!先輩方、宜しくお願いします!」
こうしてチーム『ピスケス』にダノンデサイルという新しいメンバーが増えたのであった。
なんか出来上がってしまった怪文書です以下プロフィール
フラグシップ
誕生日 3月13日
身長 168cm
体重 出港準備万端!
スリーサイズ B72・W55・H80
誰にでも人当たりの良い優等生ではあるが……いつも妹であるゴールドシップに振り回される苦労人ウマ娘。しかしその実力は本物、いずれは日本の総旗艦ウマ娘として世界へ進出していくことを夢見ている。
とりあえず投稿しているものを片付けてから続きをかいたいのでしばらくは更新できないかと……