ドゥラメンテつよすんぎ……
【今週の注目競馬】
今週は中山・阪神・小倉の3場開催。重賞は3鞍が組まれている。
その中でも見どころは、12日(日)に阪神競馬場で行われる阪神ジュベナイルフィリーズ(2歳・牝・GI・芝1600m)だ。新馬・デイリー2歳ステークスと連勝して無傷でG1の冠を目指すレーヴディソール(牝2、栗東・松多博義厩舎)、同じく新馬・札幌2歳ステークスと連勝を重ねているフラグシップ(牝2、栗東・菅井直弼厩舎)、トールポピーの全妹で札幌2歳ステークス2着のアヴェンチュラ(牝2、栗東・角井克彦厩舎)、ファンタジーステークス3着のホエールキャプチャ(牝2、美浦・田仲清孝厩舎)などの来年の牝馬クラシック有力馬が出走を予定している。春の牝馬クラシックの一冠目、桜花賞と同じ舞台で一体どんなレースが行われるのだろう。
「やあ、フラグシップ。調子はどうかな?」
【ノリさん!久しぶりじゃないか!聞いた話じゃ他の馬から落馬して随分と大怪我したらしいけど怪我は大丈夫なのか!?】
「あはは、あの時は大分しんどかったけど今はおかげさまで大丈夫さ」
ノリさんが大怪我したと聞いた時は心臓が飛び出るほどびっくりしたが元気そうである。ほんと怪我が治って良かった。これからまた乗ってくれるということなのでG1の阪神ジュベナイルフィリーズに向けて特訓あるのみである。
「そうだ横岾、フラグシップの脚質についてなんだが……」
「ええ承知してますよ。逃げですね。……ですがちょっと阪神JFで試してみたいことがあるんですけどいいですか?」
「構わないが……一体何をするんだ?」
「……ちょっと追い込んでみようかと」
『冬の暮れ、阪神競馬場には強く若き乙女たちが集いました。阪神11レース、本日のメインレースは第62回農林水産省賞典阪神ジュベナイルフィリーズG1、2歳女王決定戦です。芝1600メートル18頭。来年のクラシック桜花賞と全く同じコースで行われます。馬場状態は良との発表がありました』
12月、雪でも降るんじゃないかという寒空の元レースが行われる。いずれの馬も重賞なり勝ち上がってきた猛者たちなので競いがい、食いごたえのあるレースができるだろう。
「調子はどうだい?フラグシップ」
【準備万全、いつでもいけますよ!】
「よし、じゃあ行こうか!」
ファンファーレが鳴り響き、ライバルたちが続々とゲートの中におさまっていく。私は大外枠の8枠18番に収められた。
『大外枠の三番人気、フラグシップがゲートの中に……収まって体制完了!』
あの旗振りおじさんの様子を確認して案内してくれた係員がいなくなって……今!
『スタートしました!おおっと!18番のフラグシップが少し出遅れました!場内からどよめきが上がりますがこれは横岾典宏作戦通りか!』
よし。まずは一呼吸置いてから最後方に位置取りができた。手綱は緩められたまま。このまま脚を貯めて一気にぶち抜くっていう作戦、決まればさぞ気持ちいいであろう。
『フォーエバーマーク、ピュアオパール、マルモセーラ、マイネイサベル、ホエール好位を追走』
『その後ですがツルマルワンピースが追走そしてその内からはトツゼンノハピネス、間をつくようにリトルダーリン、さぁ各馬第三コーナーへと差し掛かっていきますがフラグシップですがまだ横岾典宏の手綱は動きません!』
前方を走る馬群と大分差が開いてしまったところで手綱が緩められる。さてと……ここから後方一気、弟のゴールドシップのようなレースを見せつけてやりましょうか。
『さぁ、第四コーナー終盤から直線へ向かう!先頭はピュアオパール、マルモセーラ、ツルマルワンピースですが少し苦しくなった。後方から伸びてくるのは1番人気レーヴディソールですがその後ろからフラグシップが猛追してくる!』
『あっというまに先頭へと変わったフラグシップ、レーヴディソールも並びかけようとするライステラス、アヴェンチュラも伸びてきているが届くかどうか!』
ノリさんからの1発、2発と鞭が入ったので首を下げて姿勢を低くしてスパートをかける。だが、ガラスの脚と称されるサラブレッドの脚なので全力を出さずに7〜8割の力を入れる。馬の視覚上後方は見えづらいが後続の姿は何頭かいるが届くかどうかといったところだが、1頭だけ凄い脚で追いかけてくるレーヴディソールとかいう馬が猛追してきていた。
『残り100を切って先頭はフラグシップ、二番手にブレーヴディソール、ホエールキャプチャ、ライステラスとアヴェンチュラですがこれは二着争いか!先頭フラグシップ後方一気でゴールイン!無傷の3連勝で2歳女王の冠を戴冠しました。……圧勝と言わざるを得ない勝利でした』
走り終えて正面のスタンドまで戻って来ると大歓声に迎えられ、ノリさんは右手を上げるとより一層歓声が大きくなった。今波さんに連れられて検量室に向うと今度は顔をくしゃくしゃの紙にしたような顔をした菅井さんが待っていた。なぜか涙を流しているのに笑顔であった。
「フラグシップ!よくぞ……よくぞやってくれた!典宏!ありがとう!」
背中から降りたノリさんとも抱き合っている。そんなにうれしいことなのかとも考えたが……そういえば私の母であるポイントフラッグにも乗ってたし半姉のハニーフラッグにも騎手として騎乗してたんだっけか。でも、そこまでか?
不思議がっているうちに鞍を外されて首から『第62回農林水産省賞典阪神ジュベナイルフィリーズ2010』と記載された真紅の優勝レイをかけられて再び正面スタンド前に降り立つと三度の大歓声に迎えられる。
ターフの上には関係者らしき人物が勢揃い、オーナーである大林さんや、生まれ故郷で世話してくれた大河のおじさんなんかが勢揃いして口取り式を行った。大勢のカメラマンがいるので私の身体と優勝レイがよく見える位置に移動して……こんな感じでいいかな?ん?カメラマンが不思議そうに私をみているが何か?いい写真が撮れたでしょ?
口取り式が終わればようやく一日が終わって栗東への帰路につく。……やっぱり重賞、それもG1ということだけあってしんどいレースだったけど、最後の直線、誰もいない緑の大海原を走り抜けるのはやっぱり世界一気持ちいい。
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2歳女王決定戦『第76回阪神ジュベナイルフィリーズ』が12日、阪神競馬場で行われ、札幌2歳ステークス覇者、3番人気のフラグシップが後方からの追い込みで他馬をごぼう抜き、3馬身差で無傷の三連勝で勝利を飾った。調教師の菅井直弼氏(44)はこれがG1初出走で初勝利を収めた。あまりの嬉しさにフラグシップが先頭立つやいなや大喜び、目には涙を浮かべていた。
横岾典宏騎手(42)は阪神3歳牝馬ステークス時代、1998年のスティンガー以来2度目の制覇となった。1番人気に支持されていたレーヴディソールは3馬身差の2着入線、3着には4番人気のホエールキャプチャが入線した。
横岾典宏騎手(フラグシップ=1着)今日はいつもと違う作戦で行こうと考えてました。いつもは逃げてみたんですが最近の調教でキレる脚があることがわかったので後方一気、追い込みで行こうと菅井さんと相談していました。この距離でこのパフォーマンスを見せることができたので距離延長をしても十分戦っていけると思いますので今後が楽しみです。
菅井調教師(フラグシップ=1着)率直にうれしいですね。札幌2歳ステークスからここを目標にして、順調にいい状態でこれたと思います。調教の動き、パドックでの様子も良かったです。一度経験している距離でしたので思い切って大胆な作戦で行きたいと考えて居ました。横岾ジョッキーには『好きに乗ってかまわない』とだけ伝えました。まさか追い込みで勝負に行くとは思いませんでしたけどね。
また私にとって騎手、そして調教師として初めてのG1タイトルをもたらしてくれました。カイバも食べますし、馬房内でも落ち着いている手のかからない馬です。まだまだこれからの馬ですが、現時点ではいい状態のレースでした。桜花賞に向けて、まだまだこれから成長してくれると思います。
――スポーツKEIBA 馬日和より
次回はちょっと掲示板回をやってみようかと思います