星旗牝系の夢   作:久保田紅葉

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メイクデビューなので初投稿です。

レース描写むつかしい


第五話

 

 桜が散り青々とした新緑が息吹始めると春のG1レースが終わり、梅雨が始まり宝塚記念が終わればいよいよ夏競馬の時期にはいっていく。

 

 しかし梅雨も半ば、もうすぐ夏本番だというのにこの数日は連日雨が降り続き、調教用コースも芝ダート両方がぬかるみ馬場は不良、調教にも影響が出ていた。

 

 雨は好きな部類ではある。調教後、熱った身体を冷やすようなシャワーを浴びているような感覚となるのが好きであったがこうも連日雨が降ってしまうと気が滅入ってしまうものである。

 

 

 

「今日もよく雨が降るなぁ」

 

「ヒィンヒィン……」

 

 

 

 厩務員のおじさんと二人で空を眺める。今日は休養日だったので厩務員のおじさんからブラッシングを受けていた。今更だが厩務員のおじさんをよくよく見てみるとゴールドシップを世話していた今波さんだったことに気がついた。こんな偶然ありえるかと思いつつも出会いに感謝して世話をしてもらっている。

 

 ……弟のゴルシが見たら嫉妬されそうであるがそこは気にしないことにしよう。

 

 

 

「おっ、珍しく晴れたね……どう?少し食後の運動をしようか」

 

「ヒヒィン!」

 

 

 

 午後から晴れ間が見えたので散歩がてら散策をする。泥んこになりながらも調教を行っているオルフェーヴルの姿があった。

 

 

 

「オルフェーヴルのことが気になる?」

 

 

 

 気になる気にならないでいえば気になる。なんせ私と出会ったことで三冠馬にならないバタフライエフェクトが発生するかもしれないからだ。

 

 あの性格だったからこそ三冠馬になれたかもしれないと考えるとどうにも不安になる。

 

 

 

「あれ?今波さん。どうされましたか?」

 

「ちょっとね。フラグシップがオルフェーヴルのことを気になるっていうから」

 

 

 

 調教終わりのオルフェーヴルに跨っていた調教助手がオルフェーヴルにまたがりながら近寄ってきた。

 

 

 

【フラグシップ姉さんこんにちは】

 

【……こんにちは。オルフェーヴル調子はどう?】

 

【姉さんに言われた通り人間のいうことを聞くようにしたら褒められてうれしかった】

 

【そうか。何かあったら私に相談してくれるといい】

 

【うん。わかった】

 

 

 

 ほーらやっぱり歴史がちょっとづつ変わっていってる。本来ならば暴れまわって騎手の生添さんや調教助手を振り落としたり怪我をさせたりするのに全然その素振りをみせない。

 

 

 

「いやーフラグシップのおかげで大助かりですよ。いままで調教1つするのに手間取っていましたが今ではすんなり言う事を聞いてくれますよ」

 

 

 

 少し大人びたようなオルフェーヴルになってしまったが……良くはないよねぇ絶対。

 

 

 

 

 

 △▼△▼△▼△▼⏱️△▼△▼△▼△▼⏱️△▼△▼△▼△▼△

 

 

 

 

 

「調子はどう?フラグシップ」

 

「ヒィンヒィンヒヒッ!」

 

「大丈夫そうだね。じゃあ行こうか」

 

『雨が強まって来ました函館競馬場。少し肌寒さを感じる中で幼気の残る若駒たちがデビューを迎えます』

 

『12頭立てで行われる第5R函館2歳メイクデビュー新馬戦。芝の1600メートル。現在枠入りが順調に進んでいます』

 

『最後に大外枠、12番のテイエムロックダン、ゲートの中に収まって体制が整いました……』

 

『スタート!全馬きれい揃いましたが、おおっと!10番ファンドリソフィア横に逸れて行き立ち止まってしまいました。先頭に立ちましたのはスマートストリートとロードエアフォースその後ろにフラグシップ。スピードリッパーとマイネルギブソンがその後ろ、テイエムロックダンの半馬身後方にトーアウィンザーとメイショウトチワカ。さらその後ろにディーエスラムールとゴーゴーヒュウガ、殿にロングスペシャルがつけて第一コーナーへと差し掛かっていきます』

 

 

『向正面に入りまして先頭がフラグシップへと変わりました。先頭はフラグシップのまま第四コーナーを回って短い最終直線へと入っていきます』

 

 

『依然として先頭は変わらずフラグシップ。2馬身、3馬身と差を広げる広げる。スマートストリートとロードエアフォースは鞭が入るが徐々に後退していく。追い上げてきたマイネルギブソンとスピードリッパーが追い込みを掛けるがフラグシップには届きそうにない!』

 

『一着はフラグシップ。マイネルギブソンが二着入線、三着にはスピードリッパーが入線、メイチョウチワカが四着、五着にはトーアウィンザーが入線いたした。着順の確定までお手持ちの勝馬投票券をお捨てにならないようお願いいたします』

 

 

「お疲れ様、あっさりと勝ち上がったな」

 

「ええ、全くです。しかし、乗りやすい馬ですねフラグシップは」

 

「……やっぱりか」

 

 「調教の時から思ってましたけど、あの馬は競馬を理解してますよ。こっちの指示もしっかり伝わりますし、自分でコースをある程度選ぶ頭もあります」

 

「やっぱりか妙に賢い馬だと思ってはいたが……」

 

「菅井さんもそう思いますよね。それに……脚質は逃げか先行っぽい感じですねキレる足もありますが彼女の足を活かすなら逃げで勝負するのがいいと思います。」

 

「まるでセイウンスカイのようだな……もしかするとすごい馬になるかもしれないな」

 

「ええ、僕がさせてみせます」

 

「わかった。これからもよろしく頼むよ」

 

  

 

 

 

 

 

 

 ふぃ~~想像していたよりもレースって疲れる。新馬戦でこれならば重賞、G1レース等これ以上に体力作りが必要となるな。坂路やプールの調教をもっとしてスタミナとパワーを付けていかなければならない。

 

 それはともかくとして横岾さんの騎乗スキルは半端ではない。流石は最年長ダービージョッキーである。私が走りやすいように手綱を微調整していた。馬の邪魔をしない騎乗というやつだったかな。それのおかげで今日は勝てたようなものである。これからも騎乗してくれることを祈りつつ今は身体を休めよう。

 

 勝ったご褒美なのかはわからないが今波さんはいつもよりも豪華な食事を用意してくれて今生の前、前世の頃に好物であったリンゴが大量にあってうれしい。本当ならば大量に食べてはいけないのでしっかりと味わって食べるがあっという間に無くなってしまった。悲しい。もっとくれと飼い桶をガンガンと鳴らしてみる。

 

 

 

「もう無くなっちゃったの?うーんこれ以上はあげられないから我慢してね」

 

 

 

 ショックである。がしかし今波さんは『また勝ったらリンゴをあげるから』と話していた。うーん。こうなったらまた頑張って勝つしかない。勝った分ご褒美が貰えるのは良いシステムだと思う。

 




快勝でした。
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