暑い暑い夏が過ぎて紅葉が始まってきていた。オルフェーヴルも8月の新馬戦を無事に勝利して10月の芙蓉ステークスを目指してトレーニングをしている。……風の噂で聞いたが新馬戦では生添騎手を振り落と………………したらしい。これだけ頑張って矯正しようとしても生添さんは落ちる運命なのであろう。流石に菊花賞では落ちないように祈ろう。
さてオルフェーヴルの心配をしている場合ではない。私も次のレースが近づいて来ているのだが……鞍上のノリさんがどうやら9月頃に大怪我をして現在休養しているという。そのことから鞍上には別の騎手の人が乗ることとなっていて今日顔合わせをするらしい。
「仲舘さん。フラグシップをよろしくお願いします」
「はい。ちょっと走ってみようかフラグシップ」
コンビを組むのは仲舘さんという騎手らしい。……仲舘?もしかして『逃げの仲舘』の異名を持ってる仲舘英治騎手か!確かツインターボが大逃げで勝った七夕賞とオールカマーの時であった鞍上の人だったはずである。
「うん。この馬にはやっぱり先行か逃げがあってるね。次のレースも逃げていいのかな?」
「ええ、こいつは賢いですからしっかりと鞍上の指示に従ってくれます。作戦は仲舘さんにお願いします」
うれしいねぇ。そこまで期待されてるんだったらいっちょやってみますか。
仲舘騎手と出会ってから数日後、トラックで日本を丸一日かけて縦断して札幌競馬場にたどり着いた。意外と疲れるのかと思っていたがトラックの車内はちゃんと温度管理がされてるし餌もしっかりと準備されていたので移動はそこまで苦にすることはなく、レースに望むことができる。
『札幌競馬場本日のメインレース、第45回札幌2歳ステークスG3、芝1800メートル戦。父がキングカメハメハお母さんがアドマイヤグルーヴのアドマイヤセプターが一番人気に推されて現時点で単勝2.1倍となっています』
『数々のG1馬を生み出してきた札幌2歳ステークスですが本日は晴天に恵まれ馬場状態は良と発表がありました。札幌競馬場、枠入りが順調に進んでおります』
『最後、大外14番のビービーマキシマスがゲートの中に納まりまして体勢が整いました』
旗を持った係員がいなくなったらスターとの合図。…………ここ!
『スタートしました!4番フラグシップ素晴らしいスタートで先頭に立ちました!』
よしスタートはいい感じに切れた。このまま加速していってコーナーを回った辺りで一息いれよう。大外から一頭が先頭になろうとしてきているが……あれはかかっているのか?特に手綱を引っ張ったり緩めたりはしないようでそのままレース運びをする。
『先頭に立ちますのは今日素晴らしいスタートをみせたフラグシップ、すぐ後ろにマイネルギブソンとビービーマキシマス、その後ろにルルーシュ、ギリギリヒーロー、 エイブルブラッド、オールアズワンが3位集団を形成、少し離れてメイショウトチカワとゲットハッピー一番人気のアドマイヤセプターはここにいます。すぐ後ろにアヴェンチュラ、3馬身ほど半れてヴェイロン、ムライチンタ、最後方にマーベラスカイザーという体勢で第一コーナーから第二コーナーへと差し掛かっていきます。
横から14番のゼッケンをつけた馬が追い越していく。……ひょっとするとアレが大逃げという走法か。仲館騎手は手綱を引っ張ったままなのでまだ仕掛けどころではない。そんなに引っ張んなくても暴走したりしないって。
『向正面に入りまして体制が整います。単騎の逃げに持ち込んだのはビーピーマキシマス、リード1.2馬身、フラグシップ、その後ろマイネルギブソン、ルルーシュ内をつきましてはギリギリヒーローが追走。エイブルブラッド、内に半メイショウトチワカ向こう側にオールアズワンがいます』
『その後ろ半馬身差でありますが外の方にアベンチュラ、内側にアドマイヤセプター注目といったところでありますが間を割ってゲットハッピーです。』
『その後ろ3馬身ほど切れましてムライチンタが追走、さらにはヴェイロンさらに外からはマーベラスカイザーが追走という体勢になっております』
第3コーナーに差し掛かってそろそろといったところで手綱が緩められる。よっしや行こうか!
『第3コーナーに差し掛かりましたが先頭はビービーマキシマスですが後続との差が縮まってまいりました。上がってきたのはフラグシップとオールアズワン、アベンチュラ。アドマイヤセプターも上がってきている!』
『直線コースに向かって先頭はフラグシップ!オールアズワン、タベンチュラ!アドマイヤセプターが先頭めがけて襲いかかってくる!』
何頭か追いかけてくるがプール調教で鍛えたスタミナとオルフェーヴルとの並走で鍛えたスピードがあれば追いつけないであろう。
『オールアズワンが単独二番手に上がってきているがこれは届かないか、フラグシップ2馬身ほどのリードでゴールイン2着にはオールアズワン、1馬身ほど離れて3着にアヴェンチュラ、4着争いにアドマイヤセプターとルルーシュといった体勢で入線です』
『フラグシップ、無傷の2連勝!管理する菅井厩舎は初の重賞タイトルを手にすることができました!』
走り終えた後で正面スタンド前へと戻って来ると大歓声に迎えられて飛び出して来た今波さんに撫でられて手綱を引かれる。ついて行った先には菅井さんが大手を広げて待ち構えていた。その目元には少し涙が浮かんでいるようにも見えた。
「よぉくやった!フラグシップ!そしてありがとう!」
散々顔面を撫でられた後に鼻先へキスをされる。別にキスが嫌いなワケではないので受け入れたがお返しとして顔面をベロベロに舐めてやった。
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【札幌2歳S フラグシップが見事な逃げ切り勝利!】
第45回札幌2歳ステークス(2日、札幌11R、GⅢ、2歳オープン戦、国際、特指、馬齢、芝1800メートル、出走14頭)仲舘英治騎手騎乗で4番人気のフラグシップ(牝2歳、栗東・菅井直弼厩舎)が第3コーナーで先頭に立つとそのまま逃げ切った。素質馬が集った一戦を制し、札幌の2歳王者に輝いた。タイム1分49秒4(良)。
2冠馬ネオユニヴァース産駒のオールアズワンが2着、オークス馬トールポピーの全妹アヴェンチュラが3着。1番人気であったエリザベス女王杯を連覇したアドマイヤグルーヴ産駒アドマイヤセプターは4着であった。
前目に位置取ったフラグシップは、3コーナーで外から勢いよく進出し、直線手前で先頭へ立ち、直線では後方からオールアズワンやアヴェンチュラ、アドマイヤセプターらが猛追したがそれらを寄せ付けない伸び脚を見せてゴールを駆け抜けた。
フラグシップは父ステイゴールド、母ポイントフラッグ、母の父メジロマックイーンという血統。通算成績は2戦2勝。仲舘英治騎手、菅井直弼調教師ともにこのレースは初勝利。また菅井直弼調教師は重賞初出走、初勝利であった。
N-NET KEIBA【札幌2歳S結果】より