リバース・クエスト〜女体化した俺、ティンティンを取り戻すため狐耳魔女と異世界を駆け巡る〜   作:八百板典所

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五十一話

 大魔女ウルさんと魔女エリザさんと別れた後、自宅を後にした俺──神永悠は魔女ルナと共に町の中を練り歩いていた。

 

「にしても、何処にいるんでしょうね炎の四天王イフリトは」

 

 キョロキョロ辺りを見渡しながら、ルナはボソッと呟く。

 

「ゲームでは『炎の城』の中にいるんだけど、……さて、何処にいるのやら」

 

 そう言って、俺は緑に覆われた町を見渡す。

 信号機に絡みつく蔦。

 アスファルトを覆っている葉っぱ。

 植物に覆われているビルや一軒家。

 そして、町の至る所に生えている樹木。

 緑の草木に呑み込まれそうになっている町の姿が、俺の視界を覆い尽くす。

 ゲーム世界とはかけ離れたフィールド。

 そんな異様としか言いようのない光景を前にして、俺は溜息を吐き出す。

 

「さっき来た電報によると、大魔女率いる魔女達数十名がイフリトの行方を探しているそうです。ですが、それでも発見に時間がかかる事は明白。私達が闇雲に探した所で、運良くイフリトを見つける可能性は限りなく低いと言っても過言じゃないでしょう」

 

 ルナの言葉に同意する。

 『この世界』──リバクエ風の世界──が変貌してしまった以上、俺のゲーム知識は通用しない。

 正直、八方塞がりだ。

 

(これはかなり時間がかかりそうだ)

 

 そんな事を考えていると、背後から足音が聞こえてくる。

 振り返る。

 すると、リバクエの中で一番弱いと言っても過言じゃないモンスター『ゴブリン』十数体が、俺達の前に現れた。

 

「やっぱ、此処でもモンスターとエンカウントするのか……!」

 

 脳内ステータス画面から天空の剣(キャリーバーン)を取り出す。

 天空の剣(キャリーバーン)を取り出した途端、『天空の剣(キャリーバーン)は壊れそうだ』の文章が脳裏に過った。

 

「ルナ。下がってろ」

 

 そう言って、俺はゴブリンの群れに突っ込む。

 片手剣──天空の剣(キャリーバーン)を振るう。

 一振りでゴブリン6体の首を斬り落とす。

 たった一撃喰らっただけで、ゴブリン6体は断末魔を上げながら、黒い煙へと変わってしまった。

 

「……っ!」

 

 もう一振りで残ったゴブリンを一掃する。

 ゴブリンの群れを倒し尽くした瞬間、リザルトが脳内に表示されると同時に、持っていた片手剣── 天空の剣(キャリーバーン)が粉々に砕け散ってしまった。

 

「とうとう天空の剣(キャリーバーン)が砕け散ってしまいましたね」

 

 『勿体無い』と言わんばかりに、ルナは表情を歪める。

 そんな彼女に対し、俺は言った。

 

「まあ、リバクエの武器は消耗品だからな。幾ら耐久力トップクラスの天空の剣(キャリーバーン)でも、使い続けていたら壊れるさ」

 

「次のボス戦、天空の剣(キャリーバーン)がなくても大丈夫なんですか?」

 

「エリザさん達が掻き集めてくれた材料があるしな。武器に関しては問題ない。問題なのは、……」

 

「あの管理者を名乗る陰キャ女が介入するかどうか、……ですか」

 

 コクリと頷く。

 ルナは『はぁ』と溜息を吐き出すと、頭頂部に生えている狐耳を力無く動かした。

 

「あの陰キャ女は介入するでしょうね。ロックゴレムやグリフォの時も介入しましたし」

 

「管理者を名乗る女が介入する前提で作戦立てねぇとな。次がラストである以上、あっちも本腰入れると思うし」

 

 そう言いつつ、俺は右手で自らの後頭部を掻く。

 

「まあ、それよりも問題なのはイフリトの居場所だ。ヤツの居場所を見つけ出さないと、挑む事さえできない」

 

 『さっさと見つけよう』と呟いた後、俺は前に向かって歩き始める。

 ルナは『そうですね』と呟くと、俺の隣を歩き始めた。

 

◇side:管理者

 

「ああ、……もう!」

 

 私以外に誰もいない管理室。

 数多のモニターに囲まれた部屋の中で、私は大袈裟に毒吐く。

 現存しているリバクエプレイヤー全823名──プレイヤーネーム『ユウ』を除く──とコンタクトを取った。

 コンタクトを取り、私に協力するよう呼びかけた。

 けれど、私に協力してくれるプレイヤーは、まさかのゼロ。

 『この世界は不便だ』、『元の世界に戻りたい』という理由で彼等は私の申し出を断ってしまった。

 

「リバクエを1000時間以上プレイしているんでしょ!? アナタ達はリバクエを愛しているんじゃないんですか……!?」

 

 苛立ちがピークに達してしまった私は、つい大声で叫んでしまう。

 その所為で、管理室に私の声が鳴り響いてしまった。

 

「ああ、もう……!」

 

 髪の毛を両手で掻きむしりながら、私は苛々を表に出してしまう。

 自分でもドン引きするくらいの乱れっぷりだった。

 

「落ち着け、私……! 此処で苛々したら、勝てるものも勝てなくなってしまう……!」

 

 深呼吸する。

 苛立ちを少しでも抑えようと、私は大袈裟に深呼吸する。

 けれど、そんな程度で私の苛立ちは収まる事がなかった。

 

『……』

 

 苛々している私の前に現れる。

 私の中にいた筈の『アレ』が。

 『アレ』──ドブみたいな色をした球体が。

 

「………」

 

 『アレ』──ドブみたいな色をした球体は私に問いかける。

 『お前は何を望む』と。

 その問いかけを聞いた私は──

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