リバース・クエスト〜女体化した俺、ティンティンを取り戻すため狐耳魔女と異世界を駆け巡る〜   作:八百板典所

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六十五話

 

 ルナが繰り出した雷の攻撃。

 それが敵の頭上で煌めく濁った球体に突き刺さる。

 ルナの攻撃が濁った球体に突き刺さった瞬間、敵の口から情けない断末魔が漏れ出た。

 

『うがああああああ!!』

 

 敵の口から情けない断末魔が発せられる。

 敵──絶対悪の頭上で鈍い光を放っている球状の物体。

 それには大きな穴が空いていた。

 

「どうやら、あの球体が弱点みてぇですね」

 

 後方に跳びながら、ルナの言葉に耳を傾ける。

 俺は『そうみたいだな』と呟くと、胸の中に溜まった空気を外に吐き出した。

 

「それに加え、今までの敵と違い私の攻撃も通じるようです」

 

「だったら、」

 

「ええ、ここから先は愛の共同作業って訳です」

 

 片手剣──騎士の剣(つるぎ)を握り締めながら、肺の中に冷たい空気を詰め込む。

 勝率が少しばかり上がった。

 けれど、まだ敵の弱点を見つけただけだ。

 決して敵が弱くなった訳じゃない。

 でも、さっき──打つ手がなかった頃──よりもマシだ。

 そう思いながら、俺はゆっくり息を吐き出す。

 ゆっくり息を吐き出した後、ルナに声をかける。

 

「……あんま無茶すんなよ」

 

「ユウさんこそ、無茶しないでくださいね」

 

 ルナと視線を交わした後、俺は前に向かって走り始める。

 走り出した俺を見るや否や、敵は喉の奥から痛みを発しながら、右手を振った。

 『ぶん』という音と共に不可視の攻撃が差し迫る。

 

「……っ!」

 

 片手剣を振るい、不可視の攻撃を受け流す。

 その瞬間、『騎士の剣が壊れそうだ』という文章が脳内に挿入されると同時に、強い衝撃が片手剣に襲いかかった。

 一歩だけ後退してしまう。

 けど、何とか受け流す事に成功した。

 

『あがあああああ!!』

 

 悶え苦しむ敵の声が鼓膜を劈く。

 同時に敵は左腕を振るう。

 再び『ぶん』という音と共に不可視の攻撃が押し迫る。

 俺は再び片手剣を振るうと、押し迫る不可視の攻撃を受け流した。

 片手剣──騎士の剣が砕け散る。

 砕け散ると同時に、強い衝撃が俺の身体を押す。

 また一歩後退してしまう。

 慌てて脳内ステータス画面から新たな騎士の剣──魔女エリザさん達が対イフリト用に掻き集めてくれたもの──を取り出す。

 そして、新しい騎士の剣を携帯すると、前進──できなかった。

 

『はぁ、……はぁ、……あああ!!』

 

 再々度、敵は不可視の攻撃を放つ。

 再々度、俺は不可視の攻撃を受け流す。

 重くて鋭い不可視の攻撃により、俺の身体は後退させられる。

 また一歩後退してしまう。

 これじゃ近づけない。

 そう思った時だった。

 

「呪法『炎律』──我が怨敵を灼きつくせ」

 

 背後の方からルナの声が聞こえてくる。

 ルナが放り投げたであろう札のようなもの。

 それが敵の下に向かって羽ばたく。

 敵の頭上で煌めく濁った球体の下に向かって飛翔する。

 それを目視するや否や、敵は痛みで顔を歪めながら、両掌を前に突き出す。

 そして、両掌から雷を射出すると、ルナが放り投げた札のようなものを全て焼き千切った。

 敵の攻撃が止んだ。

 その隙に俺は前進する。

 敵との距離を詰めようとする。

 だが、近寄ってくる俺を敵が目視した途端、再び不可視の攻撃が飛んできた。

 敵の攻撃を受け流す。

 その所為で、俺の足は止まる。

 敵の攻撃を受け流すため、一歩後退してしまう。

 

「呪法『風律』──我が怨敵を斬り刻め」

 

 俺の足が止まった途端、ルナが攻撃を繰り出す。

 札のようなものを放り投げ、風のような刃を生み出す。

 彼女が生み出した風の刃は宙を裂くと、真っ直ぐ敵の下に向かって飛んでいった。

 

『ふんっ!』

 

 敵の両掌から大きな蔦のようなものが生え出る。

 敵の両掌から生え出た大きな蔦は、鞭のようにしなると、迫り来る風の刃を叩き落とした。

 

「……っ!」

 

 敵の攻撃が止むと同時に前進する。

 敵の下に近寄ろうとする。

 けれど、たった数歩進んだだけで敵は攻撃を再開した。

 

(くそ……! 上手く進む事ができねぇ……!)

 

 またもや迫り来る敵の攻撃を受け流しつつ、俺は心の中で舌打ちする。

 このままじゃ、ジリ貧だ。

 敵よりも先に、ルナの方が先に力尽きてしまう。

 ルナが力尽きたら、今以上に接近が難しくなる。

 どうしたものか。

 そう考えたその時だった。

 

「──頬張れ、迅雷よ。我は雷を御するもの」

 

 聞き覚えのある声が戦場の均衡を崩す。

 鳥を象った雷が敵の頭上で煌めく濁った球体の下に向かって羽ばたく。

 すぐさま敵は両掌を雷の方に向けた。

 その隙を俺とルナは見逃さない。

 先ず動いたのは、ルナ。

 ルナは懐から札のようなものを取り出すと、それを敵目掛けて放り投げる。

 次に動いたのは、俺。

 俺は地面を思いっきり蹴り上げると、全速力で敵の下に向かって突撃する。

 

『ちっ……!』

 

 不可視の攻撃が雷の鳥を打ち砕く。

 敵は雷の鳥──大魔女ウルさんが放った攻撃を打ち砕いた後、俺の方に視線を寄せた。

 

「呪法『氷律』──我が怨敵を貫け」

 

 俺目掛けて攻撃を放とうとする敵。

 だが、敵が攻撃するよりも先にルナが攻撃を繰り出した。

 ルナが造り出した氷柱12本。

 それらが敵の頭上で煌めく濁った球体目掛けて飛翔する。

 敵は攻撃の照準を俺から氷柱に移すと、再び不可視の攻撃を氷柱12本目掛けて射出した。

 氷柱12本があっという間に砕かれる。

 そして、敵は氷柱を全て砕いた後、俺目掛けて攻撃を放──てなかった。

 

「っ……!」

 

 息を短く吐き出し、片手剣を振るう。

 俺が振るった片手剣は宙を勢い良く裂くと、敵の頭上で煌めく濁った球体に減り込んでしまった。

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