マクゴナガル先生が主役の作品があんまり無いので、だったら書こうじゃないかというノリで書いたやつです。
需要があるかどうかはわからないけど、読みたい人だけ寄っといで。
ボーイミーツガールの始まり
1947年。
ホグワーツ魔法魔術学校へと向かう蒸気機関車.....ホグワーツ特急内で一人の少女が歩いていた。
その少女の名はミネルバ・マクゴナガル。
牧師であるマグルの父親、そして魔女である母親の間に生まれた半純血の魔法族であった。
魔女である母親と同じく、魔法族として生を受けた彼女はホグワーツに入学することになり、期待と興奮を胸にホグワーツ特急に飛び乗ったのである。
そして、そのまま座れそうなコンパーメントを探していたのだが....どの席もホグワーツの生徒達で多かったため、彼女はホグワーツ特急が動き出してもなお、座れずじまいの状態が続いていたのだった。
「やっぱり、人が多いなぁ......」
ホグワーツへと向かう列車なだけあって、新入生はともかく大勢の在校生も乗っていたため、ミネルバはため息を吐きながら席を探していたところ、その数分後に奇跡的に空いていた席を発見したことにより、彼女は内心嬉しそうにしていた。
ただ、その席には真剣な様子で本を読んでいる一人の少年が座っていたため、邪魔をしてはいけないと思った彼女はその席を後にしようとしたところ
「座らないのかい?」
少年が本を読みながらそう言ったことにより、ミネルバは恐る恐る席へと座ったのだった。
栗毛色の髪色の少年はそんな彼女を気にすることなく、ページを一枚ずつ丁寧な様子でゆっくりと捲ると、そのページに書かれている文章をサファイアのような青い瞳で追うように読んでいたため、ミネルバは自然と彼の様子を観察していた。
それはまるで、珍しい生き物を見るかのように。
ただ、少年は彼女のその視線に気がついていたようで.........視線を本からミネルバに移すと、呆れた様子で彼女に向けてこう言った。
「....何?」
「あ、いや、その....貴方がそんなに集中して読んでいるから、逆にその本がどんな本なのかが気になって.......」
慌てた様子の彼女がそう言ったところ、少年は怒るどころか表情を変える様子を見せることなく、再び視線を本に戻す形で読書という行為を再開した....かと思えば、さっきと同じように本を読みながらミネルバに対してこんなことを言った。
「『オリエント急行殺人事件』、それがこの本の名前だよ」
少年が本のタイトルについてそう言った瞬間、ミネルバはその本の題名が聞き慣れていなかったからか、その顔になる不思議そうな表情が浮かんでいた。
けれども、少年が熱心な様子で読んでいる本に少なからず興味を占めていたようで
「『オリエント急行殺人事件』.......」
本のタイトルが脳裏に刻まれたのか、そんなことをポツリと呟いていた。
彼女のその様子を見た少年は、自身が読んでいる本に興味を示したことを理解したようで、自身が読んできた『オリエント急行殺人事件』に栞を挟む形で閉じると、隣の空いている席に置いてある『スタイルズ荘の怪事件』を彼女に差し出していた。
「.....これは?」
「『スタイルズ荘の殺人事件』、僕が今読んでいる『オリエント急行殺人』と同じ人が....アガサ・クリスティが書いた小説だよ」
少年がそう言いながら本を差し出したところ、ミネルバはその本に向けて手を差し出すと、そのまま本を受け取るのだった。
そして、試しにミネルバは本を開いたのだが.....その本の内容が、『スタイルズ荘の怪事件』が彼女にとって中々面白い内容だったようで、いつの間にやらページを捲る手が止まらなくなっていた。
彼女のその姿を見た少年は、自身の好きな本を楽しそうに読んでいるのがとても嬉しかったようで、心なしかクスッと笑うような表情になっていた。
「この本ってとても頭を使う話だけど.....何だかよく分からないけど、とても面白いわ!!」
「だろう?だから推理小説を読むのはやめられないんだ」
ワクワクドキドキとした様子でそう言うミネルバに対し、仲間が出来たとばかりにそう言う少年。
彼のその顔には、今の今まで出会うことのなかった仲間と出会えた喜びに加えて、その仲間と共に同じ作家の作品を読めることが嬉しかったようで、さっきまでのクールな様子とは裏腹な興奮した様子を見せていた。
そんな少年の顔を見たミネルバは、彼がただ単に気難しい性格というわけではなく、推理小説という本が好きな同い年の少年だと理解したようで、ホッと一安心するような顔になっていたのだった。
「推理小説?」
ミネルバはキョトンとした顔になりながらそう呟くと、少年は待ってましたとばかりの顔になったかと思えば、推理小説に興味を示している彼女に向けてこう言った。
「あぁ、こういう風に物語の中で起こった謎....あるいは事件を主人公達が解決しようとする話のことを推理小説って言うんだよ」
「へぇ、推理小説かぁ.......」
ホグワーツ急行内という狭い空間にて、自分の知らない世界に触れたからなのかは分からないが、それでも牧師の娘として生まれたが故に厳格に育てられた彼女にとって、推理小説は魅力的な物語であることに変わりはなく、ミネルバは彼に向けてこう言った。
「こんなにも面白い本があるなんて、知らなかったなぁ.......」
その言葉を聞いた少年はピクッと反応したかと思えば、彼女の顔を再びジッと見つめると......彼女に対し、質問する形でこう言った。
「君、こういう本を読んだことがないの?」
少年がそう言うと、彼女はアハハと苦笑いすると.....読んでいた本を膝に置いた後、彼に向けて申し訳なさそうな様子でこう言った。
「あ、うん。私の家はお母さんは魔女なんだけど、お父さんはマグルで牧師だから.......」
無理矢理作った笑顔を浮かべながら彼女がそう言うと、少年はその言葉の意味を理解したようで、ふぅんと声を漏らすと一言
「だったら、僕も似たようなものだね」
そんな言葉を言ったため、彼女は目を見開いていた。
少年はそんな彼女を気にすることなく、自身に関することを対してこう言葉を紡いだ。
「僕のひいおじいちゃんはスクイブで、おじいちゃんもおばあちゃんも父さんも母さんも同じような感じなんだ。だからなのかは分からないけど、みんなマグルの物が大好きなんだよ。もちろん、僕自身もそうだけど」
少年がそう言った瞬間.......ミネルバは彼に対して親近感を持ったようで、その顔にはあの時の彼と同じように仲間を見つけたような顔になっていた。
そして、彼女はニコッと笑顔を浮かべると少年に対してこう言った。
「確かに、私達って似てるね」
その言葉を聞いた少年は彼女の言葉に対し、照れ隠しをするようにその表情を本で隠していたのだが、ホグワーツ内で今後仲良くなるであろうミネルバに向け、息を吐き出すかのように自身の名前をこう名乗った。
「....ゲイリー」
「ん?」
「僕はゲイリー・ヴォルグ。君は?」
本を読みながらそう言う彼の言葉を、ゲイリーの言葉を聞いたミネルバは、自分も自己紹介をしようと思い始めたようで、彼に向けてニコッと笑顔を向けながら自らの名前を名乗るようにこう言った。
「私の名前はミネルバ、ミネルバ・マクゴナガル。よろしくね、ゲイリー!!」
「こちらこそ、よろしくお願いするよ」
こうして、ホグワーツ急行内で出会った二人だったが.....後にこの出会いがきっかけとなり、数十年の付き合いになることをミネルバどころかゲイリーすら予想していなかったのは言うまでもない。
本作では男主×マクゴナガル先生風味なので、原作改変等の要素があります。
また、オリキャラなども多数出るのでそこら辺のことはご了承ください。
ちなみに....ミネルバとゲイリーがホグワーツ生になりたての頃には、既に『アクロイド殺し』『オリエント急行殺人』『そして誰もいなくなった』が出品されていたとか。