アニポケ転生者物語   作:投稿者

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初投稿です。よろしくお願いします。


第0話プロローグ

「──というわけで、オーキド博士からポケモンをもらい、晴れてポケモントレーナーとして認められた者は、ここマサラタウンから旅立っていく。無限の可能性を秘めた、夢と冒険の世界へ!」

 

 テレビの中で高らかに響くアナウンサーの声が、やけに現実味を帯びて鼓膜を揺らした。画面に映るのは、見慣れたマサラタウンののどかな風景と、その中心にそびえるオーキド研究所。そう、今日という日は、この小さな町にとって数少ない祝祭の日なのだ。

 

 俺、ミナトは、リビングのソファに深く身を沈めながら、どこか他人事のようにその光景を眺めていた。他人事、というのは少し違うか。正確には、あまりにも「自分事」すぎて、逆に実感が湧かないのだ。

 

 物心ついた時から、俺はこの世界が「ポケットモンスター」──それも、俺が前世で熱中したあのアニメの世界だと知っていた。なぜ、どうして、という疑問はとうの昔に思考の彼方へ追いやった。ただ受け入れ、この世界で生きてきた。両親は優しく、特に母さんはあのシルフカンパニーの凄腕プログラマーで、リモートワークで俺を育ててくれた。不自由なんて何一つなかった。

 

 そして今日、俺は十歳になる。ポケモントレーナーとして旅立つ資格を得る、記念すべき日。

 

 画面の中では、派手な応援団とオープンカーで颯爽と旅立っていく少年が映し出される。オーキド博士の孫、シゲルだ。彼の自信に満ち溢れた姿は、まさしく物語のライバルそのものだった。

 

「(まあ、俺は彼と競うつもりはないけどな)」

 

 俺の目標は、ポケモンリーグを制覇することでも、世界最強のトレーナーになることでもない。ただ、この世界の空気を吸い、ポケモンたちと触れ合い、前世では画面の向こう側だった冒険を、この足で、この目で、純粋に楽しむこと。いわば、「エンジョイ勢」だ。

 

 だから、旅の準備も少しだけ合理的だった。

 

「ミナト、もう行かなくていいのかい? シゲル君はもう出発したみたいだけど」

 

「平気だよ、母さん。一番乗りは、騒がしいのが苦手でね」

 

 俺はそう言って立ち上がった。実際は、一番乗りを狙っていた。サトシが寝坊して、シゲルが訪れる前、静かな研究所で落ち着いて最初のパートナーを選びたかったからだ。

 

 そして、選ぶポケモンも既に決まっている。

 

「(ニビジムは岩と地面、ハナダジムは水。なら、最初から最後まで有利に戦えるフシギダネ一択だろう)」

 

 転生知識の数少ない有効活用だ。苦戦するのも一興かもしれないが、序盤の旅はスムーズな方が絶対に楽しい。俺は玄関で靴を履くと、少しだけ逸る胸を落ち着かせるように深呼吸をした。

 

「それじゃ、行ってくるよ」

 

「ええ、気をつけて。……ああ、そうだ。帰ってきたら、あなたに渡すものがあるから、まっすぐ帰ってくるのよ」

 

 母さんの意味深な言葉に少し首を傾げながらも、俺は「わかった」と返事をして家を出た。

 

 空は雲ひとつない快晴。マサラタウンの土の匂いが、やけに懐かしく、そして新しく感じられる。

 

 道の先には、オーキド研究所。そして、そこから始まる俺だけの冒険。

 

 テレビの向こう側だった世界が、今、目の前に広がっている。

 

「さて、行きますか」

 

 俺は小さく呟き、未来の相棒が待つ場所へと、確かな一歩を踏み出した。




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