アニポケ転生者物語   作:投稿者

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第96話

「見てくれ!あの島、形がカブトにそっくりだ!」

ケンジが指差した先には、巨大な甲羅のような形をした奇妙な島があった。

地図にも名前がない、無人島だ。

 

島に上陸すると、そこには不気味な静けさが漂っていた。

地面には無数の穴が開いており、至る所に化石らしきものが埋まっている。

「化石の発掘調査が行われているらしいが……誰もいないな」

 

夜になると、空に真っ赤な月が昇った。

不吉な赤色。

すると、地面がざわざわと蠢き始めた。

 

「な、なんだコリャ!?」

サトシが叫ぶ。

 

地面から無数のカブトが這い出してきたのだ。化石だと思っていたものが、赤い月の光を浴びて復活したのだ。

「キキーッ!キキーッ!」

甲高い鳴き声を上げながら、カブトの大群は島を覆い尽くし、人間たちを排除しようと襲いかかってきた。

 

「逃げるぞ!こいつら、俺たちを敵だと思ってる!」

 

俺たちは島内を走り回った。だが、どこへ行ってもカブト、カブト、カブト。

足の踏み場もないほどの数だ。

 

「(この数は異常だ……。単なる繁殖じゃない。何かに怯えている?)」

 

パニックになるサトシたちをよそに、俺は冷静に観察を続けた。

カブトたちの動きには、ある一定の法則がある。彼らは島の中心部から外へ、海へ向かって一斉に移動している。

 

「ポリゴン2、解析しろ。彼らの目的は?」

『了解。カブトたちの脳波がリンクしています。集合的無意識……彼らは、島の沈没を予知し、脱出しようとしている可能性があります』

 

「島が沈む!?」

 

その時、一匹のカブトが群れから逸れ、崩れた岩の下敷きになって身動きが取れなくなっているのを見つけた。

他のカブトたちは我先にと海へ向かっている。このままでは見捨てられる。

 

「仕方ないな」

俺は瓦礫を退け、そのカブトを助け出した。

「キュー……」

弱々しく鳴くカブト。その甲羅には、古代の文字のような傷があった。

 

「お前、何か知ってるのか?」

 

カブトは俺の手に触れた。その瞬間、俺の脳裏に鮮烈なビジョンが流れ込んでくる。

 

『……崩壊……』

『……海ノ神……怒リ……』

『……調和ガ……乱レル……』

 

海に沈む神殿。銀色の翼を持つ巨大な鳥。そして、世界を飲み込む嵐。

これは、ルギアの記憶?それとも、古代からの予言か。

 

「(やはり、世界の危機はすぐそこまで来ている)」

 

「ミナト、早く逃げるのよ!島が崩れるわ!」

カスミが叫ぶ。

足元の地面がひび割れ、海水が吹き出してきた。

 

俺はカブトを抱え、ラプラスに乗って島を脱出した。

直後、島全体が轟音と共に崩落し、海の中へと消えていった。

カブトの大群は、海流に乗ってどこかへ去っていった。

 

「危なかった……」

 

俺は、腕の中のカブトを見つめた。

こいつは、ただの化石ポケモンじゃない。古代の警告を伝える、重要な鍵かもしれない。

 

「一緒に行くか?俺たちと」

俺がボールを向けると、カブトは静かに、自ら吸い込まれていった。

 

カブト、ゲット。

俺たちは、また一つ、世界の謎に近づいた。

赤い月が、海面を怪しく照らしていた。

 

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