アニポケ転生者物語 作:投稿者
「それでは、ただ今より、ジムリーダー・カスミと、挑戦者・サトシのポケモンバトルを開始します!」
審判の宣言と共に、ハナダジムの観客席が沸いた。姉たちのショー目当ての客だけでなく、本物のジム戦を見に来たトレーナーたちも、固唾を吞んでフィールドを見つめている。
フィールドは、中央にいくつかの足場が浮かぶ、広大なプールだ。水ポケモンにとっては最高の舞台だが、電気タイプのピカチュウにとっては、足場が限られる分、不利な状況と言えた。
「行くわよ!私の自慢の星!行け、ヒトデマン!」
カスミが最初に繰り出したのは、星形の体に赤いコアが輝くヒトデマンだ。素早く水中に潜り、その姿を隠す。
「ピカチュウ、君に決めた!」
サトシも負けじとピカチュウをフィールドに送り出す。だが、ピカチュウは水が苦手なのか、足場の端で少し怖気付いているようだった。
「ピカチュウ、怖がるな!俺がついている!」
サトシの言葉に、ピカチュウは意を決したように前を見据える。その時、水中からヒトデマンが高速で回転しながら飛び出し、「たいあたり」を仕掛けてきた。
「ピカチュウ、かわせ!」
しかし、足場の悪さが災いし、ピカチュウは攻撃を避けきれずにプールへと弾き飛ばされてしまう。
「まずいな……」
隣で見ていたタケシが、呻くように言った。水中では、ヒトデマンの独壇場だ。素早い動きでピカチュウを翻弄し、次々と「みずでっぽう」を浴びせていく。
サトシは必死に指示を出すが、焦りからか、ピカチュウとの連携がうまくいっていない。このままでは、ジリ貧だ。
「(思い出せ、サトシ……!)」
俺は心の中で叫んだ。速さこそが、武器だと。お前とピカチュウの、信頼関係こそが力になると。
その時、サトシが何かを閃いたように、目を見開いた。
「そうだ……!ピカチュウ、水の中に入れ!」
「ピカ!?」
無茶苦茶な指示に、ピカチュウだけでなく、カスミや観客たちも驚きの声を上げる。だが、サトシは真剣だった。
「大丈夫だ、俺を信じろ!水の中なら、あいつの動きがよく見えるはずだ!そして、電気は水の中の方がよく伝わる!」
サトシの言葉に、ピカチュウはこくりと頷き、意を決して水中へと飛び込んだ。そして、水中を自在に泳ぎ回るヒトデマンを、その目で必死に追う。
「今だ、ピカチュウ!『10まんボルト』!」
ピカチュウの体から放たれた強力な電撃が、プール全体へと広がる。水を得た魚ならぬ、水を得た電気。その威力は凄まじく、ヒトデマンはたまらず水面へと飛び出した。
「やったな、サトシ!」
俺は思わず拳を握りしめた。彼は、俺のヒントを自分なりに解釈し、ピカチュウとの絆の力で、この窮地を乗り越えたのだ。
カスミもまた、サトシの予想外の戦術に驚きつつも、どこか楽しそうな表情をしていた。姉たちに馬鹿にされ、鬱屈していた彼女の心が、サトシとの真剣勝負によって解き放たれていくのが分かった。
その後も、バトルは一進一退の攻防を続けたが、最終的には、サトシとピカチュウの絆が、わずかに上回った。サトシは、見事ブルーバッジを勝ち取ったのだ。
「……やるじゃない。そのバッジ、あなたが持つにふさわしいわ」
カスミは、悔しそうに、しかしどこか晴れやかな表情で、サトシにバッジを手渡した。その姿は、もう姉たちにコンプレックスを抱く、ただの少女ではなかった。一人の、誇り高きジムリーダーの顔だった。
タケシが、俺の隣でぽつりと言った。
「サトシの戦い方、どこか君に似た部分があったな。特に、ポケモンの力を信じ抜くところが」
「さあ、どうでしょうね」
俺は、少しだけ得意な気持ちで、そう答えた。
サトシのバトルの後、俺は改めてカスミにジム戦を申し込んだ。
「次は、俺の番だ。よろしく、カスミさん」
「ええ、望むところよ!ミナト、あなたみたいな強いトレーナーと戦えるの、ワクワクするわ!」
サトシとの戦いを経て、カスミは完全にジムリーダーとしての自信を取り戻していた。その瞳は、挑戦者を試すように、鋭く輝いている。
「ルールは2対2のシングルバトル。いいわね?」
「ああ、問題ない」
審判の合図と共に、二つ目のジム戦が始まった。
「行くわよ、トサキント!」
カスミが最初に繰り出したのは、優雅なヒレを持つトサキントだ。水面を軽やかに跳ね、こちらを窺っている。
「こっちはこいつだ。行け、ミニリュウ!」
俺が繰り出した三匹目の仲間、ミニリュウの姿に、カスミだけでなく、観客席のサトシたちも息を呑んだ。
「なっ……ミニリュウ!?幻のポケモンじゃない!」
「ミナトの奴、いつの間にあんなポケモンを……!」
サトシの驚きを背に、俺は冷静に指示を出す。ポリゴンはボールの中で待機させ、デバイスを通してミニリュウのサポートに徹させる。
「ミニリュウ、デビュー戦だ。思いっきり暴れてこい!『りゅうのいかり』!」
「キュー!」
ミニリュウは蛇のようにしなやかな動きで水面を滑り、トサキントに接近する。そして、小さな口から竜のエネルギーを放った。トサキントは素早い動きで回避しようとしたが、ミニリュウの機動力の方が一枚上手だった。
「トサキント、戦闘不能!」
「やるわね……。でも、次はそうはいかないわよ!行け、スターミー!」
カスミが繰り出したのは、ハナダジムの切り札、スターミーだ。中央のコアが、闘志を反映するように赤く点滅している。
ミニリュウは果敢に立ち向かったが、やはり経験の差が出た。スターミーの放つ変幻自在の『スピードスター』と、強力な『バブルこうせん』の前に、ミニリュウは力尽き、戦闘不能になる。
「ミニリュウ、よく頑張った。戻れ」
俺はミニリュウを労い、最後のモンスターボールを手に取った。
「頼むぞ、フシギダネ!」
「ダネフッシャ!」
満を持して登場した俺のエース。タイプ相性では圧倒的に有利だが、今のスターミーにはそれを覆すだけの気迫があった。
「スターミー、水中からの『スピードスター』!」
「『つるのムチ』で弾け!」
フシギダネは、トキワの森で鍛えた精密操作で、飛んでくる光線を次々と叩き落とす。
「今だ、スターミーに『やどりぎのタネ』!」
フシギダネが放った小さなタネが、スターミーのコアの近くに付着する。じわじわと体力を奪われるスターミー。カスミは焦りを見せず、冷静に指示を飛ばす。
「負けないわよ!スターミー、『じこさいせい』!」
体力を回復させ、持久戦に持ち込もうとするカスミ。ハイレベルな攻防に、観客席がどよめいた。
「(長引けば不利になる……一気に決める!)」
俺は勝負に出た。
「フシギダネ、『タネマシンガン』で目眩しをしろ!その隙に接近して、最大火力の『はっぱカッター』だ!」
「ダネッ!」
高速で連射されるタネの礫がスターミーを襲う。スターミーが防御の姿勢をとった一瞬の隙を突き、フシギダネが足場を蹴って跳躍した。至近距離から放たれた無数の鋭い葉の刃。
「スターミー!」
カスミの悲痛な叫びも虚しく、全ての攻撃をまともに受けたスターミーは、ついにその輝きを失い、水面に浮き上がった。
「スターミー、戦闘不能!よって勝者、挑戦者ミナト!」
静まり返ったジムに、審判の声が響く。
「……完敗ね。あなたのポケモンたち、本当に強いわ。それに、ミニリュウとの絆も……すごく、勉強になった」
カスミは、悔しさを滲ませながらも、笑顔で俺の勝利を称えてくれた。俺は彼女に歩み寄り、手を差し出した。
「あんたの戦い方も、素晴らしかった。最高のジム戦だったぜ、ジムリーダー」
俺たちは、固い握手を交わした。ハナダジムでの二つの戦いは、サトシに、カスミに、そして俺自身にも、大きな成長をもたらしてくれた。
俺は手に入れたばかりのブルーバッジを高く掲げ、相棒たちの頑張りを称えるのだった。
チラシ裏から表にでるべきか
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チラシ裏でいい
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表にでてもいい
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まだ表にでるのは早い