アニポケ転生者物語   作:投稿者

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第101話

サトシのオレンジリーグ制覇を祝うパレードの熱気は、不自然なほどの寒冷前線によって一瞬で凍りついた。

数時間前まで眩しい太陽が輝いていたカンキツ島の空は、今や墨を流したような暗雲に覆われ、季節外れの雪がひらひらと舞い始めていた。

 

「雪……?オレンジ諸島で雪なんて、あり得ないわ」

カスミが震える肩を抱きながら、空を見上げる。

 

「ただ事じゃない。海流が……逆流しているんだ」

ケンジが海面を指差した。本来、南へ流れるはずの潮が、凄まじい速さで北のアーシア島方面へと引き込まれている。

 

俺は、ベルトにあるカブトのボールを手に取った。

「(カブトが……泣いているのか?)」

ボールの中から、古代の悲鳴のような振動が伝わってくる。

俺はカブトを外に出した。カブトは震えながら、北の空――伝説の三鳥が住まう三つの島の方角をじっと見つめていた。

 

「ポリゴン2、広域気象レーダーの解析結果を出せ。何が起きている!」

『了解。……極めて異常なデータです。火の島、雷の島、氷の島の周辺で、独立していたはずの属性エネルギーが暴走し、互いに干渉し合っています。……火の島からの熱源反応、消失。サンダーの住まう雷の島へ、巨大な飛行物体が接近中』

 

「(やっぱり……ジラルダンだ。奴がファイヤーを捕らえ、バランスを崩したんだな)」

 

俺の脳裏には、劇場版『ルギア爆誕』のシナリオが鮮明に浮かんでいた。

コレクターの独りよがりな欲望が、自然界の守り神たちを刺激し、世界を滅ぼすほどの大嵐を招く。

 

「止めなきゃいけない。あいつを……あの飛行船を!」

サトシがピカチュウを肩に乗せ、力強く叫んだ。リーグを制覇したばかりの彼の瞳には、かつての幼さはなく、世界を守るという重い覚悟が宿っていた。

 

「ああ。……だが、この海流と嵐の中をラプラスで行くのは危険すぎる」

俺は、上空を舞うカイリューを見上げた。

「俺のカイリューと、サトシのリザードン。空から接近するしかないな」

 

その時、上空を巨大な、金属質の影が横切った。

雲を切り裂き、落雷を物ともせずに進む、城のような巨大飛行船。ジラルダンの移動要塞『飛行宮』だ。

 

「あれだ……!あの中に、ファイヤーが捕らわれているんだな!」

サトシが拳を握りしめる。

 

「サトシ、カスミ、ケンジ。俺のラプラスに乗って、まずはアーシア島へ向かってくれ。あそこには、この事態を収拾するための『祭壇』があるはずだ」

俺は指示を出した。

 

「ミナトはどうするの!?」

カスミが不安そうに叫ぶ。

 

「俺は、あの飛行船へ直接乗り込む。奴のコレクションシステムを内部から破壊し、鳥たちを解放する。……ポリゴン2がいれば、不可能なことじゃない」

 

「わかった!ミナト、頼んだぞ!」

サトシは俺を信じ、ラプラスと共に激流の中へと飛び込んでいった。

 

俺はカイリューの背中に飛び乗り、一気に高度を上げた。

「カイリュー、全速力であの船を追え!神々の怒りが世界を焼き尽くす前に!」

 

「グオオオオオッ!!」

カイリューが暴風を切り裂き、音速に近いスピードで加速する。

 

下界では、怒り狂った海が巨大な渦を巻き、天からは氷の矢が降り注いでいた。

火の神、雷の神、氷の神。

彼らの調和が乱れた時、この星は、かつてないほどの『冬』を迎えることになる。

 

「(物語を変えてやる……。誰一人、犠牲にはさせない)」

 

俺は、雲の合間に見え隠れする巨大な要塞を見据え、決戦の地へと突き進んだ。

 

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