アニポケ転生者物語 作:投稿者
激しい海流と暴風雨に揉まれながら、サトシたちはなんとかアーシア島の入り江へとたどり着いた。
一方、俺はカイリューと共にジラルダンの飛行船を追撃していたが、強力な電磁防壁に阻まれ、一時的にアーシア島の高台へと降り立つことを余儀なくされていた。
島の広場には、祭りの衣装を纏った島民たちが、不安な面持ちで集まっていた。
「優れた操り人よ……ついに、予言の時が来たのですね」
長老のような老人が、ラプラスから降りてきたサトシを見て、敬虔な態度で膝をついた。
「えっ?優れた操り人って……俺のこと?」
サトシが戸惑う。
そこに、一人の少女が人混みをかき分けて現れた。祭壇の巫女を務める少女、フルーラだ。
「ちょっと長老!こんな泥だらけの男の子が予言の救世主だなんて、冗談でしょ?」
彼女はサトシをジロジロと眺め、ふっと鼻で笑った。だが、その瞳には隠しきれない不安が混じっている。
「……というわけ。ハハハッ。大変なことになっちゃったねぇ」
不意に、俺たちの背後から、ひょうひょうとした声が聞こえてきた。
振り返ると、そこには祭壇の岩場に腰掛け、呑気に海を眺めているヤドキングがいた。
「ヤドキング!?喋った……のか?」
ケンジが驚愕し、夢中でスケッチブックを走らせる。
「星のささやきがね。貴方は、この不条理な運命をちょっとだけ変えられる力を持ってる……らしいよ。ハハハッ」
ヤドキングは、俺に向かって片目を瞑ってみせた。彼には、俺がこの世界の住人ではないこと、そして未来を知っていることが見えているのかもしれない。
「ヤドキングさん、どうすればこの嵐を止められるんだ?」
俺が尋ねると、彼は重い腰を上げた。
「バランスが崩れちゃったんだ。火の神、雷の神、氷の神……。彼らが喧嘩を始めたら、海は荒れるし、世界はカチコチ。……困ったねぇ」
彼は空を指差した。
そこでは、捕らえられたファイヤーとサンダーの影響で、残されたフリーザーが暴走し、海面を次々と凍りつかせていた。
「三つの宝を集めて、あそこの祭壇に捧げるの。火、雷、氷……それぞれの島の宝をね。……誰がやるのかなぁ?」
「俺がやるよ!」
サトシが一歩前に出た。
「世界が滅びるなんて、絶対にさせない!俺が宝を集めてくる!」
「よし、サトシ。お前は宝を頼む。俺は、空にあるあの元凶……ジラルダンを叩く。あいつを止めて、捕まった鳥たちを解放しない限り、本当の調和は戻らない」
俺はカイリューの首筋を撫でた。カイリューも、伝説の神々に挑む覚悟はできているようだ。
「ミナト君、やるねぇ。……期待してるよ。ハハハッ」
ヤドキングの声が、風に乗って背中を押してくれた。
サトシはフルーラの案内で小舟に乗り込み、荒れ狂う海へと再び飛び出していった。
俺は、カイリューの背に跨り、天高くへと舞い上がる。
「(ジラルダン……。お前のコレクション趣味に、世界の命を付き合わせるわけにはいかないんだよ)」
空では雷鳴が轟き、海では巨龍のような波が逆巻く。
その中心で、海の神が目覚めるその時を、世界は固唾を呑んで待っていた。
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