アニポケ転生者物語   作:投稿者

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第106話

アーシア島の祭壇へと向かう俺たちの背後で、巨大な影が動いた。

雲を割り、落雷を物ともせずに浮遊する鋼鉄の要塞――ジラルダンの飛行宮だ。

三鳥を逃した失態を挽回せんとするかのように、その要塞は巨大な捕獲アームを四方八方に展開し、今度は海の神ルギアを直接、しかも全力で狙い始めた。

 

「しつこい奴だな……!サトシ、先に行け!俺はあいつを黙らせてくる!」

 

「ミナト、一人で大丈夫か!?」

サトシが心配そうに叫ぶ。

「大丈夫だ!俺には最強の相棒たちがいる!……お前は世界を守る準備をしておけ!」

 

俺はカイリューを反転させ、再び飛行船へと急上昇した。

「ポリゴン2、お前の出番だ!あの船のメインコンピューターにダイブしろ!」

 

『了解。ワイヤレス・ハッキングを開始。……プロテクトが異常に強固です。外部からの侵入は困難。物理的なインターフェースへの直接接続を推奨します』

 

「よし、なら強行突破だ!……カイリュー、あの窓をぶち破れ!」

 

俺たちは飛行船のブリッジ横にある、強化ガラスの観測窓へと突っ込んだ。

「バサギリ、出番だ!あの扉を……いや、壁ごとこじ開けろ!」

 

ボールから飛び出したバサギリが、空中で斧を一閃させた。

厚さ数十センチの強化合金が、まるで紙切れのように切り裂かれる。気圧の差で激しい風が吹き出す中、俺はバサギリと共に船内へと飛び込んだ。

 

船内は、想像を絶する光景だった。

床から天井まで、世界中から集められた希少なコレクションで埋め尽くされている。古代の彫像、見たこともないポケモンの剥製、そして巨大なモニター群。

その中心、玉座のような椅子に、一人の男が優雅に座っていた。ジラルダンだ。

 

「おや、珍客だね。……シルフのテスター君かな?」

彼は驚く様子もなく、むしろ歓迎するかのように俺を一瞥した。

 

「ジラルダン、お前の遊びはここまでだ。今すぐ捕獲装置を止めろ!このままじゃ世界が壊れるぞ!」

 

「遊び?失敬な。これは芸術だ。海の神を手に入れるという、人類史上最高の芸術なんだよ。世界がどうなろうと、この私のコレクションさえ完成すれば、それは永遠となるのだから」

 

ジラルダンがスイッチを入れると、ルギアを狙った電磁捕獲ネットが四方から射出された。

「(こいつ、完全に狂ってる……!)」

 

「ポリゴン2、頼む!」

俺はデバイスをメインコンソールに直接接続した。

「全システムをオーバーロードさせろ!二度と飛べないようにしてやる!」

 

『ハッキング開始。……全セキュリティを突破。……エネルギーコアの冷却システムを強制停止。……自己崩壊プログラムを上書き。カウントダウンを開始します』

 

「何をする気だ!」

ジラルダンが初めて、その冷静な仮面を崩して焦りを見せた。

 

船全体が、内側から悲鳴を上げるように激しく振動し始めた。警報音がけたたましく鳴り響き、モニターが次々とブラックアウトしていく。

 

「脱出するぞ!バサギリ、出口を作れ!」

 

バサギリが壁を斧で粉砕し、外の暴風雨が船内に流れ込む。

俺はポリゴン2を回収し、カイリューの背中に飛び乗った。

 

直後、巨大な爆発音が響き、飛行船のエンジンから火が噴き出した。

コントロールを完全に失った『飛行宮』は、ゆっくりと、しかし確実に、怒り狂う海へと墜落していく。

 

「……これで、元凶は断った」

 

だが、空を見上げると、三鳥の怒りはまだ鎮まってはいなかった。

主(ルギア)を傷つけられた怒りか、それともバランスを崩されたことへの本能的な抗議か。

彼らは再び、アーシア島の祭壇へ向けて、最後の一撃を放とうとしていた。

 

「(あとは頼んだぞ、サトシ……!)」

 

俺は祈るような想いで、祭壇の上に立つサトシの姿を見守った。

すべての準備は整った。

火、雷、氷。三つの宝は揃った。

最後の一欠片は、伝説の旋律だけだ。

世界の命運は、一人の少年と、一枚の笛に託された。

 

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