アニポケ転生者物語 作:投稿者
ストック分はそのままで新規から描写増やすように努めます。
ジラルダンの飛行船が海に沈み、巨大な水柱が上がった。
その後の海域には、不気味なほどの静寂が訪れた。
……いや、それは静寂ではない。
空では、残された力を振り絞るように三鳥が悲痛な鳴き声を上げ、海では深手を負ったルギアが、辛うじて水面にその白い巨体を浮かべていた。
アーシア島の祭壇。
そこには、サトシが命がけで集めた三つの宝――火、雷、氷の石が、それぞれの台座に収められていた。
「サトシ、早く!これ以上はルギアが持たないわ!」
フルーラの叫びが、風を切り裂いて響く。
サトシは、祭壇の中央にある、古代の紋章が刻まれた石板へ、最後の一歩を踏み出した。
その瞬間、三つの石が呼応するように激しく輝き出し、赤、黄、青の光の柱が天を貫いた。
「キュオオオォォッ!!」
ルギアがその光に包まれ、奇跡的な回復を見せて海から舞い上がった。
そして、フルーラがゆっくりと、手にしていた古代の笛を口に当てた。
奏でられたのは、美しく、どこか悲しく、しかし力強い旋律。
『ルギアの歌』。
その音がアーシア島全体に響き渡った瞬間、奇跡が起きた。
吹き荒れていた暴風がピタリと止み、叩きつけるような雨が柔らかな霧へと変わっていく。
三鳥の瞳からどす黒い怒りが消え、本来の守護神としての穏やかな光が宿った。彼らは戦うのをやめ、静かに翼を休めた。
「(……すごい。これが、調和の力か)」
俺はカイリューの背中で、その光景を呆然と眺めていた。
ポリゴン2のデバイスも、全海域のエネルギー数値が急速に安定し、正常な値に戻っていくのを記録している。
光の粒子が、雪のようにルギアの傷を癒やしていく。
ルギアは大きな翼を広げ、三鳥たちを優しく包み込むようにして空を旋回した。
ファイヤー、サンダー、フリーザー。彼らもまた、自らの過ちを悔いるように、それぞれの島へと静かに、威厳を持って帰っていった。
やがて、厚い雲が割れ、そこから眩い太陽の光が差し込んだ。
海は鏡のように穏やかになり、オレンジ諸島に、本当の平和が戻ってきた。
ルギアは、祭壇の前にいるサトシたちの元へ、ゆっくりと降りてきた。
『優れた操り人よ。そして、共に戦った勇気ある人間たちよ』
ルギアの声が、直接心に響く。テレパシーというよりは、海そのものが語りかけているような、深く重厚な、母のような声。
『世界は救われた。……だが、忘れるな。自然の調和は、あまりにも脆く、尊いもの。それを守り続けるのは、今を生きるお前たち自身なのだということを。ポケモンの力ではなく、お前たちのその心が、明日を創るのだ』
ルギアは、俺の方をじっと見つめた。
『異界の記憶を持つ者よ。お前の振るった斧と、ルギアを支えた翼、しかと見届けた。……お前が紡ぐ新しい歴史が、この星にとって絶望ではなく光となることを願っている』
「……約束するよ。俺たちは、俺たちのやり方で、この世界を守っていく。たとえそれが、どんなに厳しい『現実』であっても」
ルギアは満足げに一度だけ頷くと、大きな水しぶきを上げて、再び深海へと帰っていった。
「やったな、サトシ!」
俺はカイリューを降ろし、サトシの元へ駆け寄った。
「ああ……。ミナト。俺、なんだか不思議な気分だ。……でも、世界が助かって、みんなが笑ってて、本当に良かった!」
サトシはいつもの無邪気な笑顔を見せた。その目には、少しだけ涙が浮かんでいた。
「ミナト、あんたも最高にクールだったわよ。あの飛行船に突撃して、バサギリで壁をぶち破るなんて……。普通のトレーナーじゃ、一生かかってもできないわ」
カスミが呆れながらも、最大限の尊敬を込めて言ってくれた。
「はは、俺だけじゃない。ポリゴン2や、みんなの力があったからこそだ」
俺たちは、夕日に照らされる美しい海を見つめた。
神話の一ページが閉じ、また新しい一日が始まる。
だが、俺たちの心には、神々と共に戦い、世界を救ったという、消えることのない確かな記憶が刻まれていた。
「(さあ、帰ろうか。マサラタウンへ……いや、その前に)」
俺は、掌に残る『銀色の羽』を見つめた。
ミュウツーの水晶、そしてルギアの羽。
二つの神の証を手に入れた俺の旅は、ここからさらなる未知の領域、そしてまだ見ぬ物語の深淵へと進んでいく。
俺たちの冒険は、まだまだ終わらない。
次の風が、もう俺たちを呼んでいた。
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