アニポケ転生者物語   作:投稿者

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第111話

ワカバタウンの中心部に位置する、巨大な風車が特徴的なウツギ研究所。

俺がたどり着いた時、研究所の前ではサトシとカスミが、一人の少し頼りなさそうな、しかし優しそうな眼鏡の男性と話をしていた。

 

「あ、ミナト!こっちだ、こっち!」

サトシが大きく手を振る。

 

「間に合ったみたいだな」

俺が合流すると、眼鏡の男性――ウツギ博士が、興味深そうに俺を見た。

 

「君がミナト君だね!オーキド先生から話は聞いているよ。シルフカンパニーの優秀なテスターで、あのセキエイ大会の優勝者なんだってね!」

ウツギ博士は、俺の持っているグラス型デバイスを見て、子供のように目を輝かせた。

「すごい、これが噂の試作機か!見せてもらってもいいかな?」

 

「ええ、もちろんです。……その前に、これを受け取ってください」

俺は、オレンジ諸島で採取した、特殊な波長を持つ水のデータが入ったディスクを渡した。

 

「おおっ!これは貴重な……!ありがとう、ミナト君!」

博士は鼻息荒くディスクを受け取ると、そのまま研究所の中へと駆け込んでいってしまった。

 

「……本当に噂通りの、研究に一生懸命な博士なのね」

カスミが、少し圧倒された様子で言う。どうやら彼女たちも、ウツギ博士の強烈な個性に驚いているようだ。

 

「でも、すごいよな。俺たちの旅がこうしてジョウトでも繋がっていくなんてさ!」

サトシは、肩に乗ったピカチュウと顔を見合わせた。

 

「ああ。……ところでサトシ、タケシの代わりってわけじゃないが、改めて俺も同行させてもらうよ。ジョウトの生態系調査も兼ねてな」

 

「おう!ミナトがいてくれれば、俺の修行も捗るぜ!特訓、付き合ってくれよな!」

 

研究所の中では、ウツギ博士がジョウト地方の「御三家」と呼ばれる初心者用ポケモンの健康診断を行っていた。

葉っぱのような襟巻きが可愛いチコリータ。

背中から炎を噴き出すヒノアラシ。

そして、元気いっぱいに走り回るワニノコ。

 

「(懐かしいな。この三匹から物語が始まるんだ)」

 

サトシは、後にこの三匹すべてを仲間にすることになるが、今はまだ、新しい出会いに目を輝かせている一人の少年だった。

 

ウツギ博士は、俺に最新型の「ポケギア」を手渡してくれた。

「これはジョウト地方で普及している通信機だよ。電話機能の他に、地図やラジオも付いているんだ。テスターとしての連絡用に使ってくれ」

 

「ありがとうございます。大事に使わせてもらいます」

 

俺は、デバイスとポケギアをリンクさせ、ジョウト地方の広域マップをダウンロードした。

最初の目的地は、キキョウシティ。

そこには、飛行タイプの使い手であるジムリーダー・ハヤトがいる。

 

「よし、出発だ!まずは最初のバッジをゲットしに行くぞ!」

サトシの掛け声と共に、俺たちの4人旅が本格的にスタートした。

 

ワカバタウンを出てすぐの29番道路。

カントーとは異なる、少し背の高い草むら。

そこからは、ポッポではなくホーホーの鳴き声が聞こえてくる。

 

「(新しい地方、新しい出会い。……そして、俺が手に入れた『ヨーギラス』。あいつをどう育てるかが、今回の鍵になりそうだな)」

 

俺は、ポケットの中のヨーギラスのボールに触れた。

彼はまだ、ボールの中で静かに自分を磨いている。

 

「ミナト、何してるんだ!遅れるぞ!」

サトシが呼びかける。

 

「ああ、今行くよ!」

 

俺たちは、始まりの風に背中を押されながら、キキョウシティへと続く長い坂道を登り始めた。

空には、どこまでも高いジョウトの青空が広がっていた。

 

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