アニポケ転生者物語 作:投稿者
ワカバタウンの中心部に位置する、巨大な風車が特徴的なウツギ研究所。
俺がたどり着いた時、研究所の前ではサトシとカスミが、一人の少し頼りなさそうな、しかし優しそうな眼鏡の男性と話をしていた。
「あ、ミナト!こっちだ、こっち!」
サトシが大きく手を振る。
「間に合ったみたいだな」
俺が合流すると、眼鏡の男性――ウツギ博士が、興味深そうに俺を見た。
「君がミナト君だね!オーキド先生から話は聞いているよ。シルフカンパニーの優秀なテスターで、あのセキエイ大会の優勝者なんだってね!」
ウツギ博士は、俺の持っているグラス型デバイスを見て、子供のように目を輝かせた。
「すごい、これが噂の試作機か!見せてもらってもいいかな?」
「ええ、もちろんです。……その前に、これを受け取ってください」
俺は、オレンジ諸島で採取した、特殊な波長を持つ水のデータが入ったディスクを渡した。
「おおっ!これは貴重な……!ありがとう、ミナト君!」
博士は鼻息荒くディスクを受け取ると、そのまま研究所の中へと駆け込んでいってしまった。
「……本当に噂通りの、研究に一生懸命な博士なのね」
カスミが、少し圧倒された様子で言う。どうやら彼女たちも、ウツギ博士の強烈な個性に驚いているようだ。
「でも、すごいよな。俺たちの旅がこうしてジョウトでも繋がっていくなんてさ!」
サトシは、肩に乗ったピカチュウと顔を見合わせた。
「ああ。……ところでサトシ、タケシの代わりってわけじゃないが、改めて俺も同行させてもらうよ。ジョウトの生態系調査も兼ねてな」
「おう!ミナトがいてくれれば、俺の修行も捗るぜ!特訓、付き合ってくれよな!」
研究所の中では、ウツギ博士がジョウト地方の「御三家」と呼ばれる初心者用ポケモンの健康診断を行っていた。
葉っぱのような襟巻きが可愛いチコリータ。
背中から炎を噴き出すヒノアラシ。
そして、元気いっぱいに走り回るワニノコ。
「(懐かしいな。この三匹から物語が始まるんだ)」
サトシは、後にこの三匹すべてを仲間にすることになるが、今はまだ、新しい出会いに目を輝かせている一人の少年だった。
ウツギ博士は、俺に最新型の「ポケギア」を手渡してくれた。
「これはジョウト地方で普及している通信機だよ。電話機能の他に、地図やラジオも付いているんだ。テスターとしての連絡用に使ってくれ」
「ありがとうございます。大事に使わせてもらいます」
俺は、デバイスとポケギアをリンクさせ、ジョウト地方の広域マップをダウンロードした。
最初の目的地は、キキョウシティ。
そこには、飛行タイプの使い手であるジムリーダー・ハヤトがいる。
「よし、出発だ!まずは最初のバッジをゲットしに行くぞ!」
サトシの掛け声と共に、俺たちの4人旅が本格的にスタートした。
ワカバタウンを出てすぐの29番道路。
カントーとは異なる、少し背の高い草むら。
そこからは、ポッポではなくホーホーの鳴き声が聞こえてくる。
「(新しい地方、新しい出会い。……そして、俺が手に入れた『ヨーギラス』。あいつをどう育てるかが、今回の鍵になりそうだな)」
俺は、ポケットの中のヨーギラスのボールに触れた。
彼はまだ、ボールの中で静かに自分を磨いている。
「ミナト、何してるんだ!遅れるぞ!」
サトシが呼びかける。
「ああ、今行くよ!」
俺たちは、始まりの風に背中を押されながら、キキョウシティへと続く長い坂道を登り始めた。
空には、どこまでも高いジョウトの青空が広がっていた。