アニポケ転生者物語 作:投稿者
キキョウシティの北、雲を突くような高い塔の屋上。
そこが、キキョウジムのバトルフィールドだった。吹き抜ける風が強く、地上よりも酸素が薄く感じる。
「オレンジリーグ名誉トレーナーのサトシ君、そしてセキエイ大会優勝者のミナト君だね。噂は聞いているよ」
フィールドの向こう側に立つのは、青い髪を風になびかせる青年、ハヤト。
彼の肩には、鋭い眼光のピジョンが止まっていた。
「僕の父さんが言っていた。空を制する者は、世界を制するとね。……君たちの地に足のついた戦い方が、この大空でどこまで通用するか、試させてもらうよ」
「望むところだ!俺たちも、空を飛ぶ準備はできてる!」
サトシが前に出た。まずは彼の挑戦だ。
ハヤトのピジョンに対し、サトシはピカチュウではなく、マダツボミの塔で特訓したチコリータを繰り出した。
空戦の厳しさを知り、サトシは苦戦しながらも、俺のアドバイス「相手のリズムを読む」ことを意識し、ピジョンの『かげぶんしん』をチコリータの『はっぱカッター』の広範囲攻撃で破り、見事勝利。最初のバッジ、ウイングバッジを手に入れた。
「……素晴らしいバトルだった。サトシ君、君の勇気は本物だ」
ハヤトはサトシを称えた後、俺に向き直った。
「さて、次はミナト君。君とは……1対1の一発勝負でお願いしたい。僕の最高の相棒、ピジョットでね」
ハヤトが最後のボールを投げた。
現れたのは、通常の個体よりも一回り大きく、翼の模様が美しい巨大なピジョットだ。その羽ばたきだけで、フィールドに暴風が巻き起こる。
「ミナト、頑張れよ!」
サトシが観客席から大きな声を出す。
「ああ。頼むぞ、エアームド!」
俺は、キキョウシティへの道中で仲間にした新戦力を繰り出した。
銀色の翼を持つ鋼の鳥が、ピジョットの前に立ちはだかる。
「エアームドか。僕のピジョットの速さについてこれるかな?」
「速さだけじゃない。こいつの硬さも見てくれよ!」
バトル開始。
「ピジョット、『こうそくいどう』からの『つばめがえし』!」
ピジョットが残像を残して消える。必中の一撃がエアームドを襲う。
「『てっぺき』だ!」
エアームドが翼を重ね、防御態勢を取る。
ガキィィン!という激しい衝撃。だが、エアームドは一歩も引かない。
「反撃だ!『はがねのつばさ』!」
エアームドの翼がピジョットを切り裂く。
「くっ……さすがに硬いな!だが、これならどうだ!ピジョット、最大火力の『ゴッドバード』だ!!」
ピジョットが黄金のオーラを纏い、超高速で突進してくる。
「エアームド、真正面から受け止めるぞ!」
俺は逃げなかった。エアームドの防御力を信じたのだ。
「いけぇぇっ!!『ブレイブバード』だ!!」
俺の叫びと同時に、エアームドもまた、青いオーラを纏って突撃する。
空中で二つの流星が激突した。
ドォォォォン!!
爆風が吹き荒れ、互いに弾き飛ばされる。
ピジョットはふらつきながらも空中に留まったが、エアームドは地面に落下した。
「エアームド、立て!」
サトシが身を乗り出して叫ぶ。
エアームドは土煙の中から、鋭い啼き声を上げて立ち上がった。
そして、その拍子にハヤトが気づく。自らのピジョットの動きが、不自然に鈍っていることに。
「『まきびし』……いつの間に!?」
「最初の激突の時さ。エアームドは攻撃と同時に、空中に見えないトゲを散布していたんだ。お前のピジョットは、空中でそれを踏んだ(接触した)のさ」
「(なんて冷静な戦術だ……)」
「とどめだ、エアームド!『ラスターカノン』!」
地上から放たれた鋼の閃光が、動けないピジョットを貫いた。
ピジョットは力尽き、ハヤトの足元に落ちた。
「……そこまで。僕の負けだよ」
ハヤトは、ピジョットを優しく撫でながら、清々しい笑顔を見せた。
「ミナト君。君の戦術、そして新しく仲間になったポケモンたちへの信頼。……優勝者の名は伊達じゃないね」
「ありがとう。最高のバトルだったよ、ハヤトさん」
俺たちは、キキョウシティの夜景を眺めながら、互いの健闘を称え合った。
ジョウト地方、最初の難関突破。
俺の手元には、ウイングバッジが輝いていた。
「よし、次はヒワダタウンだな!ガンテツさんにGSボールを届けに行くぞ!」
サトシが元気に走り出す。
「ああ。……行くぞ、みんな」
俺は、進化したエアームドと、成長著しいヨーギラスのボールを握りしめ、夜のキキョウシティを後にするのだった。