アニポケ転生者物語 作:投稿者
始まりの空
ワカバタウンに到着した翌朝のことだ。
サトシたちと合流する前、俺は一人で町外れの丘の上に立っていた。
ジョウトの風は心地よく、これからの旅への期待を運んでくる。
ふと、空を見上げた時だった。
雲の切れ間から、金色の光が差し込んだ。
太陽の光ではない。もっと神々しく、温かな光だ。
「……なんだ?」
光の中から、巨大な鳥のシルエットが現れた。
七色の翼を広げ、優雅に大空を舞う、伝説のポケモン。
「ホウオウ……!」
俺は息を呑んだ。アニポケの第1話でサトシが見たという、あの伝説のポケモンが、今、俺の目の前を飛んでいる。
ホウオウは、一瞬だけ俺の方を見た気がした。
そして、キラキラと輝く何かを落とし、虹の彼方へと消えていった。
俺は、落ちてきたものを拾い上げた。
七色に輝く、美しい羽。
『にじいろのはね』だ。
「(……俺も、選ばれたのか?)」
掌の上で輝く羽を見つめながら、俺は震える手を握りしめた。
このジョウトの旅は、ただの調査では終わらない。
伝説に導かれた、運命の旅になる。
そんな予感を胸に、俺は丘を降りた。
道中記・ジョウトの洗礼
ワカバタウンからキキョウシティへ向かう道中。
俺たちは、カントーとは異なるジョウト地方の洗礼を受けていた。
「うわあ!なんだこの糸!?動けないぜ!」
サトシが、草むらから飛び出してきたイトマルに糸を吐かれ、ミノムシのようになっている。
「あはは、サトシ、じっとしてて。今、俺のハピナスが解いてあげるから」
ハピナスが『いやしのすず』を鳴らすと、サトシを縛っていた糸がサラサラと解けていった。
「助かったぜ……。ジョウトの虫ポケモン、一癖あるやつが多いな」
サトシが感心したように言う。
「イトマルの糸は、非常に弾力性があって強固だわ。……ひっ!?ちょっとサトシ、あっち!レディバの群れがいるじゃない!こっちに来ないでよー!」
カスミが悲鳴を上げ、サトシの背後に隠れる。相変わらず虫タイプは大の苦手のようだ。
俺は、新しく仲間になったヨーギラスをボールから出して、一緒に歩くことにした。
彼はまだ俺の後ろを三歩下がって歩いているが、俺が振り返るたびに、少しだけ尻尾を振って応えてくれるようになった。
「(ゆっくりでいい。お前のペースで、俺たちに馴染んでくれれば)」
そんな穏やかな道中。
だが、その平穏を破るように、空から不気味な影が降りてきた。
鋼の盾と、古代の斧
ある日のキャンプの夜。
俺はバサギリとエアームドを向き合わせた。
「お前たち、どちらも『鋼』と『岩』の性質を持っている。……これから、俺たちのチームの防御の要になってほしいんだ」
バサギリは無言で斧を研ぎ、エアームドは静かに翼を広げた。
二匹の間には、武人同士のような独特の緊張感が漂っていたが、それは決して敵意ではなかった。
『報告。バサギリとエアームドの防御連携シミュレーション、成功率85%を記録。……これにウインディの機動力が加われば、鉄壁の陣形が完成します』
ポリゴン2の分析に、俺は満足げに頷いた。
これまでのエース頼みの戦いから、個々の役割を明確にした「軍隊的」な連携へ。
俺の戦術は、ジョウトの地でさらに進化を遂げようとしていた。
タッツーの憧れ
ラプラスの影から飛び出してきたタッツーは、今ではチームのアイドル的な存在になっていた。
特に、俺のカイリューのことが大好きらしく、いつも彼女の大きな尻尾に捕まって、空を飛びたそうにしている。
「
カイリューも、自分を慕う小さなタッツーを可愛がり、時折背中に乗せて低空飛行を楽しませていた。
「(いつか、お前もあんな風に、龍として覚悟を決める日が来るさ)」
俺は、タッツーの小さな背中を見守った。
進化すれば、海と空を繋ぐ最強の龍、キングドラ。
その夢を、俺が叶えてやる。
テスターの報告・不穏な予兆
夜、俺は母さんに現状を報告していた。
「……そう。ヨーギラスを保護したのね。しかも、色違いなんて」
母さんの声は、少し驚きを含んでいた。
「ああ。……でも、気になることが。あのヨーギラスが入っていたコンテナ、シルフの刻印があったんだ。でも、正規のルートじゃない」
『……!やっぱり、ジョウトの支社でも、ロケット団の残党が動いている形跡があるわね。サカキが姿をくらましても、幹部たちが組織を維持している可能性が高いわ』
「(トップがいなくなっても、悪意の根はまだ深いということか……)」
俺は、ミュウツーの水晶を握りしめた。
「……分かってる。俺のやり方で、必ず突き止めるよ」
『無理はしないでね、ミナト。……あ、それから。ジョウトの伝説のポケモンについても、何か分かったら教えてちょうだい。特に、"北風の化身"と呼ばれるポケモンのことを』
「北風の化身……スイクンか」
旅の歯車が、また一つ大きく動き出した。
伝説の影。ロケット団の残滓。
西へと続く道
翌朝。
キキョウシティのゲートをくぐり、俺たちはさらなる西を目指して歩き出した。
「次はヒワダタウンだ!ヤドンたちに会えるかな?」
「ヤドンの井戸ね。美味しい水があるって聞いたわ」
サトシとカスミの会話を横目に、俺はマップを確認する。
32番道路を抜け、繋がりの洞窟を越えれば、そこは職人の町。
「行くぞ、相棒たち」
俺の呼びかけに、ヨーギラスが短く鳴き、エアームドが鋭く啼いた。
新しい風が、俺たちの背中を優しく、しかし力強く押していた。