アニポケ転生者物語 作:投稿者
第115話
キキョウシティでの最初のジム戦を終え、俺たちはさらなる南、職人の町として知られるヒワダタウンを目指していた。
今回の旅の仲間は、サトシとカスミ。そして、俺の肩に乗って興味深そうに周囲を眺めている色違いのヨーギラスだ。
「ジョウトの風は、本当に気持ちいいわね」
カスミが海からの風を浴びて、心地よさそうに目を細める。
「ああ!このまま一気に、次のバッジもゲットしてやるぜ!」
サトシは相変わらず元気いっぱいだ。彼の腰には、新たに加わったヨルノズクや、最近ゲットしたばかりのヒノアラシのボールが並んでいる。
32番道路を歩いていると、道の脇で怪しげな露店を開いている男に声をかけられた。
「へい、そこのお兄さん!いいもん持ってるね。どうだい、このジョウト名物『おいしいシッポ』は?一振100万円だが、今なら特別に……」
男が差し出したのは、ピンク色をした、見覚えのある形状の肉の塊だった。
「(ヤドンの尻尾か……。しかも、法外な値段だな)」
俺は、自分のヤドランのボールが激しく脈動するのを感じた。
「そのシッポ……どこで手に入れたんだ?」
「あぁ?どこだっていいだろ。商売敵にゃ教えられねえよ」
男はニヤニヤしながら、俺のデバイスやポケモンたちを値踏みするように見た。その胸元に、チラリと見えた黒いマーク。
「(ロケット団の『R』……!)」
サカキが消えても、組織の末端はまだ死んでいなかった。彼らは資金源を確保するために、こうして各地でポケモンの密猟を続けているのだ。
「悪いが、密猟品に興味はない。……今すぐその店を畳んで、消えろ」
俺が冷たく言い放つと、男は顔色を変えた。
「ガキが、なめた口ききやがって!行け、ズバット!」
「ヨーギラス、お前の出番だ。……軽く捻ってやれ」
俺の合図より早く、ヨーギラスが地面を蹴った。
「ギィッ!!」
小さな体からは想像もできないほどの速度。ヨーギラスの『がんせきふうじ』が、空を飛ぶズバットを正確に撃ち落とし、岩の礫で男の店ごと粉砕した。
「ひぃぃっ!なんだこの強さは!覚えてろよ!」
男は捨て台詞を吐いて逃げ出していった。
「ミナト、あいつロケット団だったのか?」
サトシが駆け寄ってくる。
「ああ。残党だ。……どうやら、この先のヒワダタウンで、何か良からぬことを企んでいるみたいだな」
俺は、砕かれた偽物の看板を踏みしめた。
ヤドンの尻尾を売りさばく。その供給源は、あの「ヤドンの井戸」に違いない。
「行くぞ、二人とも。ヒワダタウンには、俺たちの友達……ヤドンたちの受難が待っているかもしれない」
俺の言葉に、サトシとカスミも表情を引き締めた。
ジョウトの旅は、穏やかな風景の裏側で、再び不穏な影を帯び始めていた。
俺はヨーギラスを労い、西の空を見据えた。
そこには、職人の技と、深い因縁が眠る町がある。