アニポケ転生者物語 作:投稿者
32番道路を抜け、繋がりの洞窟を越えた先。
そこには、深い森に囲まれた古き良き町、ヒワダタウンがあった。
瓦屋根の家々が並び、炭を作る煙が静かに立ち上っている。だが、町の至る所にあるヤドンの石像は、どこか寂しげに見えた。
「やっと着いたな!ここがヒワダタウンか!」
サトシが声を上げる。
俺たちの目的は、この町に住む高名なボール職人、ガンテツさんに会うことだ。
ウチキド博士から預かった、あの謎の『GSボール』。オーキド博士の指示によれば、この道数十年のガンテツさんなら、その正体を見抜けるかもしれないという。
町の端にある、一軒の趣ある工房。そこがガンテツさんの家だった。
「ごめんください!オーキド博士の紹介で来ました!」
サトシが扉を叩くと、中から頑固そうな、しかし鋭い眼光を持つ老人が現れた。
「オーキドの使いか。……入りな」
ガンテツさんは、俺たちが差し出したGSボールを一目見るなり、その表情を強張らせた。
「……これは、普通のボールじゃねえな。人の手で作られたものじゃあない。……自然の力が、歪な形で閉じ込められてやがる」
ガンテツさんは、金槌を置き、慎重にボールを受け取った。
「解析には時間がかかる。しばらく預かっておくが……いいな?」
「お願いします」
俺たちは深々と頭を下げた。
ふと、工房の奥からガンテツさんの孫娘、チエちゃんが心配そうな顔で現れた。
「おじいちゃん、今日も雨が降らないよ。ヤドンの井戸のヤドンたちも、全然帰ってこないし……」
「……ああ。この町は今、呪われている。ヤドンが欠伸をすれば雨が降る……そんな言い伝えがあるが、そのヤドンたちが何者かに連れ去られてしまったんじゃ」
ガンテツさんの言葉に、俺は第1話での出来事を思い出した。
「ヤドンの尻尾を狙う、ロケット団の仕業ですね」
「なにっ!?知っているのか!」
俺は、道中で遭遇した男の話をした。
ガンテツさんは怒りに震え、壁に掛かっていた特大の金槌を握りしめた。
「あの連中……ついに、この町の聖域にまで手を出しやがったか!許せん!」
「ガンテツさん、落ち着いてください。俺たちが行きます」
俺はサトシとカスミを見た。二人の瞳にも、同じ怒りの火が灯っている。
「俺たちがヤドンたちを助け出します。ガンテツさんは、ここでボールの解析をお願いします」
「……すまんな。頼んだぞ、若者たちよ」
俺たちはガンテツさんの工房を飛び出し、町の裏手にある「ヤドンの井戸」へと急いだ。
普段は水が豊かなはずのその場所は、不自然なほどの静寂に包まれていた。
「(待ってろ、ヤドンたち。……そしてロケット団。今度こそ、根こそぎ叩き潰してやる)」
俺は腰のヤドランのボールを強く握りしめた。
聖域を汚す者への、俺たちの「逆襲」が始まろうとしていた。