アニポケ転生者物語   作:投稿者

133 / 344
第118話

ヤドランの掲げた右手から、青白いプラズマのようなサイコエネルギーが放出された。

それはまるで生き物のようにうねり、ロケット団の団員たちや、彼らが操るポケモンたちを次々と捕らえていく。

 

「な、なんだこのパワーは!ただのヤドランではないのか!?」

ランスが狼狽し、後ずさりする。

 

「ただのヤドランじゃない。……お前たちのような、命を弄ぶ連中を絶対に許さない、俺の最高の相棒だ!」

 

俺の指示が出るより早く、ヤドランが『サイコキネシス』を『サイコショック』へと変化させた。実体化した念波の刃が、ヤドンを苦しめていた音波発生装置を粉々に粉砕する。

 

「サトシ、カスミ!今のうちにヤドンたちを解放してくれ!」

「おう!ピカチュウ、『アイアンテール』で鍵を壊せ!」

「ヒトデマン、水で傷口を洗ってあげて!」

 

サトシたちが檻を開け、傷ついたヤドンたちを助け出す。

自由になったヤドンたちは、怒りに燃える俺のヤドランの背中を見つめ、感謝するように「やぁん……」と鳴いた。

 

「くそっ、これを使え!『ダークボール』の試作品だ!」

ランスが、不気味な黒い霧を纏ったボールを投げた。中から現れたのは、強化されたオーラを放つバンギラス。

 

「(バンギラスか……だが、今の俺たちには通用しない!)」

 

俺はサイドンのボールを投げた。

「サイドン、ヤドランを守れ!『メガホーン』!」

 

サイドンの巨大な角が、バンギラスの突進を真っ向から受け止める。

凄まじい衝撃波。だが、俺たちの連携は止まらない。

 

「ヤドラン、とどめだ!全エネルギーを集中させろ!『はかいこうせん』!!」

 

「ヤドォォォォォ!!」

 

ヤドランの口から、虹色の光を帯びた極太の破壊光線が放たれた。それはバンギラスを飲み込み、そのままランスたちの陣陣を直撃した。

 

ズドドドドォォォォン!!

 

空洞の壁が崩れ、ロケット団の機材は完全に沈黙した。

ランスたちは煙に巻かれながら、捨て台詞を残して闇の中へと消えていった。

 

「……はぁ、はぁ……。やったな、ヤドラン」

 

ヤドランは、ふっと力を抜くと、いつものボーッとした顔に戻り、俺の胸に顔を預けてきた。

「よく頑張った。お前は、最高の守護神だよ」

 

その時だった。

解放された数十匹のヤドンたちが、一斉に井戸の天窓を見上げ、大きく、長く欠伸(あくび)をした。

 

「やぁ〜〜〜ん……」

 

その声が地上まで響き渡った瞬間。

不気味なほどの静寂を破り、井戸の入り口から雨の匂いが漂ってきた。

 

「あ……雨だ!」

カスミが歓喜の声を上げる。

 

外に出ると、ヒワダタウンの空からは、待望の恵みの雨が降り注いでいた。

枯れかけていた木々が潤い、町の人々が外に飛び出して喜び合っている。

 

「ヤドンたちが……雨を呼んでくれたんだな」

サトシが、濡れた顔を拭いながら笑った。

 

ガンテツさんが、雨の中を走ってやってきた。

「おおっ!お前さんたち!……やってくれたか!」

 

「ええ。もう大丈夫です」

 

ヤドンの井戸に、再び清らかな水が戻る。

俺たちは、ジョウトの伝統と、ヤドンたちの平和を守り抜いた。

 

「(サカキはいなくても、悪意は消えない。……でも、俺たちがいる限り、好きにはさせないさ)」

 

俺は、雨に濡れるヒワダタウンの街並みを見つめながら、次なる戦い――ツクシとのジム戦に向けて、静かに闘志を燃やすのだった。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。