アニポケ転生者物語 作:投稿者
ヤドランの掲げた右手から、青白いプラズマのようなサイコエネルギーが放出された。
それはまるで生き物のようにうねり、ロケット団の団員たちや、彼らが操るポケモンたちを次々と捕らえていく。
「な、なんだこのパワーは!ただのヤドランではないのか!?」
ランスが狼狽し、後ずさりする。
「ただのヤドランじゃない。……お前たちのような、命を弄ぶ連中を絶対に許さない、俺の最高の相棒だ!」
俺の指示が出るより早く、ヤドランが『サイコキネシス』を『サイコショック』へと変化させた。実体化した念波の刃が、ヤドンを苦しめていた音波発生装置を粉々に粉砕する。
「サトシ、カスミ!今のうちにヤドンたちを解放してくれ!」
「おう!ピカチュウ、『アイアンテール』で鍵を壊せ!」
「ヒトデマン、水で傷口を洗ってあげて!」
サトシたちが檻を開け、傷ついたヤドンたちを助け出す。
自由になったヤドンたちは、怒りに燃える俺のヤドランの背中を見つめ、感謝するように「やぁん……」と鳴いた。
「くそっ、これを使え!『ダークボール』の試作品だ!」
ランスが、不気味な黒い霧を纏ったボールを投げた。中から現れたのは、強化されたオーラを放つバンギラス。
「(バンギラスか……だが、今の俺たちには通用しない!)」
俺はサイドンのボールを投げた。
「サイドン、ヤドランを守れ!『メガホーン』!」
サイドンの巨大な角が、バンギラスの突進を真っ向から受け止める。
凄まじい衝撃波。だが、俺たちの連携は止まらない。
「ヤドラン、とどめだ!全エネルギーを集中させろ!『はかいこうせん』!!」
「ヤドォォォォォ!!」
ヤドランの口から、虹色の光を帯びた極太の破壊光線が放たれた。それはバンギラスを飲み込み、そのままランスたちの陣陣を直撃した。
ズドドドドォォォォン!!
空洞の壁が崩れ、ロケット団の機材は完全に沈黙した。
ランスたちは煙に巻かれながら、捨て台詞を残して闇の中へと消えていった。
「……はぁ、はぁ……。やったな、ヤドラン」
ヤドランは、ふっと力を抜くと、いつものボーッとした顔に戻り、俺の胸に顔を預けてきた。
「よく頑張った。お前は、最高の守護神だよ」
その時だった。
解放された数十匹のヤドンたちが、一斉に井戸の天窓を見上げ、大きく、長く欠伸(あくび)をした。
「やぁ〜〜〜ん……」
その声が地上まで響き渡った瞬間。
不気味なほどの静寂を破り、井戸の入り口から雨の匂いが漂ってきた。
「あ……雨だ!」
カスミが歓喜の声を上げる。
外に出ると、ヒワダタウンの空からは、待望の恵みの雨が降り注いでいた。
枯れかけていた木々が潤い、町の人々が外に飛び出して喜び合っている。
「ヤドンたちが……雨を呼んでくれたんだな」
サトシが、濡れた顔を拭いながら笑った。
ガンテツさんが、雨の中を走ってやってきた。
「おおっ!お前さんたち!……やってくれたか!」
「ええ。もう大丈夫です」
ヤドンの井戸に、再び清らかな水が戻る。
俺たちは、ジョウトの伝統と、ヤドンたちの平和を守り抜いた。
「(サカキはいなくても、悪意は消えない。……でも、俺たちがいる限り、好きにはさせないさ)」
俺は、雨に濡れるヒワダタウンの街並みを見つめながら、次なる戦い――ツクシとのジム戦に向けて、静かに闘志を燃やすのだった。