アニポケ転生者物語   作:投稿者

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第119話

ヤドンの井戸事件から数日後。

雨上がりの清々しい空気の中、俺たちはヒワダジムの門を叩いた。

そこは、街の古い建物を改装した、まるで巨大な温室のようなジムだった。

 

「おーい!ジム戦をお願いしたいんですけど!」

サトシの声が響くと、天井の梁からひらりと一人の少年が降りてきた。

 

「ようこそ!僕がジムリーダーのツクシです。虫ポケモンの奥深さ、君たちに教えてあげるよ!」

 

ツクシは、幼い外見とは裏腹に、虫ポケモンの生態を知り尽くした知識派のトレーナーだ。

彼が案内したバトルフィールドは、本物の森をそのままジムの中に持ち込んだような、複雑な迷宮となっていた。

 

「ジム戦は3対3のシングルバトル!さあ、どっちから来る?」

 

「俺からだ!行け、ヒノアラシ!」

サトシが最初に選んだのは、ジョウトで仲間になったばかりのヒノアラシだ。

 

「面白いね。炎タイプで虫タイプを攻める……基本だけど、この森でそれが通用するかな?行け、イトマル!」

 

バトルが始まった。

ヒノアラシは『かえんほうしゃ』で森を焼こうとするが、イトマルは木々の間を自在に飛び回り、糸を使って攻撃をかわす。さらに『いとをはく』でヒノアラシの動きを封じていく。

 

「サトシ、火の使い道を変えろ!ただ撃つだけじゃ当たらないぞ!」

俺がアドバイスを送る。

 

「わかった!ヒノアラシ、背中の炎を最大にして、その熱気で糸を溶かすんだ!」

 

ヒノアラシが気合を込めると、背中から巨大な火柱が上がった。周囲の糸が熱で蒸発し、ヒノアラシの自由が戻る。

「今だ!『スピードスター』!」

 

必中の光線がイトマルを捉え、まずはサトシが一勝を収めた。

 

「やるね。でも、次はそう簡単にはいかないよ。行け、トランセル!」

ツクシの二匹目は、硬い殻を持つトランセル。

 

「ヒノアラシ、『かえんほうしゃ』!」

「トランセル、『いとをはく』で炎を逸らせ!」

 

トランセルが口から大量の糸を噴射し、迫りくる炎を絡め取る。燃える糸を振り回し、炎の軌道を強引に横へと逸らした。

「そして『てっぺき』!」

さらに体を金属光沢が出るほど硬化させ、爆風の余波を防ぐ。

 

「くっ、正面からは通じないか……!」

 

「サトシ、相手が動かないならチャンスだ!トランセルの真上から、背中の炎を浴びせ続けろ!」

 

サトシは指示通り、ヒノアラシにトランセルの上に乗るよう命じた。

「行け、ゼロ距離放射だ!」

至近距離からの熱には耐えきれず、トランセルはダウンした。

 

「すごい……!でも、僕の切り札はここからだよ。ストライク!」

 

ツクシの最後のポケモン、ストライクが登場する。

連戦で疲弊したヒノアラシは、ストライクの『でんこうせっか』に翻弄され、あっという間に戦闘不能となった。

 

「ヒノアラシ、よくやった!次はピカチュウ、君に決めた!」

 

サトシの最後のポケモン、ピカチュウが登場する。

スピード対スピードの激突。最後はピカチュウの『10まんボルト』がストライクを捉え、サトシは見事勝利を収めた。

 

「……参ったよ。君たちの熱いハートに、僕の虫たちもタジタジだ」

ツクシはサトシにインセクトバッジを手渡した。

 

「……やるね、サトシ君。ポケモンの底力を引き出すのが上手いんだね」

ツクシはサトシを称えた後、俺の方を向いた。その瞳には、純粋な好奇心が宿っていた。

 

「さて、次はミナト君。君の連れているあのポケモン……昨日、町で見かけてからずっと気になっていたんだ。……あれは、バサギリだよね?」

 

「(流石は虫ポケモンの研究者だな、もう気づいていたか)」

 

「ああ。俺の最高の相棒だ」

 

「シンオウ地方の古文書でしか見たことがない、伝説の進化。……まさか、この目で見られる日が来るなんて!お願いだ、僕のハッサムと手合わせしてくれないか?」

 

ツクシは興奮気味にボールを掲げた。

「ミナト君とは、1対1。僕の最強の相棒との、ストライク進化形対決だ!」

 

光と共に現れたのは、深紅の装甲を纏った、ツクシのハッサム。

そのハサミの鋭さは、現代の進化の到達点を示しているようだった。

 

「受けて立つよ。……行け、バサギリ!」

 

「バサァァッ!!」

 

深緑の岩肌を持つ、古代の王者がフィールドに降り立つ。

現代の進化形を極めたハッサムか。

失われた古の力を宿すバサギリか。

 

時代を超えた、一族の誇りを懸けた戦いが、今、幕を開けた。

 

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