アニポケ転生者物語 作:投稿者
第121話
ヒワダタウンから34番道路を北上し、俺たちはついにジョウト地方最大の都市、コガネシティにたどり着いた。
遠くからでも見える巨大なビル群、空を飛ぶリニアの線路、そして何よりも街全体から溢れ出す圧倒的な活気。
カントーのヤマブキシティとも違う、どこか開放的で賑やかな空気がそこにはあった。
「うわぁ、すっげえ都会だなぁ!」
サトシが口をあんぐりと開けて高層ビルを見上げる。
「デパートに、ゲームコーナーに、ラジオ塔……。一日じゃ回りきれないわね」
カスミも、都会の雰囲気に胸を躍らせているようだった。
俺はグラス型デバイスを操作し、街の主要なネットワークにアクセスした。
『コガネシティ。ジョウトの経済・文化の中心。……現在、ラジオ塔の電波出力に微細なノイズを検知。定期メンテナンスの範囲内と推測されます』
「(ラジオ塔か。……後の事件の舞台になる場所だな)」
俺たちはまず、街のシンボルであるラジオ塔を見学することにした。
内部は最新の放送設備が整っており、多くのスタッフが忙しなく動き回っている。ガラス張りのスタジオでは、人気DJが生放送を行っており、見学者たちが歓声を上げていた。
「おや、そこの君たち!これから始まる『ポケモンクイズ・バトル』に参加してみないかい?」
プロデューサーらしき男に声をかけられ、サトシが「面白そうだぜ!」と二つ返事で引き受けた。
俺も、テスターとしての知識を試すために参加することにした。
クイズの内容は、「ジョウト地方の特定の地域にしか生息しないポケモンの鳴き声」や「進化の石の組成」など、かなりマニアックなものだったが、俺はデバイスのサポートなしでも全問正解を叩き出した。
「おめでとう!全問正解の君には、この『ラジオカード』をプレゼントだ!」
俺は、ポケギアに装着するラジオカードを受け取った。これで、旅の道中でも最新のニュースや音楽を聴くことができる。オーキド博士の講座も聞けるらしい。
その後、俺たちは街の地下にある「コガネ地下通路」へと足を運んだ。
ここは怪しげな漢方薬屋や、散髪屋、そしてポケモンの育成を請け負う「育て屋」の出張所などが並ぶ、迷宮のような場所だ。薄暗い通路には、独特の活気と怪しさが入り混じっている。
「漢方薬、いかがかね?苦いけど、ポケモンのなつき度が……おや、君のそのヨーギラス。……いい目をしているね」
露店のお婆さんが、俺の肩に乗った色違いのヨーギラスを見て、目を細めた。
「ありがとう。こいつは俺の自慢の相棒なんだ」
ヨーギラスは少し照れくさそうに顔を背けたが、尻尾は嬉しそうに振れていた。地下通路の独特な匂いに興味津々のようだ。
都会の喧騒と、地下に広がる不思議な空間。
コガネシティは、俺たちがこれまでに見てきたどの街よりも多様な「現実」を内包していた。
「ミナト、次はジムだ!コガネジムのアカネってリーダー、強いんだろ?」
サトシが拳を握る。
「ああ。……覚悟しておけよ、サトシ。あそこの戦いは、これまでのどんなジムよりも『痛い』ぞ」
俺は、あの恐るべき「牛の猛攻」を思い出し、不敵な笑みを浮かべた。
黄金の輝きに包まれたこの街で、俺たちの真価が問われようとしていた。
街角の大型ビジョンには、笑顔で手を振るアイドル風の少女が映し出されている。彼女こそが、ジムリーダーのアカネだ。
その笑顔の裏にある、強烈な実力を、俺たちはまだ知らなかった。