アニポケ転生者物語   作:投稿者

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第123話

コガネデパートの屋上庭園。

そこで俺たちが見つけたのは、大量の買い物袋を抱えて、噴水の前で途方に暮れている一人の少女だった。

 

「あー、もう!どっちがジムへの道やったかなぁ……。コガネの街は広すぎて、うちには無理やわぁ……」

 

ピンク色の髪をなびかせ、独特のアクセントで愚痴をこぼす彼女こそ、コガネジムのジムリーダー、アカネだった。

 

「あの……アカネさん、ですよね?」

サトシが恐る恐る声をかけると、彼女はパッと表情を明るくした。

「おっ!君ら、もしかして挑戦者!?いやぁ、助かったわー!案内してくれへん?」

 

……ジムリーダーにジムまで案内されるという奇妙な状況を経て、俺たちはようやくコガネジムへと到着した。

内部は、ピッピの形をした巨大なオブジェがある、ファンシーで近代的なバトルフィールド。だが、そこに漂う緊張感は、これまでのジムとは一線を画していた。

 

「準備はええ?うちのミルタンク、めちゃくちゃ強いで!」

 

バトルの火蓋が切られた。ルールは3対3のシングルバトル。まずはサトシの挑戦だ。

アカネの一匹目はニドリーナ。サトシはヒノアラシを繰り出し、スピードを活かした攻撃で先制する。

「ニドリーナ、『どくばり』!」

「ヒノアラシ、かわして『ひのこ』だ!」

激しい応酬の末、ヒノアラシが勝利を収めた。

 

続いてアカネが出したのはピッピ。

「ピッピ、『ゆびをふる』!」

何が出るか分からないトリッキーな技に翻弄されるが、サトシはワニノコに交代してパワーで押し切った。

 

「やるやんか!せやけど、ここからが本番や!」

アカネが三匹目を出した瞬間、スタジアムの空気が一変した。

 

「行け!うちの切り札、ミルタンク!!」

 

「モォォォォン!!」

丸々とした体格のミルタンクが、重厚な足音を立てて現れた。一見すると可愛らしいが、その筋肉の付き方は尋常ではない。

 

「ヒノアラシ、『かえんほうしゃ』!」

「ミルタンク、受け流して……『ころがる』や!」

 

ミルタンクが自らの体を丸め、ボールのような形状になった。そして、高速回転を始める。

一回転、二回転……。回転を増すごとに、ミルタンクの体は巨大な砲弾のようになり、凄まじい速度でフィールドを駆け巡る。

 

「ヒノアラシ、かわせ!」

だが、一度勢いのついた『ころがる』は、止まらない。壁に当たって反射し、予測不能な軌道で襲いかかってくる。

ドォォン!!

直撃を受けて吹き飛ばされるヒノアラシ。

 

「ヒノアラシ、戦闘不能!」

 

「次だ!ワニノコ!」

サトシはワニノコを出すが、さらに威力を増したミルタンクの一撃に、なすすべなく敗北。水鉄砲も回転の勢いで弾かれてしまう。

最後のピカチュウも、フィールドの端に追い詰められ、巨大な肉の塊に押し潰されるようにして沈んだ。

 

「ピカチュウ、戦闘不能……。よって勝者はジムリーダー、アカネ!」

 

「うわーん!負けたぁー!」

サトシが泣きつく。だが、それ以上に驚いたのはアカネの反応だった。

 

「ええっ!?うち、勝っちゃったん?……あかん、なんかサトシ君が一生懸命すぎて、うちまで悲しくなってきたわぁ……うわああぁん!」

 

「えええっ!?なんで勝った方が泣くのよ!」

カスミのツッコミも虚しく、ジム内は二人の泣き声が響き渡るという、カオスな状況になった。

 

俺は、フィールドに残されたミルタンクを見つめた。

「(やっぱり強いな……。あの『ころがる』、理屈じゃない暴力だ)」

 

物理法則を無視した加速。そして、一度でも当てれば手が付けられなくなる連続攻撃。

これを攻略しない限り、次のバッジは手に入らない。

 

俺は、うなだれるサトシの肩を叩いた。

「サトシ、泣いてる場合じゃないぞ。特訓だ。あの牛を止める方法、一緒に考えようぜ」

 

俺の中では、既に一つの戦術が組み上がりつつあった。

「物語」の知識と、「現実」の技術。

それを組み合わせた、俺たちなりの『ころがる』攻略が始まろうとしていた。

俺はサトシの手を引き、ジムを後にした。リベンジの炎は、まだ消えていない。

 

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