アニポケ転生者物語 作:投稿者
第11話
ハナダシティの喧騒を背に、俺はクチバシティへと続く24番道路を歩いていた。ブルーバッジの輝きが、旅の確かな手応えを感じさせる。隣ではフシギダネが元気に歩き、ボールの中ではポリゴンとミニリュウが静かにその時を待っている。三匹の仲間たちとの旅は、日に日に充実感を増していた。
道はなだらかな下り坂になっており、道の両脇には鬱蒼とした森が広がっている。テスターとしての好奇心がうずき、俺は時折、道から外れて森の奥へと足を踏み入れた。
「ポリゴン、このあたりの植生と、ポケモンの生息密度を記録してくれ」
『了解。データ収集を開始。特記事項:このエリア一帯で、野生のゼニガメの活動反応が複数確認されています』
「野生のゼニガメ?このあたりに生息しているとは聞いたことがないが……」
珍しいな、と思いながらさらに道を進むと、前方が騒がしいことに気づいた。数人のトレーナーが、何者かに囲まれているようだ。
「な、なんだお前ら!」
「ゼニッ!」
その中心にいたのは、サングラスをかけた数匹のゼニガメたちだった。甲羅には傷や落書きがあり、いかにも「不良」といった風体だ。
「(あれが、噂に聞くゼニガメ団か)」
トレーナーからポケモンを奪ったり、村で悪さをしたりしているという、厄介な連中だ。だが、俺は知っている。彼らが非行に走ったのには、理由があることを。
俺が様子を窺っていると、ゼニガメ団のリーダー格らしき、一際態度の大きいゼニガメが、他のゼニガメに指示を出した。そのサングラスの奥の瞳は、ただの悪党のそれではない。何か、強い意志のようなものを感じさせた。
やがて、トレーナーたちはポケモンを置いて逃げ去っていった。ゼニガメ団は、奪ったモンスターボールを前に、勝ち誇ったように鳴き声を上げる。だが、リーダーのゼニガメだけは、どこか浮かない顔をしていた。
俺はグラス型デバイスを起動し、彼らの行動を分析する。
『対象:ゼニガメ集団。リーダー個体を中心に、強い仲間意識で結束。威嚇行動は、外部からの脅威に対し、集団を防衛するためのものである可能性が高い。心理分析:リーダー個体は、現在の自分たちの行動に、罪悪感と焦燥感を抱いていると推測』
「(やはりな……。こいつらは、ただの悪党じゃない)」
原作知識によれば、彼らは人間に捨てられたゼニガメの集まりだ。人間を信じられず、自分たちの身を守るために、仕方なく悪事を働いている。
俺が物陰から出ると、ゼニガメたちは一斉にこちらを向き、威嚇のポーズを取った。
「カメッ!」
「おっと、俺は戦う気はないぜ」
俺は両手を上げて敵意がないことを示す。リーダーのゼニガメが、俺を睨みつけながら一歩前に出た。
「
デバイスが、その鳴き声の音声パターンから『強い警戒』『排他的な意志』と分析結果を表示する。なるほど、縄張りを主張しているわけか。
「少し、話がしたいだけだ。お前たち、こんなことをして、本当に楽しいのか?」
俺の言葉に、ゼニガメたちの動きが止まる。リーダーのゼニガメは、ギロリと俺を睨んだ。
「ゼニィィッ!(うるせえ!俺たちの気持ちが、人間に分かってたまるか!)」
その鳴き声は、明らかに怒りを含んでいた。だが、デバイスは同時に『心拍数の上昇』『わずかな動揺』も検知している。
「分からないさ。けど、分かることもある。お前が、仲間を守るために、必死に虚勢を張っているってことくらいはな」
図星だったのか、リーダーのゼニガメはぐっと言葉に詰まった。その動揺は、デバイスの分析するまでもなく、俺にも見て取れた。
「お前たちのそのチームワークは、見事なもんだ。けど、その力を、もっと別のことに使えないか?」
俺はそう言って、バックパックからいくつかの道具を取り出した。傷薬、栄養価の高いきのみ、そして、古びてはいるがまだ使える放水用のホース。
「俺はただの通りすがりのトレーナーだ。これは、ほんの餞別だ。どう使うかは、お前たちが決めろ」
俺はそれらの道具を地面に置くと、ゆっくりと背を向けた。
「(今は、これが限界か……)」
彼らの心を開くのは、俺の役目じゃない。この世界の本当の主人公、あの無鉄砲で、お人好しな少年が来るのを待つしかない。
俺は一度も振り返らず、その場を後にした。背後で、ゼニガメたちが戸惑っている気配を感じながら。この小さな置き土産が、未来を少しでも良い方向に変える「きっかけ」になることを願って。
チラシ裏から表にでるべきか
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チラシ裏でいい
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表にでてもいい
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まだ表にでるのは早い