アニポケ転生者物語 作:投稿者
コガネジム、再戦の朝。
「アカネさん、もう一度バトルをお願いします!」
サトシの声がスタジアムに響く。
「ええよ、サトシ君!昨日はごめんね、一緒に泣いちゃって。……でも、今日も手加減はせえへんで!」
アカネは、今日も元気いっぱいにミルタンクを繰り出した。
「行くぞ!ピカチュウ、『でんこうせっか』!」
「ミルタンク、回れ!『ころがる』や!」
バトルは昨日と同じ展開で始まった。
ミルタンクが加速し、巨大な破壊の塊となってフィールドを駆け巡る。
だが、サトシは動じなかった。彼の瞳は、ミルタンクの軌道を冷静に追っている。
「今だ、ピカチュウ!フィールドの割れ目を狙え!」
サトシの指示で、ピカチュウが昨日の特訓で崩れた地面の段差に飛び込んだ。
猛スピードで迫るミルタンク。
ピカチュウが段差を蹴り、ミルタンクの回転の軸を真横から叩いた。
「浮いた!」
カスミが叫ぶ。
遠心力と段差の衝撃で、ミルタンクの巨体がフワリと宙に浮いた。
空中では、自慢の機動力も発揮できない。ミルタンクは無防備なボールとなって空を舞う。
「とどめだ!『かみなり』!!」
無防備な腹部に、ピカチュウの全力の電撃が直撃した。
「モォォッ!?」
ミルタンクは目を回し、大きな音を立てて地面に転がった。
「ミルタンク、戦闘不能!よって勝者、サトシ選手!」
「やったぁぁぁ!勝ったぞ、ピカチュウ!」
サトシがピカチュウと抱き合う。アカネは……またしても泣き出したが、今度はサトシの勝利を称える、嬉し泣きだった。
「おめでとう、サトシ君。……はい、これがレギュラーバッジや」
サトシが三つ目のバッジを手に入れた後、俺は一歩前へ出た。
「さて、次は俺の番だ。……手加減なしで行かせてもらうよ」
「……いい目やね。ミナト君、あんたはサトシ君とはまた違う、強いオーラを感じるわ。……うちも、本気で行くで!」
ミナト対アカネ。
俺が選んだのは、大地の女王、ニドクインだった。
「ミルタンク、もう一度『ころがる』!」
「ニドクイン、逃げるな。正面から受け止めるぞ」
「ええっ!?」
アカネが驚く。観客席からもどよめきが起きた。
加速したミルタンクの衝撃は、数トンの重戦車にも匹敵する。それを真っ向から受けるなど、正気の沙汰ではない。
ドォォォォン!!
激突。凄まじい衝撃波が走り、スタジアムの床が砕ける。
だが、ニドクインは一歩も引かなかった。
太い両腕で、回転し続けるミルタンクをガッチリと受け止めたのだ。
「グオオオオン!!」
ニドクインの筋肉が、ミシミシと音を立てて隆起する。
「な、なんてパワー……!回転が止まっていく!?」
「力には力。……これが、俺たちの答えだ。ニドクイン、そのまま放り投げろ!『ちきゅうなげ』!」
ニドクインはミルタンクの回転を力任せに止めると、その巨体を軽々と頭上へ持ち上げ、背負い投げの要領で叩きつけた。
ズガァァァン!!
スタジアムが激しく揺れ、土煙が舞う。
煙が晴れた時、そこには力尽きたミルタンクの姿があった。
「……ミルタンク、戦闘不能。勝者、ミナト!」
静寂。そして、割れんばかりの拍手が巻き起こった。
テクニックや機転ではなく、圧倒的な「個」の力による制圧。
それは、都会の洗練されたバトルに慣れた観客たちにとって、衝撃的な光景だった。
「……参ったわ。うちのミルタンクを正面から止めるなんて、あんた……ほんまに人間?」
アカネが、呆れたように、バッジを差し出してきた。
俺はレギュラーバッジを手に取り、相棒たちの頑張りを称えた。
これで、ジョウトのバッジは三つ。
だが、勝利の余韻に浸る間もなく、俺のポケギアが激しく鳴り響いた。
母さんからの緊急連絡だ。
『ミナト!ラジオ塔が……本格的にロケット団に占拠されたわ!』
「(来たか……。歴史の修正力か、それとも奴らの執念か)」
俺は、サトシたちを振り返った。
「サトシ、カスミ。バッジの余韻は後だ。……本番が、始まるぞ」
黄金の都会に、不穏な旋律が響き始めようとしていた。
俺たちはジムを飛び出し、黒煙の上がるラジオ塔へと走った。