アニポケ転生者物語 作:投稿者
第126話
コガネシティでの騒動を後にし、俺たちは35番道路、36番道路を抜け、歴史ある古都エンジュシティに到着した。
街に入ると、それまでの近代的な風景とは一変し、瓦屋根の家屋や石畳の道が続く、情緒あふれる光景が広がっていた。
「わあ、すごい!昔にタイムスリップしたみたい!」
サトシが目を輝かせてキョロキョロしている。
「伝統を感じる素敵な街並みねぇ。舞妓さんとかいないかしら」
カスミも、街の雰囲気にうっとりしている。
俺は、街の北側にそびえる二つの塔――煌びやかな『スズの塔』と、黒く焼け焦げた『焼けた塔』を見上げた。
伝説のポケモン、ホウオウとルギア。そして、三匹の聖なる獣たちの伝説が眠る場所。
俺の懐にある『にじいろのはね』と『銀色の羽』が、心なしか熱を帯びている気がした。
「(ここが、ジョウトの伝説の中心地か……)」
俺たちが街を散策していると、一軒の演舞場の前から、騒がしい怒号と悲鳴が聞こえてきた。
「きゃあ!やめてください!」
「どけ!ここの売上金と、ついでに踊りの上手いポケモンも頂いていくぜ!」
「ロケット団!」
サトシが叫ぶ。俺たちが見ると、黒服の男たちが数人、演舞場に押し入ろうとしていた。彼らの足元には、怯えた様子のイーブイが一匹、うずくまっている。
「待て!その子に手を出すな!」
俺とサトシが駆け寄る。
「あぁ?またお前らか!しつこいガキどもだ!」
男たちは、アーボックやマタドガスを繰り出してきた。
「ピカチュウ、『10まんボルト』!」
「バサギリ、『がんせきアックス』!」
サトシのピカチュウと、俺のバサギリの連携攻撃が炸裂する。電撃と岩石の雨に、ロケット団たちはあっという間に吹き飛ばされた。
「覚えてろー!」
いつもの捨て台詞を残し、男たちは逃げ去った。
「大丈夫か?」
俺は、うずくまっていたイーブイに声をかけた。
「ブイ……」
イーブイは震えながら、大きな瞳で俺を見上げている。首元の毛並みが少し乱れており、ロケット団に手荒な扱いを受けたようだ。
「ありがとう、旅のお方。この子は、うちで踊りの稽古を始めたばかりの子なんです」
舞妓さんが、お礼を言いながら駆け寄ってきた。
「でも、なんだか酷く怯えてしまって……。このままじゃ、舞台に立つのは難しいかもしれません」
イーブイは、舞妓さんの手からも逃れようとし、俺の足元に隠れるようにすり寄ってきた。
どうやら、助けてくれた俺に安心感を覚えているらしい。
「あの……もしよろしければ、その子を連れて行ってはくれませんか?」
舞妓さんが言った。
「この子は才能がありますが、少し臆病すぎるところがあって……。貴方のような強いトレーナー様の元で、世界を見て回ったほうが、この子のためになる気がするのです」
「俺が……?」
俺はイーブイを見下ろした。イーブイも、期待と不安が入り混じった瞳で俺を見つめ返してくる。
「(イーブイ……無限の可能性を持つ進化のポケモン。こいつと一緒に旅をするのも、悪くないな)」
俺はしゃがみ込み、イーブイに手を差し出した。
「どうだ?俺と一緒に来るか?怖いことばかりじゃない、楽しいこともたくさんあるぞ」
「ブイッ!」
イーブイは、小さな尻尾を振って俺の手に鼻先を押し付けた。
「決まりだな。よろしく、イーブイ」
俺はモンスターボールを取り出し、イーブイを優しく収めた。
古都エンジュでの最初の出会い。
それは、新たな可能性との出会いでもあった。