アニポケ転生者物語 作:投稿者
イーブイを仲間にした俺たちは、ポケモンセンターで回復を済ませた後、街のシンボルである『焼けた塔』を訪れた。
かつてはスズの塔と対をなす美しい塔だったというが、今は黒く焼け焦げ、骨組みだけが残る無残な姿を晒している。
夕日が、そのシルエットを赤く浮かび上がらせていた。
「150年前の火事で焼け落ちた、か……。何があったんだろうな」
サトシが、崩れた壁の隙間から中を覗き込む。
ピカチュウも、鼻をクンクンさせて焦げた匂いを感じ取っているようだ。
「そこへ入るのは危険だぞ」
背後から、落ち着いた声がかけられた。
振り返ると、金髪に紫色のバンダナを巻いた青年と、紫色のマントを羽織った青年が立っていた。
「僕はマツバ。この街のジムリーダーをしている」
「そして私はミナキ。伝説のポケモン、スイクンを追う者だ」
「ジムリーダーのマツバさん!」
サトシが目を輝かせる。
マツバは、静かに焼けた塔を見上げて語り始めた。
「150年前の落雷によって火災が発生し、三日三晩燃え続けた末に焼け落ちてしまったんだ」
「三日三晩……」
カスミが息を呑む。
「その火事の際、三匹の名もなきポケモンが逃げ遅れて命を落としたんだ。……だが、空から舞い降りたホウオウが、彼らに新たな命を与えた」
「それが、雷の力を宿したライコウ、炎の力を宿したエンテイ、そして水の力を宿したスイクンだ」
ミナキが言葉を継ぐ。
「蘇った彼らは、人々の争いを恐れ、力を封印して眠りについたと言われている。……だが、最近、この塔の地下から奇妙な波動が観測されているんだ」
「波動……?」
その時、俺の懐にある『にじいろのはね』と『銀色の羽』が、同時に熱を持った。
まるで、塔の地下に眠る何かに呼びかけられているように。
「っ……!」
俺が胸元を押さえると、マツバが鋭い視線を向けた。
「君、それは……?」
俺は観念して、『にじいろのはね』を取り出した。夕日に照らされ、七色の光が輝く。
「なっ……!それはホウオウの羽!?」
マツバとミナキが驚愕する。
「まさか、君はホウオウに選ばれたトレーナーなのか?」
「選ばれたかどうかは分かりません。ただ、ワカバタウンで偶然拾ったんです」
「偶然……いや、伝説のポケモンに関わるものに偶然はない。君がここに来たことにも、きっと意味があるはずだ」
マツバの言葉に、俺は緊張感を覚えた。
ただの観光気分ではいられない。俺は既に、この地方の伝説の深淵に足を踏み入れているのだ。
三犬、ホウオウ、そしてルギア。
全ての伝説が、この場所で交錯しようとしている。
その時、塔の地下から、ドォン!という鈍い爆発音が響いてきた。
地面が微かに揺れる。
「なんだ!?」
「地下だ!何者かが封印を解こうとしている!」
ミナキが叫ぶ。
「ロケット団か……!」
俺とサトシは顔を見合わせ、走り出した。
眠れる伝説が、今まさに目覚めようとしている。
その予感に、全身の血が沸騰するようだった。
俺たちは、崩れかけた階段を駆け下り、闇の中へと飛び込んだ。