アニポケ転生者物語 作:投稿者
崩れかけた螺旋階段を駆け下り、俺たちは焼けた塔の地下空間へとたどり着いた。
そこは、かつての火災の跡が生々しく残る広大な空洞だった。中央には、三つの石像が祀られている。
「いたぞ!あいつらだ!」
石像の前で、数人のロケット団員たちが機械を操作し、強引に封印の岩を破壊しようとしていた。
「へへっ、伝説のポケモンが眠ってるって噂は本当らしいな。こいつらを捕まえてサカキ様に献上すれば……」
「やめろ!そんなことさせないぞ!」
サトシが叫びながら飛び出す。
「チッ、また邪魔が入ったか。やっちまえ!」
団員たちがポケモンを繰り出す。
「一掃するぞ!バサギリ、『いわなだれ』!」
「ピカチュウ、『10まんボルト』!」
俺たちの攻撃がロケット団を蹴散らす。だが、その衝撃で、既に亀裂が入っていた封印の岩が、完全に砕け散ってしまった。
「しまった!」
瞬間、目も眩むような閃光が地下空洞を満たした。
黄色、赤、青。三色の光の奔流が渦を巻き、強烈なプレッシャーが俺たちを押し潰そうとする。
「ガオオオオオッ!!」
光の中から、三体の獣が飛び出した。
雷雲を背負うライコウ。
火山を背負うエンテイ。
そして、北風を纏うスイクン。
彼らは、永き眠りから覚めた怒りを露わにし、咆哮一発でロケット団員たちを吹き飛ばした。
「ひぃぃぃ!ば、化け物だぁ!」
ロケット団は蜘蛛の子を散らすように逃げ去った。
三体の獣は、俺たちを一瞥すると、天井の穴から空へと飛び去ろうとした。
ライコウが雷となって消え、エンテイが炎となって消える。
だが、最後の一体――スイクンだけが、飛び立つ直前に足を止め、俺の方を振り返った。
その水晶のように透き通った瞳が、俺の懐にある『水晶の欠片』と『にじいろのはね』を見透かすように輝く。
『……』
言葉はなかった。だが、その視線には、明らかな「興味」と「試練」の色が含まれていた。
風のような一瞬の静寂の後、スイクンは霧となって消え去った。
「……すげえ。あれが、伝説のポケモン……」
サトシが呆然と呟く。
「行ったか……。スイクン……」
後から駆けつけてきたミナキが、悔しそうに、しかし恍惚とした表情で天井を見上げていた。
「やはり、美しい……。だが、なぜ私ではなく、君を見ていたんだ?」
ミナキの視線が、俺に向けられる。そこには、純粋な探究心と、隠しきれない嫉妬が混じっていた。
「ミナト君。君には、スイクンに好かれる何かがあるようだね。……確かめさせてもらおうか、その実力を!」
伝説の目覚めは、新たな争いの火種でもあった。
スイクンハンター・ミナキ。
彼とのバトルが、避けられないものとして俺の前に立ちはだかった。