アニポケ転生者物語 作:投稿者
焼けた塔から出た俺たちを待っていたのは、夕闇に染まるエンジュシティの街並みと、ボールを構えたミナキだった。
「スイクンは、高潔な魂を持つ人間にしか姿を見せないと言われている。……君がそれに相応しいかどうか、私が試させてもらう!」
ミナキの熱意は本物だ。スイクンを追い続け、その全てを捧げてきた男の意地。
「いいでしょう。受けて立ちます」
俺は、新しく仲間になったばかりのイーブイのボールを握った。
「(イーブイ、怖くないか?)」
ボールの中で、イーブイが小さく震えながらも、やる気に満ちた返事をするのが伝わってくる。
「行け、フーディン!」
ミナキが繰り出したのは、スプーンを持ったエスパータイプの強豪、フーディン。
「イーブイ、君に決めた!」
俺はイーブイをフィールドに出した。小さな体が、強敵を前にして武者震いしている。
「イーブイか。可愛らしいが、私のフーディンの相手になるかな?『サイケこうせん』!」
「イーブイ、走れ!『でんこうせっか』!」
イーブイが弾かれたように走り出す。フーディンの光線をジグザグ走行でかわし、懐に飛び込もうとする。
だが、フーディンは『テレポート』で瞬時に背後へ移動した。
「そこだ、『サイコキネシス』!」
「イーブイ、『あなをほる』!」
イーブイが間一髪で地面に潜り込む。念動力が空を切る。
「(力では勝てない。知恵を使うんだ)」
「フーディン、地面に向けて『エナジーボール』!」
ミナキが地面を攻撃させる。爆発でイーブイが掘り出される。
「きゃいん!」
イーブイが吹き飛ばされる。
「まだだ!空中で体勢を立て直せ!『シャドーボール』!」
俺の指示に、イーブイが口から黒い球体を吐き出した。
まだ覚えたてで小さいが、ゴースト技はエスパーに効果抜群だ。
「なっ、シャドーボールだと!?」
フーディンが直撃を受け、よろめく。
「今だ!『かみつく』!」
着地したイーブイが、フーディンの腕に噛み付く。悪タイプの技もまた、エスパーには効果的だ。
ミナキのフーディンは、予想外のダメージに膝をついた。
「……そこまで!」
マツバが割って入った。
「ミナキ、そこまでにしておけ。これ以上やっても、君の負けだ」
「くっ……。イーブイ一匹に、ここまで翻弄されるとは」
ミナキは悔しそうにフーディンを戻したが、すぐに表情を改めて俺に歩み寄った。
「完敗だ。君の指示、そしてイーブイの潜在能力……。スイクンが君に目を留めた理由が、少し分かった気がするよ」
「ありがとうございます。イーブイも、よく頑張ったな」
俺は、ボロボロになりながらも誇らしげなイーブイを抱き上げた。
「ブイッ!」
この小さな体の中に、無限の可能性が眠っている。
いつか、スイクンと対等に渡り合える日が来るかもしれない。
そんな予感を抱かせる、熱いバトルだった。