アニポケ転生者物語   作:投稿者

147 / 344
第130話

翌日。俺たちはエンジュジムの門を叩いた。

ジムリーダーは、昨日焼けた塔を案内してくれたマツバだ。

「待っていたよ。伝説に選ばれしトレーナーたち」

 

ジムの中に入ると、そこは薄暗く、床が見えないほどの漆黒の闇が広がっていた。

足元には深い霧が立ち込め、一歩踏み外せば底なしの奈落へ落ちてしまいそうな錯覚に陥る。

 

「エンジュジムは見えない床を進む迷宮。……そして、僕のゴーストポケモンたちは影から君たちを狙う」

マツバの声が、どこからともなく響いてくる。

 

「上等だ!俺が先に行くぜ!」

サトシが名乗りを上げる。

 

「ルールは3対3。挑戦者、サトシ君。始めようか」

 

サトシの先発はピカチュウ。

「ピカチュウ、慎重に行こうぜ」

ピカチュウが恐る恐る見えない床を進む。

 

「ゴース、『あやしいひかり』!」

闇の中から、突然不気味な光が明滅した。

「ピカァ!?」

ピカチュウが混乱し、自分自身の尻尾を攻撃してしまう。

 

「ピカチュウ!しっかりしろ!」

「逃げ場はないよ。『くろいまなざし』!」

 

マツバのゴースが、巨大な眼球の幻影となってピカチュウを睨みつける。

金縛りにあったように動けなくなるピカチュウ。

「くっ、交代だ!戻れピカチュウ!」

サトシがボールを構えるが、赤い光線が弾かれる。

「無駄だ。『くろいまなざし』を受けたポケモンは、逃げることも交代することもできない」

 

「なっ……!?」

「とどめだ。『ナイトヘッド』!」

 

ゴースの幻影攻撃がピカチュウを襲う。ピカチュウは混乱とダメージで戦闘不能となった。

 

「ピカチュウ、戦闘不能!」

 

「くそっ、なんて戦い方だ……!」

サトシが歯噛みする。姿が見えない上に、逃げることも許されない。これがゴースト使いの戦法か。

 

「次はこいつだ!行け、ヒノアラシ!」

サトシはヒノアラシを繰り出す。炎の明かりで周囲を照らそうとするが、霧が濃すぎて視界は晴れない。

 

「無駄だよ。……ゴースト、『さいみんじゅつ』!」

次は進化したゴーストが現れ、ヒノアラシを眠らせようとする。

 

「(このままじゃ、サトシが負ける……)」

俺は固唾を呑んで見守った。ゴーストタイプには物理攻撃が効きにくい。さらに視界不良。圧倒的に不利だ。

 

「サトシ、思い出せ!昨日のミナキさんとのバトルを!」

俺が叫ぶ。

「目で見ようとするな!気配を感じるんだ!」

 

「気配……?」

サトシは目を閉じた。

「……そうだ。俺には、あいつがいる!」

 

サトシは最後のボールを握りしめた。

「ヒノアラシ、戻れ!……頼むぞ、ヨルノズク!」

 

色違いのヨルノズクが登場する。

彼は夜目が効く。闇の中でも、その瞳は鋭く光っている。

 

「ヨルノズク、『みやぶる』だ!!」

 

ヨルノズクの両目が赤く輝き、レーザーのような光がジム全体をスキャンした。

その光に照らされ、闇の中に潜んでいたゴースやゴーストの姿が、くっきりと浮かび上がった。

 

「見えたぞ!あそこだ!」

「ホーッ!!」

 

実体を暴かれたゴーストポケモンたちは、慌てて逃げようとする。

だが、ヨルノズクの目は逃がさない。

 

「『つばさでうつ』!」

「『じんつうりき』!」

 

ヨルノズクの猛攻が始まる。見えてさえしまえば、防御の薄いゴーストポケモンは脆い。

ゴース、ゴーストを立て続けに撃破し、ついにマツバの切り札、ゲンガーを引きずり出した。

 

「やるね……。僕の幻影を破るとは。行け、ゲンガー!」

「ゲンガー、『シャドーボール』!」

 

「ヨルノズク、かわせ!そして『ゴッドバード』!!」

 

ヨルノズクが黄金のオーラを纏い、ゲンガーに突っ込む。

ゲンガーは影に潜ってかわそうとするが、『みやぶる』の効果で影の中の位置も丸見えだ。

 

ドォォォン!!

 

直撃。

ゲンガーは吹き飛ばされ、戦闘不能となった。

 

「ゲンガー、戦闘不能!勝者、サトシ選手!」

 

「やったぁぁぁ!勝ったぞヨルノズク!」

サトシがヨルノズクに抱きつく。

 

「……見事だ。幻影に惑わされず、真実を見抜く心眼。……ファントムバッジ、君に授けよう」

マツバがバッジを差し出す。

 

「ありがとう、マツバさん!」

 

「やったな、サトシ!」

「おう!ミナトも頑張れよ!」

 

そして、俺の番だ。

「君の実力は、昨日のミナキとのバトルで分かっている。……本気で行くよ」

 

マツバが再びボールを構える。

「僕のゴースト戦術、君はどう攻略するかな?」

 

「(サトシとは違う、俺なりの攻略法を見せてやる)」

 

俺は、不敵に笑う自分のゲンガーのボールを握りしめた。

ゲンガー対ゲンガー。影の支配権を巡る戦いが、幕を開ける。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。